あとがき



 昔、おそらくは同人誌で、こんな四コマまんがを読みました。

 女が恋人の男が死んだのを嘆き悲しみ、なきがらの上に伏して泣きわめいています。これが一コマ目。

 二コマ目では、周りの人間が「お墓に埋めないと」と言うのに対して女は、「埋めるなんて嫌」と抵抗します。

 三コマ目、周りの人間はしばらく放っておくことにしたのか、女のそばには誰もいません。そのかわりに、亡骸のまわりをハエが飛んでいます。腐臭がしているらしき描写です。女は、亡骸の上に伏したままですが、泣き声はあげていません。

 女が立ちあがって横を向き、泣きながら「やっぱり埋めて」と言うのが四コマ目。

 本書を執筆しているあいだずっと、この四コマまんがのことが頭にありました。死人など、ひとりも出ない話なのですが。


 引用等について。

 ロマン・ロランいわく、「太陽がないときにはそれを作り出すのが芸術家の役目である」。ゲーテ曰く、「真実はたいまつである、しかし巨大なたいまつである。だから私たちは目を細めてそのそばを通り過ぎようとする、火傷することを恐れて」。そんなわけで、主人公の父親はそれほどオリジナリティのあることを言っているわけではありません。

「なぜ人を殺してはいけないの?」という問いに対するとうの答えは、映画監督のはらかずの答え(雑誌『文藝』一九九八年春号)を参考にしました。


 次巻(もしあれば)のサブタイトルは、『私のどこが好き?』。恋人からこうたずねられたとき、皆様ならどう答えますか?