はじめての超空間経済学第二に、メタバースが引き起こすマクロ経済の革命「超空間経済(Meta-spatial Economy)」について論じます。
従来のマクロ経済学の根源的なテーマは、地球という限られた空間資源をどう社会に配分し、戦争や紛争を減らし、社会を平和的に健全に発展させていくかということでした。
2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンをはじめとして、1990年代以降、こうした経済の空間的な側面に着目した経済学の新分野「空間経済学」が注目されています。コンピューターを用いて経済活動の空間シミュレーションを行うことによって、物理現実世界における空間と経済の関係を最適化し、地方創生を行ったり、産業の最大化を図ったりすることが考えられるようになりました。
ところが、2章で解説したように、メタバースでは空間自体を自由自在にデザインすることができます。空間(ワールド)デザイナーが、空間の広さも、どこになにを置くかも、誰をどこに入れるようにするかも全て自由に決めることができます。また、アクセスするユーザー自身も、必要に応じて空間を思うがまま無限に実体化できますし、どこにでも誰のところにでも瞬時に移動できます。これによりこれまでの「空間経済」は地球という枠組みの限界から解き放たれ、全く新しい経済「超空間経済」が生まれます。
メタバース時代のマクロ経済学においては、経済活動が行われる空間を固定のものと捉えるのではなく、空間自体を自由にデザインする「空間デザイナー」としての目線で経済を捉える「超空間経済学(Meta-spatial Economics)」が最も重要な考え方になってきます。
2016年の国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されて以来、「持続可能性」という言葉が世界的に重要視されるようになりました。持続可能性とは、地球という有限の空間とそこにある資源を未来の世代に向けて責任をもって維持しながら、多様性を守って経済を発展させていこう、という考え方です。
地球の人口は、2050年までに90億に達するとされています。いま人類は「地球の空間」と「経済の発展」という二つの矛盾する命題の狭間で、難しいバランス感覚を求められています。そんななか、空間の制限を受けない「超空間経済」は、人類がさらなる豊かさを追求する上での一つの解になると私は考えています。
それでは、現在黎明期のメタバースで起こっている実際の「超空間経済」の可能性を見ていきましょう。