顔トラ:アバターの顔と一体になる「フェイシャルトラッキング」略して「顔トラ(かおとら)」とは、フェイス、つまり顔の動きをアバターと連動させるトラッキング技術のことです。頬やくちびる、舌べろの動きまで三次元的に連動させることができるようになります。
2021年4月にHTCが発売した「VIVEフェイシャルトラッカー」をVRゴーグルに後付することで、VRゴーグルを被るだけで顔トラが可能になります。今の所公式に対応しているのは「VIVE Pro」シリーズだけですが、実はこれは単なるUSBデバイスなので、アタッチメントなどを使ってVRゴーグルに固定できさえすればどのVRゴーグルでも利用することができます。裏面にIR(赤外線)カメラが二つついており、立体的に顔の下半分の動きを検出することができるようになっています。また、こちらもMetaの将来のデバイスでも搭載する可能性をザッカーバーグが示唆しています。
顔トラに対応しているソーシャルVRは「Neos VR」「バーチャルキャスト」などです。ただし、バーチャルキャストは「あ」「い」「う」「え」「お」の5種類の表情が選ばれる擬似的な対応になっています。現状「VR Chat」「cluster」は対応していません。
顔トラを使わなくても、一般的にソーシャルVRでは、喋っているときの声に合わせてアバターの口が動く「リップシンク」という機能があるし、表情もコントローラーで選ぶことができるので、違和感が出ることはないのですが、顔トラをつかったときの感覚ははっきり言って別次元です。
特にNeos VRでは、ほっぺをふくらませたり、あっかんべーをしたり、口をすぼめたりできるほど、ダイナミックな顔の動きから繊細な感情表現までできるようになります。デフォルメされたキャラクターの顔で感情表現すると、物理肉体の顔よりもはっきりと表情が表現できるようになるので、自然とコミュニケーション時の感情表現が豊かになっていきます。必ずしもアバターをリアルに動かす必要はなく、目をつぶった表情の顔文字など漫画的・記号的な表現を当てはめることも可能です。
特にアイトラとセットで使うと、アバターの顔が完全に自分の顔になったかのような感覚に陥ります。VRゴーグルを脱いで、顔を洗いに洗面台に立って自分の物理肉体の方の顔を見ると「誰?」ってなるほどです。
ソーシャルVRでは表情がバレないのがメリットなので、顔トラは逆効果だ、という意見を聞きます。たしかに、私自身はメタバースでは感情を強調して出していくスタイルなので、あくびをしてしまったり、表情で相手の話に興味がないのがバレてしまう欠点はあります。ただし、物理肉体の顔とアバターの顔の表情を必ずしも一対一で対応させる必要はないので、たとえば、ねむそうな表情をしてるときはキリッとさせるとか、そういうフィルタを作ってコミュニケーションを円滑にするような活用も今後広がるかもしれません。