「人の親」より「ペットの里親」になるほうが

ハードルが高い矛盾が放置されている。



 最近よく、幼児虐待の事件を耳にする。生まれたばっかりだったり、小学校にも上がらないような小さい子が、親から惨い仕打ちを受けてるってニュースがガンガン報じられている。ときには子供が死んでしまうケースだってあるから救えない。

 親がバカで未熟だからっていえばそれまでなんだけど、多いのが「嫁さんの連れ子が虐待を受ける」ってパターンだ。もともと実の子じゃない子供にちゃんと愛情を注ぐには、その人間にそれなりの良心とモラルが必要になってくる。だから、もしかしたら「再婚相手はちゃんと定職に就いているのか」とか、子供を守るために一定の確認項目を設けた方がいいのかもしれない。

 よくこういうテーマじゃ「行政の怠慢」が議論になる。「相談を受けていたのになぜ救えなかったのか」ってね。それはわかるけど、虐待される心配のある子をすべて見つけ出してケアするのはなかなか難しい。だからこそ、「入り口」のほうに気を遣ったほうがいいんじゃないかって思うんだよな。


 これはものすごい矛盾だと思うんだけど、この現代ニッポンじゃ、人の親になるより犬や猫の里親になるほうが大変かもしれない。

 こないだ犬猫の里親募集サイトを覗いてたら、その条件がものすごく厳しいんだ。希望者は収入やら家庭環境やら、ありとあらゆる個人情報を提出しなきゃいけない。中には、里親希望者への家庭訪問を必須にしているところもあってさ。ちょっと調べて「オイラにゃ無理だ」と思っちまったね。

 まァ、ペットを飼ってもすぐに捨ててしまったり、いじめたりしてしまうヤツもいるから、動物愛護の意味でやってることなのはよくわかる。だけど、ロクデナシの男が婚姻届出すだけで簡単に人の親になってしまう状況があって、一方じゃペットは厳重に守られているというのはおかしな話だよ。

 よく言われることだけど、アジアの貧しい国じゃ、先進国の犬や猫のペットフードを作る工場で働いてなんとかメシを食ってる人もいる。この逆転現象に文句をつけるヤツがもっといたっていいのに、ニッポンは「猫ブーム」なんて浮かれてるんだからさ。そりゃヨーロッパ中が悩んでる難民問題が対岸の火事なのも当然だよな。

 だけど、ペットってのはやっぱりなかなかいいもんでさ。オイラとペットにはバカ話もいっぱいある。

 ガキの頃、オイラが「飼いたい!」って野良犬を家に連れて帰ったんだよ。だけど、オイラんちは人間が食うのにも必死なビンボー家庭だったんで、オヤジに「ふざけるな! すぐ捨ててこい」って言われちまったんだよな。

 で、トボトボ歩いて家から何も離れたところまで犬を連れて行ったんだけど、オイラのほうが迷子になっちまってさ。「どうやったら帰れるんだ」って途方に暮れちまったんだよ。

 そしたらその野良犬がワンワン鳴きながら歩き出してさ。それを追っかけていったら、なんと家まで着いちまったというね。それを知った母ちゃんが「賢い犬だ!」って感心して、おかげで飼うことになったという話なんだよ。


 オイラがなんで犬を飼いたかったかというと、それは不純な動機でさ。同じ学校のかわいい女の子がいつも犬を連れて散歩してたんで、犬をきっかけに仲良くなれるかと思ったんだよな。

 で、実際に犬を散歩に連れてって、その子に話しかけるところまではいったんだけど、ウチのバカ犬がその子の犬に後ろから覆い被さって、腰をカクカクやり始めてさ。女の子は真っ青だよ。

 オイラもそのあまりの勢いに立ち尽くすしかなかったというね。もちろん、その後その女の子は目も合わしちゃくれないよ。

「コラ、飼い主の魂胆を代弁するんじゃない!」ってオチなんだよな。賢いのかバカなのか、どっちにしてもオイラにぴったりのペットだったんだっての! ジャン、ジャン!