ソーシャルVRで距離感が物理現実より近くなる理由は、もちろん現在は経済性が未発達でビジネス目的で利用している人が少なく、コミュニケーションを楽しむために集まっている人が多いから、ということがまず考えられます。

もう一つの理由として、アバターの影響が考えられます。特に距離感が近いVRChatや日本のユーザーは、3章で述べたように「相手との距離を縮めるツール」としての側面がある「女性アバター」の利用率が突出して高くなっています。この女性アバターというフィルタの介在により、これらの社会では現実よりもお互いの距離感が縮まっているということは考えられます。日本の特異性として、先行したVTuberによる「バ美肉」ブームによる影響で「中の人」の物理性別に関わらず美少女キャラになることの抵抗が特に少ないことを考えると、今後メタバースが世界的に一般化になるにつれ、この傾向はますます強くなっていくのかもしれません。

私自身の実感としても、もし美少女アバターの姿で出会っていなかったらこの人とはこんなに仲良くなれなかっただろうな、と思うことばかりです。オフ会などでいつもの美少女でない姿で会った際には、やはり少し距離ができてしまうという話もよく聞きます。

このようにメタバースでは、物理現実では起こり得なかったような、人と人との近しい距離感が生まれています。それはすなわち「心理的距離感」であり、私たちの関係性を近づけていきます。