「バーチャルセックス」とは何か第四に、メタバースにおける性的なコミュニケーション、「セックス」について見ていきましょう。1章ではメタバースを「そこで人生が送れる人類の新たな生活空間」と捉えました。「性欲」は、VR飲み会で語った「食欲」やVR睡眠で語った「睡眠欲」と並ぶ、人類が生きていく上で重要な「三大欲求」の一つです。メタバースを語るにおいて、これは決して避けることのできない話題だと私は考えます。
本書における「バーチャルセックス(VRセックス)」とは、仮想空間を介した「対人の」性的コミュニケーションのことを指します。コンピュータ相手のゲームのことではありません。具体的に行われる行為に関しては、基本的には物理現実のものと違いはありません。言葉や声による濃密なやりとりや、肉体の代わりにアバターを使った身体の触れ合いを通して行われます。
スキンシップの節で説明したのと同様、物理現実のセックスと違い、物理的な触覚があるわけではありませんが、「ファントムセンス(VR感覚)」(7章参照)によって擬似的に触覚を感じている方もいます。
バーチャルセックスは、メタバースでのパートナー関係の間で行われることも多いですが、物理現実と同様、必ずしもイコールというわけではありません。バーチャルセックスを行わないお砂糖カップルも多いです。
当然ですが、物理現実と同様非常にデリケートなことなので、メタバースでも気軽に話題に出していいものではありませんので十分に注意してください。
バーチャルセックスの大きな転機になったのは2021年2月、ソーシャルVRにおいて「バーチャルセックスがはじめて一般に開放された」ことです。具体的に言うと、新しく一般公開された新興ソーシャルVR「Chillout VR」が「成人向けの内容」を表示することを許可するオプションを提供したのです。これは画期的なことで、実はこれまで2章で説明した既存のソーシャルVRでは、一般的に「ポルノに該当する内容」の共有などはユーザーの年齢に関わらず規約上一切禁止あるいは制限されていました。つまり、Chillout VRの登場により、はじめて一般ユーザーが、バーチャルセックスについて他人に共有する可能性が開かれたのです。
これを私は「バーチャルセックス元年」と呼んでおり、将来的にメタバースにとって重要な意味をもつであろうと考えています。