
これまで見てきたように、メタバースでは「アバター」の姿を纏うことによって、物理現実の自分の肉体の属性に囚われない自由な姿で生活することができます。「アバターの性別」は自由に選べるため、心身の性別の不一致を抱えるユーザーもなりたい性別の姿になるために利用しています。一方で、自己表現やコミュニケーションをしやすいという理由から、女性型アバターを選ぶユーザーの比率が物理性別に関わらず非常に高くなっています。物理現実の性別を超越した概念上の存在「美少女」を目指している人もいます。また、「アバターの種族」についても、自身の個性をより強く示すために、ファンタジー要素のある「亜人間」が最も多く選ばれています。このように、物理現実ではあり得なかった、多様性のある自己の在り方が生まれています。
メタバースでは「アバター」という視覚世界のアイデンティティをデザインすることによって、「なりたい自分」の「姿」で自由に生きていくことができるのです。こうしたアバターの姿は纏っている人間の行動や性格にも影響を及ぼすことが知られており、「プロテウス効果」と呼ばれています。アバターは心を映す鏡であり、私たちの精神そのものを大きく変質させていくでしょう。