本書の目的と内容本書は、メタバースについて興味を持った幅広い読者の方を対象に、現在のメタバースの真の姿、そして未来の可能性を伝えることを目的としています。
技術評論家や投資コンサルタントには絶対に書けない、実際にメタバースに生きる原住民ならではリアリティ溢れる内容を、データの裏付けと共にお届けします。私のこれまでの全ての活動の集大成として、メタバース解説書の決定版と言えるものを目指して執筆しました。きっとメタバースへの興味を深め、知的好奇心を刺激する内容になっていると思います。
前半はメタバースの基本的な解説をしていきます。
1章では「メタバース」とは何なのか、その由来や歴史、具体的な定義を考察します。また、既存のSNSやオンラインゲームとの違い、誤解されがちなAR/VRやNFTとの関係を解き明かし、メタバースがもたらす「三つの革命」のポイントを整理します。
2章では、明らかにした定義に基づいて現時点で最もメタバースを体現しているサービスであると考えられる「ソーシャルVR」について解説します。各種サービスをさまざまな観点で比較し、どんなユーザーにどのような目的で使われているのか、また、それぞれが抱える課題についても具体的に解説します。さらにMetaの新サービス「Horizon Worlds」についても期待と懸念を論じます。
3章では、メタバースがどういった技術に支えられているのか紹介し、その中でも特に根幹技術である「バーチャルリアリティ(VR)」と、それを実現する三つの要素、「VRゴーグル」「トラッキング技術」「アバター技術」について解説します。
後半は、数多くのメタバース原住民へのインタビューや私自身の体験、そして「ソーシャルVR国勢調査」のデータをもとに、現在のメタバースにおける生活実態や文化、そして未来の可能性を「三つの革命」に沿って具体的に解説していきます。
4章では第一の革命「アイデンティティのコスプレ」を論じます。メタバースでは「名前」「アバター」「声」の三つの軸で自らのアイデンティティを自在にデザインできます。なぜ現実とは違う「なりたい自分」として生活するのか? なぜ現実と違う「性別」で生活するのか? 「受け入れる」ものから「デザインする」ものに変化した、新たな「アイデンティティ」の在り方を考えます。
5章では第二の革命「コミュニケーションのコスプレ」を論じます。メタバースにおいて重要となる非言語コミュニケーションの中でも、特に心理的距離を反映しやすい「距離感」と「スキンシップ」を観察し、人と人との関係性の変化を明らかにします。さらに、特別な相手との親密な関係性である「恋愛」、そして「セックス」の実情に迫ります。より本質的なコミュニケーションが加速されることで生まれる、新たな「社会」の在り方を考えます。
6章では第三の革命「経済のコスプレ」についてミクロ経済・マクロ経済の両面から論じます。経済の最小単位が「個人」から「分人」に移行する「分人経済」というクリエイターエコノミーの究極系、そして、従来の地球という枠組みに縛られた「空間経済」から空間自体をデザインする「超空間経済」への移行がもたらす人類の更なる発展の可能性を提示します。さらにメタバースで生まれる「職業」を考察し、新たな「経済」の在り方を考えます。
最後に7章では「身体からの解放」を論じます。原住民が感じ始めた新たな感覚の可能性「ファントムセンス(VR感覚)」について解説し、その原理的背景、いったい何を感じているのかを明らかにします。また、触覚を物理的に再現する「触覚スーツ」や、全感覚で没入できる「フルダイブVR」への期待がかかる「BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)」について解説し、身体から解放された人類の新たな「進化」の可能性を考えます。