都市のデジタルツイン化現在のメタバースで最も大きな「超空間経済」の事例は「都市のデジタルツイン」と呼ばれる現象です。「超空間経済」と言うと、物理世界からかけ離れた超常の世界のように感じられるかもしれませんが、決してそうではありません。ここで言う「都市」とは、あくまでみなさんの住む物理現実の世界の実在の都市のことなので、とてもイメージしやすいと思います。
「デジタルツイン」とは、物理現実で取得した情報をもとに、デジタルの仮想空間上に物理現実の空間を双子(ツイン)のようにそっくりそのまま再現する技術のことです。日本では地震や洪水などの災害対策のために全国の高精度な測量データが充実していること、国土交通省がデータのオープン化に非常に積極的なことから、日本が世界をリードしていくことが期待される分野です。現在はデジタルツインというと、仮想空間でシミュレーションを行ったデータを元に都市計画を最適化するなど、どちらかというと物理現実の経済への活用が主に語られていますが、私は逆に「メタバース内の経済」を活性化させるために使われる事例が今後大きく増えていくと考えています。具体的な事例を見ていきましょう。
2章でも仮想世界最大のマーケットイベント「バーチャルマーケット」を紹介しましたが、2021年12月にVRChatで開催された「バーチャルマーケット2021」では、物理現実の日本の都市「渋谷」と「秋葉原」の駅と周辺の町並みを丸ごと再現したワールドで買い物を楽しむことができました。これも広い意味での「デジタルツイン」の一種であると考えられます。天気も物理現実のものとリンクしています。
駅の雑踏感や山手線のアナウンス、電車の走行音もリアルに再現されており、実際にVRで体験すると、ここは物理現実なのか仮想現実なのか、脳が混乱するほどです。圧巻なのが、秋葉原駅の改札をくぐると駅前の広場に現れる、アニメ『エヴァンゲリオン』に登場する汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン初号機」です。見慣れた駅前の光景に、巨大ロボット(正しくは人造人間)が存在している光景は非常に衝撃的です。