「BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)」とはこれまで紹介した「ファントムセンス」や「触覚スーツ」のように擬似的に感覚を再現するのではなく、漫画『攻殻機動隊』などに登場するような、全ての感覚を仮想空間に接続して入り込む「フルダイブ(全感覚没入)VR」は実現できないのでしょうか。「フルダイブVR」であれば、アバターの身体のあらゆる感覚を誰でも物理現実と全く同じように感じることができ、より臨場感がある体験ができるはずです。
人間の脳(ブレイン)と機械(マシン)を直接つなぐインターフェース「BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)」は1970年代から研究されてきました。手で操作する代わりに機械が脳から思考を直接読み取って考えるだけで操作できたり、逆に、目や耳で機械から情報を受け取る代わりに脳に直接情報を送り込むような用途が考えられています。
BMIには、手術で頭蓋骨を開頭して脳に直接電極などを埋め込む「侵襲式BMI」と、頭皮上に電極を接触させるなど、頭蓋骨の開頭を伴わない「非侵襲式BMI」があります。倫理的な問題もあり手術を行うのは簡単ではないため、1990年代以降、主に「非侵襲式」の研究開発が進められてきました。
ところが、例えば「非侵襲式」のうち主要な方式の一つである、頭皮に接触させた電極から脳の電気活動を読み取る「脳波(EEG)」方式などでは、脳波が非常に微弱なため実用的な精度がなかなか出ないという問題がありました。例えば、人間の顔の表情や眼を動かしている筋肉なども全て電気で動いているのですが、それらの方がはるかに強い電気信号なので、極端な話、ちょっと頭や眼を動かしただけで脳波を読み取るのはすごく難しくなってしまうのです。