iconファントムセンスを「生やす」方法

アバターの身体で感じることのできる「ファントムセンス」、みなさんもぜひ感じてみたいと思ったのではないでしょうか。ファントムセンスはトレーニングや催眠術により後天的に感覚を強めることができることが経験的にわかっており、ソーシャルVRの原住民の間では俗に「VR感覚を生やす」などと呼ばれています。

ファントムセンスを「生やす」トレーニング手法としては、5章でも解説した「スキンシップ」が最も知られています。ソーシャルVRなどでは、感じやすい頭や顔を中心に、友達に繰り返し手で撫でてもらったりすることで、触覚ファントムセンスを開発するトレーニングのような遊びがよく行われています。また、焚き火のワールドで温かさを感じるなど、「ワールド」を利用して一人でできるトレーニング方法もあります。

「クロスモーダル現象」は経験によって生じる感覚です。「想像力」を駆使しながらこうしたトレーニングを行うことで、物理現実における感覚の記憶がメタバースにおけるアバターの感覚に徐々にリンクしていき、ファントムセンスが生じていくものと考えられます。

COLUMN

催眠セラピーによるファントムセンス開発

催眠術を用いた専門家によるファントムセンス開発も行われています。VRヒプノセラピスト「Pyloricom(ぴろりこむ)」さんは催眠を使ってファントムセンスを開発する独自のセラピーを世界に先駆けて仮想空間内で多数行ってきました。「ヒプノセラピー」とは催眠を使って行うセラピー療法のことです。日本ではあまり知られていませんが、アメリカなどでは催眠療法は科学的見地から有効な治療法として広く認められています。

Pylorycomさんは「アメリカ催眠士協会(NGH)」の認定ヒプノセラピストで、仮想空間で行う催眠療法「VRヒプノセラピー」を受け付けています。対人関係やストレスなどさまざまなセラピーを行っていますが、実は現在ほとんどの依頼はファントムセンスの開発で埋まってしまっているらしく、アバターの身体のまま実施できる仮想空間のメリットを生かして、日々多くの人にファントムセンスを生やしているそうです。