おわりに




 オイラも、この2017年でついに70歳になっちまった。こないだは、フランス政府から「レジオン・ドヌール」なんてたいそうな勲章もいただいた。

 人生の前半は、母ちゃんや先生からガンガン怒られ、芸人になってからも色々とヒンシュクを買いまくった。それがいつの間にか、いろんなところで褒められるようになったのは、こそばゆいような、なんだか居心地が悪いような、だ。

 まァ、普通ならこの辺で「一丁上がり」と、無難な生き方を決め込むヤツが多いんだろう。だけどオイラは逆だ。世の中がオイラを褒めるんなら、その期待を裏切るような、くだらなくてバカバカしい芸人であり続けたいと考えている。理想はウンコ漏らしながら高座に上がった晩年の古今亭志ん生さんだ。芸人にはモウロクして落ちぶれていく様を客前でさらけ出していいって特権がある。オイラは、死ぬまでくだらない芸人であり続けたいと思っているんだ。


 オイラがいろんなところでバカをやったり、『週刊ポスト』で毒舌や下ネタを披露し続けているのは、別に時代に物申したいわけじゃない。出演していたカップ麺の宣伝じゃないけど、それは「時代に自分を変えられないため」かもしれない。若い頃、演芸場で悶々としてた頃に抱えてた気持ちを忘れたくない、そんなところがあるのかもしれない。

 さぁ、オイラも古希だぜ。ポコチン、コーマンなんて連呼する70歳なんて、浅草の裏通りにいるレゲエのオジサンかオイラぐらいのもんだろう。

 だけどオイラは、そんなバカヤローであり続けたいと思うんだ。これからもよろしくな。


平成二十九年一月

ビートたけし