「あんた少しくらい照れるとかしなさいよ!?

「お前が恥ずかしがりすぎるから、逆にこっちが恥ずかしくないんだよ」

「つまりあたしの恥ずかしがり損ってことじゃないっ!」

「おい、埃が舞うから枕でなぐるんじゃない」

 リンゴを咀嚼しながら、動けないタクミは甘んじて枕攻撃を受け入れる。

 しばらく枕を叩きつけたところで、不意にカリンは手を止める。

 楽しそうに、くつたくのないみを浮かべているタクミの姿。

「まったく……いい世界だよ」

 感慨深そうにつぶやくタクミを見て、カリンはなんとなく尋ねる。

「あんたの世界は……どうだったの?」

「別に悪い世界じゃなかったさ。それに……俺もいなくなったから、元の世界にいる奴らも縛られることなく生きてることだろうよ」

 そう、どこか悲しげに語る。

 居場所を失ってしまった……元の世界に想いを馳せる。

 その横顔を見て――カリンはタクミの手を取る。

「――大丈夫、あんたはちゃんと必要とされているんだから」

 子供をあやすように頭を撫で、柔らかなこわで言い聞かす。

「あんたはこの世界でたくさんの人を救った。人間もじんも関係なく、誰も悲しまないように頑張ってきた。あたしたちは……それをちゃんと知ってるから」

 カリンの言葉を聞きながら、タクミは静かに頷く。

「……嫁ってより、今のは姉っぽかったな」

「茶化すんじゃないわよ、バカ」

 ぺしりと額を叩いてから、カリンは微笑ほほえみを向ける。

「あたしたちがちゃんと見届けてあげるから、あんたはどこまでもやり通しなさい」

「言われなくてもそのつもりだ。まだまだ……この世界でやることはたくさんある」

 無理やり身体を起こしてから――タクミは高くうでを掲げる。


「どこまでも――俺は上を目指してやるよ」


 自信に満ちた笑みと共に――自身の理想を貫くことを決めた。