icon没入感を実現する三つの映像性能

VRゴーグルの映像性能の指標には大きく分けて「解像度」「視野角」「リフレッシュレート」の三つがあります。どれもVR体験の没入感に大きく影響します。

・解像度

「解像度」は、ディスプレイに表示される画素(ピクセル)の数のことで、仮想世界における「視界の精細さ」になります。解像度が低いと視界がぼやけたようになったり、網目越しに映像を見ているような感覚に陥る「スクリーンドア効果」が起こってしまったります。高いほど視界がくっきりして細かい文字なども読みやすくなります。

VR元年と言われる2016年の「Oculus Rift」「HTC VIVE」では、解像度は両眼合わせてHD(1080×1920ピクセル)より一回り大きい程度で、まだ網目感が気になるという声も見られました。ところが、たった数年で急速に高精細化が進み、現在事実上の標準モデルである「Meta Quest2」では4K(2160×3840ピクセル)弱もの解像度になりました。私の体感ですが、このくらいになると普段なんとなく使ってる限りでは網目感が気になることはほぼなくなり、かなりクリアな世界になってきます。さらにハイエンドの「HTC VIVE Pro2」などでは約5K(2880×5120ピクセル)になり、細かい部分に目を凝らしてもクリアな印象で文字もくっきり読みやすくなります。現在では、なかには8K(4320×7680ピクセル)相当のものも登場しています。ちなみに、現在の日本の地上デジタルテレビ放送はHDに満たないですから、全方向に映像を表示するVRゴーグルの体験がいかに高い解像度を要求するかわかるかと思います。

なお、人間の「肉眼」と全く変わらないレベル、つまり「VRゴーグルを被っていることに気づけないレベル」を実現するには両眼で約32Kもの解像度が必要とも言われています。ただし、精細になるほど必要なゲーミングPCの負荷が上がり、VRコンテンツ側の解像度も高くないと意味がないので、ただ解像度だけ上げればいいというわけではありません。現時点でも、5K以上の解像度となると、現在一般的なゲーミングPCの中でも最高クラスのものが必要になってしまい、相当敷居が高いです。今後の進化としては、ゲーミングPCの性能やコンテンツの充実度と足並みを揃えながら、どこまで高い解像度が必要なのか探っていく流れになると思います。

・視野角

「視野角」は、ディスプレイがカバーしている視界の広さの角度のことで、仮想世界における「視界の広さ」になります。狭いと双眼鏡を覗き込んだようになり、広いほど世界が開けたようになります。

Meta Quest2は水平方向で約110度の視野角になっており、こちらは2016年のモデルと同等です。スキーのゴーグルなどでも結構視野角は狭いので、視野角はそこまでなくても耐えられるものなのかもしれません。ハイエンドモデルの「HTC VIVE Pro2」だと視野角は120度もあり、たしかに視野角が広いほど世界に包まれてる没入感は上がっていく印象です。現在では一部では200度など、非常に広い視野角のものも登場しています。

なお、人間の「肉眼」の視野角は水平方向で約210度と言われており、広いほどいいのは間違いないのですが、視野角を上げようとするとどうしてもVRゴーグル自体が物理的に巨大化してしまうという根本的な問題もあります。