セレナは属性的に教会に顔が利くのかと思ったけど、それだけじゃないのかな?
そういえば──僕はしばらくガイたちとパーティーを組んでいたけど、素性とかは知らないんだよね。彼らも家名について話したくなさそうだったし、僕自身が似たようなものだったから深くは踏み込まなかったんだ。
「とにかく元気になって良かった。とはいえ、魔力枯渇は一見良くなったように見えても実際は回復しきれていないことも多い。特にネロは元の魔力が多いようだからね。今日一日はここにいていいからゆっくり休むといいだろう」
「え、でも迷惑じゃ?」
「神父がいいって言ってんだから大人しく従ってろや! 殺すぞ!」
「えぇ!」
元気になってすぐに殺すとか勘弁して欲しいよぉ~。
「でもギルドの報告とか」
「チッ、面倒だがそっちは俺らでやっておいてやる」
ガイが意外なことを言った。まさかそこまでしてくれるなんて親切すぎて逆に怖い。
「そういうことならネロも大人しくしておこう? それにパパもね、今日は安静にさせておけって言ってたの。だから急ぐ必要ないからね」
エクレアが心配そうに僕を見て言った。サンダースの顔が頭に浮かぶ。
「え? そうなんだ……マスターにも気を遣わせちゃったかな……」
「だからそういう心配が不要ってことでしょう。たく、ネロは真面目すぎなんだから。ガイの言っているように後のことは私たちに任せておきなさい」
腕を胸の正面で組みフィアが言った。なんだか逞しい。
「そうですよ。ゆっくり今は体を休めて」
セレナも僕を気遣うセリフを口にしてくれた。皆が心配してくれているんだ。
「……みんな。うん。ありがとう。でもみんなこそ大丈夫? あれだけの戦いだったわけだし」
「ざけんな! 俺はテメェみたいにひ弱じゃねぇんだよ! 殺すぞ!」
「えぇ!」
なんかガイに胸ぐら掴まれて怒鳴られたよ!
「チッ。これ以上お前と話してても調子狂うからな。行くぞ」
「はい」
ガイが二人を促した。セレナが応えガイも背中を見せる。
「ガイ──今回はありがとう。一緒に戦えて、なんかパーティーを組んでた頃をちょっと思い出したよ。と言っても前は僕戦闘では役に立ってなかったけどね」
「勘違いしてんじゃねぇぞ!」
僕がお礼を言うとガイが声を荒らげて顔だけで振り返った。
「今回は仕方なく組んでやっただけだ。馴れ合いはごめんだからな」
「あ、ごめん……」
確かに一度は追放された僕に言われても迷惑なだけだよね……。
「それとだ……テメェはもうろくに戦えねぇような腑抜けじゃねぇ。ちっとはマシになった。本当に少しだけな! だから……さっさと調子を取り戻しやがれ。昇格試験のときに体調不良で出れませんなんて格好つかねぇんだからな!」
それだけ言い残してガイとセレナがまず部屋を出た。昇格試験……そういえばCランク試験の話があったよね。
「それじゃあ……私も行くね。エクレア、その、ネロを頼んだわよ! 目を離すとすぐ無茶しちゃうんだから」
「あ、うん」
「はは。じゃあね」
フィアがエクレアに僕のことを伝えた。エクレアが答えると微笑して踵を返した。
「フィア! また話そうね。食事も一緒にしたいし、私、もっとあなたと話したい!」
そんなフィアの背中にエクレアが呼びかけた。そうか二人共、昔からの親友みたいに打ち解けたんだね。
「──ありがとうエクレア。もちろんだよ。私もエクレアと仲良くしたいもの。じゃあネロもしっかり体休めなさいね!」
そしてフィアもガイたちの後を追っかけていった。
なんかみんなに心配されちゃったね。こうなったら僕もしっかり体を休めないとね──。

「お前はネロの側にいなくて良かったのかよ」
