
6DoFでは、角度を認識するジャイロセンサに加えて、後述する「ポジショントラッキング(位置認識)」機能を搭載する必要があり、VRゴーグルが高価になりがちだという問題がありました。実際、VR元年の2016年に発売されたVRゴーグルは概ね10万円程度の価格帯で、その時点ではまだ爆発的な販売数というわけではありませんでした。
そこで6DoFの代わりに低価格路線の普及モデルとして、2018年にOculus VR社が発売した「Oculus Go」をはじめとして、2~3万円の価格帯で「3DoFの廉価版VRゴーグル」が各社から発売されました。しかし、体験の没入感が乏しくてほとんど定着せず、Oculus Goも結局2020年に販売終了しました。
また、2017年に登場したGoogleの「Daydream View」をはじめとして、セットしたスマートフォンのディスプレイとジャイロセンサを流用することでさらに安価な数千円~1万円程度の価格帯を実現したVRゴーグル、いわゆる「モバイルVR、スマホVR」も各社から発売されました。しかし、こちらも当然3DoFであるためあまり定着せず、Daydream Viewも2019年に販売終了してしまいました。
3DoFのモバイルVRは、気軽な360度映像の体験用途でいまも使われていますが、6DoFのVRとは全く次元の違うものです。本格的なVR体験を期待すると失望するでしょう。最近のハイエンドスマートフォンは解像度が4Kや8Kなど高いものもあり、そこだけを見ると最新VRゴーグルを上回っているモバイルVRもあります。いまだに解像度だけを比較しているメディアも見られますが、このように根本的に別の体験なので、あまり意味はないです。
2020年に発売された「Meta Quest2」は、6DoFながら低容量版なら3万円台と、それまでの常識では考えられない価格帯で発売されました。これにより、もはやVRゴーグルと言えば当然「6DoF」だろう、という方向に今後はなっていくのではないかと私は考えています。