icon3Dクリエイター:メタバース世界の創造神

圧倒的に需要が伸びるのが「3Dクリエイター」です。本章でも紹介したように「ワールド」や「アバター」を制作する3Dクリエイターは既にいち早くビジネスになっている領域ですが、メタバースの市場拡大に伴い専業の個人クリエイターが今後大きく増えるでしょう。今後メタバース内の経済が活性化し、機能も進化して購入や利用の体験が全てメタバース内で完結し、広告のしくみなどが整備されていくと、メタバース内の主要産業として、今では考えられないほどの経済規模に成長するはずです。

・アバタークリエイター

メタバースのアバターや衣装をデザインする「アバタークリエイター」は、物理現実で言うところの美容師やファッションデザイナーとしての位置づけになるでしょう。ただしアバターはそれに加えて、その人の存在を証明する「アイデンティティ」としての役割を持つため、それよりはるかに重要な存在になります。

現在のソーシャルVRユーザーは技術力が高いアーリーアダプターが多いのでなんでも自分でやってしまいがちですが、今後人口が増えると、私のように専門技術がなくてもクオリティが高い唯一無二のアバターが欲しい人がほとんどになります。そういった方向けに専用アバターを作るサービスを提供する事業が続々と登場するでしょう。

アバターが着る衣装の需要は爆発的に増加し、メタバース専門のアパレル業者がどんどん誕生するでしょう。Neos VRのように、物理現実の美容室のような感覚で、メタバースの中でクリエイティブを提供するサービスも生まれるでしょう。

また、今は存在しませんが、アバターや衣装のコーディネートや技術的なサポートを専門とする「ファッションコーディネーター」が職業として成立するようになります。今後、芸能人や政治家など、時間も手間もかけられないがメタバースでもハイレベルなファッションをしたいハイクラスが増えるのは確実だからです。

・ワールドクリエイター

メタバースで人が暮らす空間(ワールド)をデザインする「ワールドクリエイター」は、メタバース世界の創造神として、最も重要な職業になるでしょう。

現在は趣味でビジュアルが美しいワールドを作るアーティストに近いワールドクリエイターがほとんどですが、メタバースの人口が増えてワールドが大きな集客力を持つと、それに加えて広告や宣伝の需要が拡大します。イメージとしては現在のインターネットにおけるWebデザイナーに近いですが、本章で説明したように三次元広告は二次元よりもはるかに広告効果が高いため、それよりもはるかに重要な存在になります。

作家性・アート性の高いワールドには数多くの人が集まるようになるため、広告ビジネスが成立するようになるでしょう。それに加えて、人々の空間的な心象イメージを熟知し、ワールドのなかの人の流れを自在に制御できるテクニックを持ったクリエイターには、自社のサービスや製品の宣伝をしたい企業からの依頼が殺到するでしょう。

・ゲームクリエイター

本書では具体例は取り上げていませんが、ワールドに関連して、メタバース内でみんなで遊ぶことができる3DのVRゲームをデザインする「ゲームクリエイター」も非常に重要な職業になるでしょう。

現在のVRゲームの課題は、みんなで同じ画面を見て盛り上がるテレビゲームと違い、一人称でプレイするためにその体験の面白さを他人に伝えづらいことでした。現在既にVRChatやNeos VRなどではみんなで楽しめるゲームワールドが人気になっていますが、今後メタバースは、自分自身のアバターの姿でみんなで同じ空間でゲームを楽しむゲームプラットフォームとして成長していくはずです。いずれほとんどのゲームはメタバース版が同時発売されるのが当たり前になるでしょう。

VRには酔いの問題などもあり、動きの激しい通常のゲームをそのまま移植しても快適なゲームプレイになりません。また、大人数で遊ぶソーシャル性が当然のように求められるようになっていきます。そうしたVRゲームのデザインスキルをもったゲームクリエイターはこれから非常に需要が高まるでしょう。