
「俺、香乃のことが好きだ」
──この気持ちが、香乃に対する裏切りであることは分かっていた。
だけど……いや、だからこそ。
俺は告白せざるを得なかった。
香乃は
どんなに隠そうとしても、彼女が少しずつ俺の真実に近づいているのは感じていた。
この真綿で首を絞めるような時間の果てに待っているのは、決定的な
ならば、香乃が勝手に察して勝手に破綻するより、俺の手でこの関係の結論を出すのがせめてもの誠意だと思った。
「……薄々、そうじゃないかとは思っていたんだけどね。最近の陸を見てたら、もしかしたらって」
初めて会った時を思い出すような、夕焼けのあかね色を弾いて輝く金髪と、人形めいた美しい顔立ち。
その整った顔に寂しそうな笑みを浮かべて、香乃は静かに俺の告白に応じた。
「でも──そうじゃなければよかったとも思ってたんだよ、陸」
その一言で、俺の失恋は確定した。
分かっている、きっと彼女にとってこれはバッドエンド。
「なんだろうね。何が悪かったのかな。私たちの間には確かに友情があったはずなのに。それはどこへ行ってしまったんだろう?」
天を仰ぐ香乃の口調には、明確な嘆きが
彼女に近づいてくる人間は、その美しさに
そんな中でようやく
よりによって、香乃の渇望を誰よりも理解していた俺によって。
「私には恋が分からないよ。私を好きになって幸せになった人はいないから。ねえ陸、人を好きになるってそんなに素敵なこと? この楽しい──楽しかった日々を壊してまで、告白する必要はあった?」
震える声で問いかける香乃の
「──ねえ。友情を壊してまで人を好きになるって、本当に正しいことなの?」
友情を裏切った俺を糾弾する香乃の言葉が、失恋の痛みとともに刻み込まれた。
この時、俺はこの問いかけには答えられず、二人の関係は終わった。
そして一年後──再び、俺は同じ答えを求められている。