「余計なお世話よ。大体私はあんたのパーティーの一員なんだから。報告に行くというなら一緒に行くわよ」
ガイに問われフィアが答えた。
「チッ、そういうところは無駄に真面目だな。そんなんだから損するんだぞ」
「あんたみたいに素直になれないタイプよりは上手く生きているつもりよ」
「はぁ? 俺のどこが捻くれているってんだ!」
「ガイ、フィアはそこまでは言ってませんよ」
ため息交じりにセレナが伝える。ガイは面白くなさそうな顔を見せぶつぶつと呟いていた。
セレナとフィアは苦笑しながらもガイについて行き、三人で冒険者ギルドに向かった。
ギルドに入るとフルールも含めて職員総出で慌ただしそうにしていた。やはり黒い紋章持ちが現れた事件もあって対応に追われているのだろう。
通常業務も並行してこなす必要があり、中には泊まり込みで職務をこなしている職員もいる状況である。
「仕方ねぇ。このままマスターの部屋行くぞ」
「え? いいの?」
「こっちだって報告するよう言われているんだ。問題ねぇだろう」
「相変わらず強引ですね」
セレナが肩を竦めるが、ギルドの職員が忙しそうなのも確かなのでガイと一緒に二階へ向かった。
「おう、邪魔するぞ」
「ちょ、せめてノックぐらいしなさいってば!」
フィアに注意されるも関係なしにガイがズカズカとギルドマスターの部屋に入っていく。
「なんだ貴様らは? 失礼だろう!」
「あん?」
部屋に入ると机にはサンダースと来客の姿があった。ガイたちから見て机を挟んだ手前側には鎧姿の二人がいて、銀髪の若い男が振り返りガイに文句を言ってきた。不機嫌そうに眉を顰めるガイ。ジロジロと文句を言ってきた男を見ると、鎧には王国の紋章が刻まれていた。
「チッ、なんで騎士連中がいんだよ」
ガイが不満そうに頭を掻く。その態度に若い銀髪の騎士が怒りを顕にする。
「我ら王国騎士団に向けてなんだその失礼な態度は!」
「落ち着けバエル。冒険者に礼節を求めることがそもそも間違いなのだからな」
ガイの態度に荒ぶる若い騎士を年長の騎士が宥めた。会話の様子から若い騎士の名前がバエルだとわかる。
「おいおっさん。この連中はあれか? 俺らに喧嘩売っているのか?」
ガイが騎士二人を睨み言った。聞いていたサンダースが嘆息し答える。
「やめとけ馬鹿。今回の件もあってサジェス砦からやってきた王国騎士様だ。そちらが第八騎士団所属の団長グラン。若い方はバエルだ。で、こっちが勇者パーティーとして活動しているガイ、セレナ、フィアの三人だ」
サンダースがガイたちに騎士の二人を、騎士にはガイたちを紹介した。ガイはフンッと鼻を鳴らし不遜な態度を貫いている。
「ほう。あなたたちがあの勇者パーティーですか。これはこれは、どうぞよろしく」
グランが笑みを浮かべて挨拶した。しかしその目は全く笑っていない。
「砦からここまでご苦労なことね」
「ハハッ。この領地は我らの管轄ですから当然のことですよ」
騎士とは基本王国に所属する王国騎士のことを指す。王国の各所には砦が設けられており、王国軍所属の騎士や正規兵が配属され、管轄の領地で問題が起きた際などには出動する形を取っている。
なお、領内の各町などに所属する衛兵などは領主が予算を組み雇う私兵となる。
「勇者パーティーね。巷では随分と無能を晒しているようではないか。そんな連中が勇者とは片腹痛い」
「テメェ、やっぱり喧嘩売ってやがるのか」
バエルが目を細め小馬鹿にするように口にすると、ガイが眉をひくつかせ若い騎士に噛みついた。
「失礼だぞバエル。彼らだって今回はそれなりに活躍したそうではないか」
「それなりとは随分な言いぐさね」
バエルに態度を改めるように伝えるグランだが、その彼自身もどこか下に見ているような言い草だ。フィアもセレナも不満を顕にしていた。
