メタバースになるための課題、交錯する期待と懸念まだβ版なので当然ですが、公開されている情報をみる限り今後の課題は多いです。「大規模同時接続性」は一つのワールドに入れる人数上限が20人と少なくなっています。「自己同一性」については、アバターの自由な利用ができません。「経済性」は実装されておらず、ユーザーがHorizon内でお金をかせぐ手段は一切ありません。「アクセス性」については、現状Meta製のVRゴーグルにしか対応しておらず、VR以外のアクセス手段はありません。
現時点では必要最小要件を満たしておらず、メタバースと呼ぶのは難しいと言えるでしょう。ですが、Metaは他のソーシャルVRを運営する企業とは比較にならない資金力・開発力・影響力のある「ビッグ・テック」です。社名を「Meta」に変えて背水の陣で挑む以上、今後相応の進化を遂げ、大きなシェアを狙うことは言うまでもありません。
そうなったとき、やはり懸念されるのが2章でも説明した「クローズド・メタバース」化です。仮にMetaの圧倒的な力を背景にHorizonが独占的なメタバースになり、コンテンツなどが他と互換性のない形式・ルールに進化してしまうと、メタバースが不自由なものになったり、Metaがメタバースの支配者として暴走したりしかねません。特に、Metaは他のメタバース企業と違ってFacebookでリアル世界における個人の実名や行動を把握しています。例えば、メタバースで仮想キャラクターとしての名義で活動する私のような存在にとっては、仮にHorizonが支配的なメタバースになり、Facebookの実名アカウントとの連携が必須とされてしまうと、Metaに命を握られたも同然です。
もちろんザッカーバーグはそういう懸念が向けられていることは重々承知しているはずです。メタバースはこれからの発展に莫大な投資と長期的な開発が必要とされる分野であり、私もMetaには非常に期待しています。今後こうした懸念とうまく折り合いをつけ、他者を脅かさないかたちでメタバースの世界を牽引していってくれることを願っています。
いずれにせよ、今後の正式版・全世界リリースにむけて、Horizonがどういった進化を遂げるのかは注目です。