iconメタバース原住民たちは何を感じているか

ソーシャルVRの原住民は実際にどのような「ファントムセンス」を感じているのでしょうか。よく話題に挙がるものから順に紹介します。

・落下感覚

感じる人が最も多いと言われており、ほとんどの人が感じます。ソーシャルVRのワールドには高さがあるものもあり、例えば移動の際に建物から飛び降りるなど、高いところから落ちるときに感じます。VRに限った現象ではなく、テレビゲームなどでも、操作しているキャラクターが落ちるときにぞわっとした感覚を感じる人は多いと思います。VRだと一人称視点の没入体験になるため、それよりも遥かに強烈な体験になります。慣れないうちは高所から下を見下ろしたりするとかなり恐怖を感じます。

・風の感覚

こちらも非常に多くの人が感じやすいもので、代表的なものが他人の「吐息」です。ソーシャルVRに限らず、VRの恋愛シミュレーションゲームなどで顔を近づけて来た女の子の吐息を感じてのけぞってしまう事例は有名です。聴覚によって引き起こされる側面が大きいと言われており、音声による擬似感覚を楽しむいわゆる「ASMR動画」などでも、吐息の音声を聞いて耳元にざわっとした感覚を得たことのある人は多いと思います。

VRだとこれに加えて、物理現実で言うところの自然界の風にあたる「ワールドの風」を感じることがあります。例えば、ワールドの木々の揺れかた、空気の中の塵の動き、自分の髪の揺れ具合などによって、その世界の風を感じることがあります。本書ではこれは吐息とは分けて扱います。

・触覚

5章でも詳しく解説したソーシャルVRにおけるアバター同士のスキンシップの際などに、まるで自分のアバターの身体が実際に触られたかのような感覚を覚えることがあります。多くの場合はふわっとした僅かな感覚であり、仲の良い相手とスキンシップをしてそれを楽しむことが一種の文化になっている場合もあります。ただし、感度が強い人の中にはかなり不快感を覚える方や、叩かれたりすると「痛覚」と言えるレベルの感覚があるという人もいるので注意が必要です。

私はあまり強くないですが、フルトラで常に脚を動かしていることもあってか、太ももなどを触られたときにざわっとした触感を感じることがあります。

・温度感覚

ソーシャルVRのワールドには、水中や温泉など温度を感じさせるものが数多くあり、熱さや寒さを感じることがあります。

私は特に温度を感じやすく、そのときの物理現実の季節と極端にかけ離れたワールドに行くのは苦手です。例えば、温泉のワールドでなんとなく身体の熱さを感じて服を脱いでしまったら、そのあと「バーチャル湯冷め」して風邪を引いてしまった、なんて話も聞きます。

・味覚・嗅覚

ソーシャルVR内で食べ物や飲み物の3Dモデルを顔に近づけられたときや、食べる仕草をしたときなどに、味や匂いを感じるという人も一定数います。

私自身は一度も感じたことはないですが、食べ物を顔に近づけられると空腹感が刺激されて夜中に食べてしまって後悔することが多いので、それとは関係なく止めてほしいです。

このように「ファントムセンス(VR感覚)」によって、さまざまな感覚を感じることがあるようです。当然ソーシャルVRの住民でも全く感じない人も多く、「ソーシャルVR国勢調査」のレポートを見るまでは他の人が言っているのを冗談だと思っていたという声も聞かれました。