「グラン卿。今回の件は彼らの活躍があったからこそ被害を最小限に抑えられたと思っている。そこは考慮して欲しいところですな」
サンダースが彼らの功績を認めるよわずかに語気を強める。
「ふむ。確かに町にみすみす潜入された上、奴らにいいように暴れられ、あまつさえみすみす罠にハマり暴走したどこぞのギルドマスターよりはマシですかな」
底意地の悪そうな笑みを浮かべグランが語る。その態度にガイの表情はますます険しくなった。
「テメェら。さっきから好き勝手言ってやがるが、そのお偉い騎士さんは町が大変なときにのんびり砦で何してたんだかなぁ。何もできてねぇ連中が偉そうにしてんじゃねぇぞゴラァ!」
ギルドマスターのサンダースへの態度を見て、ガイがキレ気味に言い放った。フィアが慌てた様子で声をかける。
「ちょ、ガイ言いすぎ──」
「そうですよ、流石に騎士相手ですし、もう少し柔らかく。町が大変なときにのんびりされてて楽ですねとか」
「いやセレナも言い方──」
ガイを止めようとするフィアだったが、セレナも意外と棘のある言い方であり、更に戸惑っていた。
「もちろん早めに連絡いただければ対処のしようもありましたがね。我々のもとに連絡が来たのは全てが終わってからでしたので」
グランが冷たい笑顔を残したまま答えた。その隣ではバエルが不機嫌そうにしている。
「貴様らのような根無し草な連中と違って騎士は毎日忙しいのだ。大体貴様らこそもっとしっかりやっておけば我々もすぐに動けたのだ。全く。何が冒険者だ勇者だ。使えん連中め!」
グランに続いてバエルが強気な発言をした。明らかに自分たちの方が上だと言いたげな口ぶりであり、ガイたちのイライラをより積もらせた。
「バエル。彼らは彼らなりにやったのだ。犠牲者がそれなりに出ていたがな。我々がしっかり動いていればこのような惨劇は起きなかっただろうが、それでも冒険者連中がいたから最悪の事態はなんとか免れたといったところか」
「──チッ」
グランのセリフに舌打ちするガイ。視線を逸らし先日の戦いを思い出している様子だ。あのとき確かにガイには救えなかった命もあった。
「……俺が不甲斐なかったのは素直に認める。だがガイを含めうちの連中はよくやってくれた。この場にはいないがネロという魔法師の力も大きかったしな」
ネロの名を耳にしガイの目がサンダースに向く。
一方でグランは薄笑いを浮かべ思い出したように語りだす。
「ネロですか……彼の話は確かに私も耳にしましたよ。なんでも水の紋章持ちとか」
「ハハハッ! よりにもよって水の紋章持ちが活躍? 冗談も休み休み言ってもらいたいものだ。それともこのギルドは無能な水使いに頼らなければいけないほどに人材が不足しているのかな?」
サンダースの説明にグランが応え、バエルが挑発じみた発言をしてみせた。聞いていたガイの表情に怒りが滲む。
「テメェら。あいつのことも知らずに好き勝手言ってんじゃねぇぞゴラァ!」
「そうよ。ネロの水魔法は凄いんだから。重くて強くて黒い紋章持ちだって敵わなかったほどなんだからね!」
ガイとフィアが噛みつくと、グランが二人の様子を見ながら冷ややかで意地の悪い微笑みを口元に浮かべ言う。
「これはこれは、よりにもよって水が重たいとは、揃いも揃って夢でも見ていたのかな?」
「全くですよ団長。しかも水が強いとか、冒険者は低能の集まりと知ってはいたがここまでとはな」
グランとバエルが小馬鹿にしたように笑った。その様子にガイが怒りを顕にする。
「テメェ!」
「そこまでだガイ。これ以上こんなところで言い合っていても仕方ないだろう。お二人も要件は既に済んでいるだろう?」
