
現状の課題としては、購入して衣装を楽しむまでの体験がメタバース内で完結しないことが挙げられます。VRChatの場合、以下の3ステップを物理現実で行って、はじめてメタバースで衣装として着ることができます。
昔よりは劇的に進歩したとは言え、専用のツールを使う必要があり、はっきり言って一般人にはまだ敷居が高いと言えるでしょう。ちなみに私はこれらの作業は全て外注しています。
本来であれば、これらの体験は全てメタバース内で完結するのが理想です。現実と同じようにメタバース内でファッションモールに行き、モデラーさんや店員さんと会話を楽しみながら衣装を選んで、その場で試着して、気に入ったらその場で決済して購入、そのまま衣装を着てパーティに繰り出せる、というのが本来あるべきメタバースでのファッション購入体験の姿だと思います。現時点ではVRChatはまだ個人決済なども実装しておらず、そういうしくみは作れないのです。
ちなみに、2章で既に紹介しましたが、Neos VRではメタバース内でクリエイティブを自分で作ったり、あるいは人に作ってもらったりできるので、今自分が着ているアバターをリアルタイムにプロに改造してもらうことができます。美容室で髪型をセットしてもらうような感覚です。まだそういった活用事例はそれほど多くはないですが、理論上はその場で髪型を変えてもらうことも、オーダーメイドの衣装をその場で仕立ててもらうことも可能ですし、仮想通貨で代金を払うことも可能です。
このように、分人にさまざまな姿かたちを与えることのできる「アバター」は、分人が「アイデンティティ」を確立し「ファッション」を楽しみたいという強い需要のもと、「アバター経済圏」という新たな経済圏を生み出しました。これは今後既存のアパレル産業と同様に、大きな産業として発展していくと私は考えています。