ホモ・メタバース──肩を寄せ合い、手と手をつないで今はまだ何もない荒野で、それでも大切な人たちの息遣いをはっきりと感じる、ありのままのメタバースの姿。メタバースとは果たして何なのか。そこで我々は何者になるのか。我々はどこへ行くのか。一人の原住民として、伝えることができたでしょうか。
至らないところも多々あると思いますが、少なくともこれが、私自身がこの脚で駆け抜け、「バーチャル美少女ねむ」としてさまざまな人に出会い、この身体で感じ、この瞳に映った、黎明期におけるメタバースの全てです。可能性の宝庫であるその魅力を、まだ体験したことのない方にも興味をもってもらえるように、私なりに精一杯わかりやすくまとめたつもりです。
本書では、「メタバース」とは何なのか、現時点で最もメタバースを体現しているサービスである「ソーシャルVR」の世界はどんなものなのか、メタバースがどういった技術に支えられているのかを解説しました。
そして、メタバースがもたらす三つの革命、「アイデンティティ」「コミュニケーション」「経済」の三つのコスプレ、さらに「感覚」のコスプレ、身体から解放された人類の新たな「進化の可能性」を論じました。
コスプレイヤーはさまざまなコスプレ衣装を身に纏うことで、物理現実にいながらにして、アニメや漫画の二次元世界のキャラクターに変身することができます。
仮想現実であるメタバースでの「コスプレ」は、魂自体に纏うものであり、社会全体で纏うものであり、地球全体で纏うものです。そして、それを通して新たな世界を感じるためのものです。
でも、そのために欠けているピースは山積みです。はっきり言って、どこから手を付ければいいのかわからないほどです。「メタバース」というこの限りない荒野を開拓するのは、新大陸・惑星の開拓に等しい一大事業です。
今私たちにできることは、凍えないように肩を寄せ合い、お互いの息遣いを感じることだけです。手と手をつないで、お互いの温かさを感じることだけです。明日の朝目が覚めたときに、この新しい世界の平和が変わらず続いていることを祈り、ただ、生きていくことだけです。
それが新たな人類種である私たち、メタバースで生きる原住民「Homo Metaverse(ホモ・メタバース)」のあるがままの現在の姿です。