序章 女神さまは望んでいた
いいかげん見慣れてきた純白の空間。
ここ最近は
「――やっふーぅ! ようやくあの人を止めてくれましたねーっ!」
そして、女神は相変わらず能天気で、ヒラヒラと
「いやー、私じゃ世界に
「お前って女神のくせに何もできないよなぁ……」
「いやそんなガチトーンで言わないでくれます? そんなかわいそうな子みたいに見ないでもらえます!? 本当はチートだって
タクミに
その女神を適当に
「それより、あいつについて
それが
エルヴィス――その中にいる旧時代の
それを聞いて、女神フィリアは困ったように笑う。
「……まぁ、言ってしまえば
遠い、
「彼は私たちが生きていた旧時代……世界を救うために
「それが、神王国家リヒテルトってわけか」
「ええ。無名の英雄が『世界が平和で便利になるように』と願い、力無き人々のために組み上げた
「そいつは大層な話だ。国を作るなんて簡単じゃないだろうに」
「元々、彼は国を治めていた人間ですから。
仲間の勇姿を思い返しながら、フィリアは小さく笑う。
「彼は……私や英雄たちの存在を遠い未来まで残してくれたんです。私たちが世界を救うために
そこまで語ったところで、フィリアは表情に
「誰よりもその想いが強かったから……彼は、
その存在を『あり得ない』と言い捨てることはできない。
「一応
「いやいや、前にも言いましたけど私は中間管理職みたいなものですから。限定的に軽い運命操作はできても、人間そのものを変質させるってのは無理ですね」
「それなら、どうやってあいつは転生者みたいな状態になったんだ?」
「うーん……世界って完全ではないですからね。強い想いが世界のシステムを
「管理者がポンコツな上にバグまである世界かよ」
「私はポンコツじゃないですぅー! 世界のバグだって仕様上の問題ですぅー!! それにちゃんと転生者を使ってデバッグしてましたぁーっ!!」
「そんなことだろうとは思ってたさ。でないと転生者を受け入れる意味が無いしな」
転生者という存在の役割。
『前世での未練を晴らす』という目的は、転生者たちにとって事実だ。
そして……転生者が未練を晴らすことで、世界に生じた
「大方、転生者が選ばれる基準は『世界に生じた欠陥に
「……まぁ、だいたい当たってますね」
「それでデバッグのために転生者を呼んでいたが、あのおっさんが転生者の行動を
「それもだいたい当たってるんですよねぇぇぇ……」
「お前ら本当に仲間だったのかよ」
「
どんよりとした
「だけど……私は彼を否定できません。彼は私たちを想ったからこそ、世界が変わることを良しとしなかった。私と英雄たちのために行動してくれていたんです」
「……なるほどな」
短く答えてから、タクミは
そして……ゆっくりと
「わっ……とと、いきなりなんです?」
「問題をまとめて解決するための道具だ。大事に持っておけ」
「え、彼のこともどうにかしてくれるんですか?」
「『女神の代行者』って立場は今後も利用するし、その使用料みたいなもんだ」
「あー、著作権の二次的利用みたいなものですか」
「お前の例は
「ともかく、お前とエルヴィスを引き合わせてやる。そこから先はお前
「なんかあなたの方が女神とか神様っぽいこと言いますねぇ……」
「そんな
「えー、てっきりあなたは神様経験者かと思ってたんですけど?」
タクミの反応を
「あなたは世界の仕組みを知っても動じず、限定的とはいえ私が『神』として作り上げた魔法すら凌駕しました。そして何より――『無数の欠陥が生じた世界を正す』ことに即した転生者が、果たして人間の中に存在しているのでしょうか?」
その言葉を聞きながら、タクミはフィリアの
そして――
「
「…………はい?」
「
「私の上司はよく『健康
「高血圧で死んだ神様がいるとは
「いやまぁ、神が人間の病気で死ぬわけないんですけどね」
「つまり、病死した俺は神でも何でもなかったってことさ」
そしてフィリアに背を向けて歩き出す。
「お前は
どこか
タクミは光の中へと