今にも飛びかかりそうなガイをサンダースが制し騎士の二人にも問いかけた。暗にこの場から出ていくよう伝えているようだった。
「──ハハッ。確かに。では先に話した通り【深淵をのぞく刻】の三人は預からせてもらいますよ」
「あん? おい、どういうことだおっさん! こっちで捕まえた連中をみすみすこんな奴らに明け渡すってのかよ!」
「黙ってろガイ。国の判断だ」
ガイが不満を顕にするがサンダースは窘めるように答えた。聞いていたフィアやセレナも不満そうに険しい顔を見せている。
「そういうことですよ自称勇者君。黒い紋章持ちの罪人は元々は我ら王国騎士団が追っていた連中でもあるのだ」
「そういうことだ。お前らのようないい加減な冒険者共が扱うような案件ではないのだからな」
「それならばなおさらもっと早くに対処できなかったのですか? それこそ騎士団の怠慢では?」
バエルとグランの話を聞きセレナが反論した。二人の騎士が表情を曇らせる。
「ハッ、よく言ったぜセレナ。お前の言う通りだ。一体どっちが無能なんだかなぁおい」
「貴様! 我らを愚弄するか!」
「やめろバエル。言わせておけ──ガイといったな、貴様の名前よく覚えておくぞ」
バエルを宥めるも、グランのガイを見る目は険しい。そして部屋を出ようとする二人だが。
「──ところでセレナといったか? 君はアタラクシア家と関係があったかな?」
耳元でグランに囁かれセレナの顔が強張った。
「──いえ、別に……」
「ふむ。そうか。昔君に似た子を見た気がしたんだが……まぁいい」
そして騎士の二人が部屋を出た──。
「気に食わねぇ連中だぜ。おっさんもおっさんだ! なんであんな連中にクソどもを引き渡すんだよ!」
ガイがサンダースに向けて吠えた。渋い顔を見せるサンダース。いくら冒険者といえどギルドマスターをおっさん呼ばわりできるのはガイぐらいなものだろう。
「仕方ねぇんだよ。あの黒い紋章持ちについては以前から王国騎士団が追っていた連中だ。俺たちのような冒険者には情報はほとんど下りてなかった上、混乱を避けるため冒険者の中でも上位の一部のみにしか情報の開示は認められなかった」
「それっておかしくない? 冒険者ギルドは確かに国からの仕事を請け負ったりもするけど、基本的には自由な組織よね? 国や貴族といった権威のしがらみを受けないのが特徴のはずだけど」
サンダースの答えにフィアが疑問を口にした。彼女の言うように冒険者ギルドは完全中立組織として存在し、故に貴族や国から必要以上の干渉を受けることはないとされている。
「フィアの言うことはもっともだがな、世の中そう単純じゃない。確かに干渉は受けないが、かといって全て要求を突っぱねていたら冒険者ギルドの仕事にも影響は出る。互いに持ちつ持たれつの部分もあるからな。極端に擦り寄るつもりはねぇが、こっちの我だけ通していい相手でもないんだよ」
後頭部を摩りながらサンダースが答えた。その様子にガイが眉を顰めた。
「チッ、結局どこも一緒か」
「なんだガイ。お前にもそういう悩みがあるのか?」
「──うっせぇな。特にねぇよ」
面倒くさそうにガイが言葉を返した。サンダースはやれやれと肩を竦める。
「どちらにせよあの【深淵をのぞく刻】の扱いは騎士団連中の方が長けている。こっちで尋問するよりは上手くやるだろう。正直こっちも事件の後始末でかなり忙しい状況だからな。王国側で処理してくれるならむしろありがたいんだよ」
確かにギルドの職員たちも忙しなさそうにしていた。この状況で少しでも負担が減るのは冒険者ギルドとしては助かるのかもしれない。
「その、思ったのですが、それだけあの連中に詳しいのだったら今回の件で動けなかったのは問題なのでは? それなのにこっちに責任を擦り付けるような発言をされてましたよね?」
