「──はい」

 淡く、名を呼ばれた女性の声が、ホールの中にたおやかに響いた。

 途端、その声色を耳にしたスタッフ一同が、鼓膜から入り込む美声に身を硬くする。それは自然と、人の心を絡め取り、優しくほぐすような独特な力のある声だった。

 ゆっくりと、先の支配人と同じようにホールを横切り、一人の女性が──否、一体のAIが、とした仕草で正面へと歩み出る。

 長い金色の髪、澄み切ったへきがん、背丈は女性型AIにしては高く、女性的な起伏に富んだ肢体を品のあるドレスに包んだ彼女は、静々とスタッフたちへ一礼した。

 そして顔を上げ、女神のような麗しの容貌が微笑み、

「ご紹介にあずかりました、エステラです。本日より、皆様と一緒に、この新造宇宙ステーション『デイブレイク』で、副支配人として働かせていただきます」

 一拍、AI──エステラは言葉をめて、言った。


「──どうぞ末永く、よろしくお願いしますね」