iconリアルワールドメタバース

また別の考え方として、世界的なスマートフォンARゲーム『ポケモンGO』で知られるアメリカのNiantic社が提唱する「リアルワールドメタバース(Real-World Metaverse)」というものがあります。2021年8月10日、Niantic社CEOジョン・ハンケは「メタバースはディストピアの悪夢である」という衝撃的な記事を公開しました。現実を捨てて仮想の世界に逃避するような未来はディストピアであり、テクノロジーは現実の世界(私の言うところの物理現実)の暮らしを豊かにする方向に活用すべきだと言う主張です。

つまり「⑥アクセス性」をさらに発展させ、私たちが物理現実から仮想世界にアクセスするのではなく、私たちが生きるこの物理世界そのものにAR(Augmented Reality、拡張現実)技術で仮想のオブジェクトを出現させることで、物理世界に寄り添うかたちでメタバースを構築していくべき、という考え方です。

ただし、ようやく個人のパソコンで自宅からなんとかメタバースに入れるようになった現在の技術的状況で、スマートフォンなど持ち運びできる端末ではスペック的に大きな限界があります。VRゴーグルと比べると、ARグラスは普及用の端末がまだ実現しておらず、ARの技術的な課題はまだ大きいと言えます。

ところで、私はこの考え方を一切否定するものではありませんが、私のような仮想現実世界で生きている者にとって仮想現実もあくまでリアル(現実)の一部ですので、物理現実だけをリアルと捉える「リアルワールドメタバース」という言葉は随分失礼な表現だと思っています。