「だからこそだセレナ。当然あいつらだって自分たちの失態に気がついている。わざわざうちまで出張って引き渡せと言ってきたのも、少しでも功績を残したかったからだろうよ。だから安心しろ。確かにさっきの二人は随分と強気だったが、こっちはこっちで要求は突きつけておいたからな。国からの報酬はしっかりといただくぜ」
ニヤリと狡猾な笑みを浮かべるサンダース。それを見てガイが鼻を鳴らし口を開く。
「ちゃっかりしているってことかよ」
「そういうことだ。お前たちの取り分にも期待していいぞ」
「──だったらネロの野郎たちに多く渡せ。今回一番貢献してたのは間違いねぇからな」
ガイがそう進言した。サンダースが目を丸くさせて彼を見やる。
「まさかお前の口からそんな話が出るとはな」
「か、勘違いするなよ! あくまで今回の結果だけ見ての話だ! 本来なら俺らの方が実力はずっと上だからな!」
「あぁわかったわかった。お前の話は参考にさせてもらうが、とにかくまずは一通り報告を聞くか」
そしてサンダースはガイたちから話を聞き必要なことを纏めていった。
「ま、こんなところか。悪かったな時間とらせて」
「全くだ。細かいこと色々聞きやがって面倒クセェ」
「ちょっとガイ。全く本当に。口が悪くてすみません」
セレナがガイの態度についてサンダースに謝罪した。
「なんでお前が謝るんだよ!」
「仕方ないでしょう。全くセレナも大変よね。大体騎士団にもあんな態度とって、目をつけられたらどうするのよ」
「お前だって人のこと言えねぇだろうが!」
ギャーギャーと言い合う二人を見てサンダースが頭を抱えた。
「たく、いがみ合うなら外でやれ」
「あはは……」
二人の様子にセレナも苦笑いである。
「チッ、ところでおっさん。Cランクの昇格試験にネロも出るってのは間違いないんだよな?」
「あぁ。そのつもりだ。それに今回の活躍もあるからな。試験にエントリーするのは間違いないと思っていいぞ。なんだそんなに嬉しいのか?」
問われたサンダースが答えるとガイの顔が赤くなっていく。
「は、は? はぁ!? な、なんで俺が嬉しそうって話になんだよボケがッ!」
「ちょ、またそんな言い方!」
「あぁ、いいって。セレナも一々気にするな。こっちも慣れている」
ガイを叱咤するセレナに笑いながらサンダースが返した。すっかりガイの態度に慣れている様子である。
「チッ──俺はあいつには負けねぇ。ただそれだけだ」
「ガイ……あんた何か勘違いしてない? 昇格試験は別に勝負の場じゃないでしょう」
「うっせぇな! どんなときでもこっちは真剣勝負のつもりでやってんだよ!」
フィアからの突っ込みを受け、声を荒らげるガイ。しかし彼女の言うように昇格試験はあくまでそれだけの実力があるかを測る試験だ。
「……ま。フィアの言うことももっともだが、だからといってガイの言っていることだってあながち間違いとも言えないがな」
「え? それってどういうことですか?」
「俺からはこれ以上のことは言えねぇさ。試験に関する情報は当然必要以上には教えられないからな。ま、Cランク試験ともなればそう簡単ではないってことだけ覚えておくこったな」
「──フン! 上等だ。じゃあもう出るぜ。これで要件は済んだだろう?」
「あぁ。そうだな。ま、試験もいいが依頼も頑張ってこなしてくれ。こっちも仕事が溜まっているからな」
「──フンッ」
サンダースの言葉を背に受けガイたちも部屋を出た。
こうして黒い紋章持ちの事件は一旦は解決した。しかしこれが【深淵をのぞく刻】との激しい戦いの幕開けに過ぎないことを、ガイたちも、そしてネロもまだ知らない──。
《了》