iconメタバースは荒野のフロンティア

Metaの発表以来、各種メディアは連日「メタバース」を取り上げ、投資家はこぞって関連銘柄を買い漁っています。私自身も数多くの取材を受けています。いちメタバースの住人として、巨大資本が投下されて業界が活性化するのはとても喜ばしいことだと私は考えています。

フロンティア時代の今のメタバースは、まだ貨幣経済が成立していない旧石器時代の、何もない荒野みたいなものです。その代わり、さまざまな「魔法」が使えます。距離の制約を超えて人と会えたり、会いたい人を召喚できたり、好きな姿に変身できたり、空を飛べたり、どこでもドア(瞬間移動)や四次元ポケット(アイテムを呼び出すしくみ)が使えたり。はっきり言って、慣れてしまうと物理現実が不便で仕方ないほどです。今後本格的な経済活動が始まると、物理現実からメタバースに経済の主軸が移り、物理現実の制約から解き放たれた巨大な経済圏が生まれるのは間違いないと私は考えます。

しかし、この荒野を開拓するのは、新大陸・惑星の開拓に等しい一大事業です。欠けているピースが山積みです。

はっきり言って、それは一部の人が語るような、一朝一夕で実現するようなものでは決してありません。投資期待で本書を手にとった方などは失望するかもしれませんが、私はそれでいいと思っています。根拠のない過剰な期待はただのバブルであり、悲劇を生むだけです。仮想通貨関連ではそれで涙を流す人を何度も何度も見てきましたが、メタバースの世界では繰り返したくないと思っています。そのために私ができることは、事実を伝えることだけです。

一方で私は、短期的な投資のリターンなどよりも、その先の未来の鼓動に胸を震わせています。「メタバース」の概念は、繰り返し消費されるIT業界のバズワードなどでは決してなく、「次のインターネット」という言葉で語ることすら空疎な、私たちの生活・価値観を根底から揺るがす、人類史の壮大な転換の始まりだと知っているからです。