「賞味期限」も「エコ」も消費者のためにあるもんじゃない。

「経済」のためのセールストークに過ぎない。



 ニッポンが「デフレ社会」と呼ばれるようになって久しい。他の先進国と比べても、この国の物価は品質の割にとても安いらしい。だからなのか、いつの間にか世の中のジョーシキは「安ければ安いほどいい」ってことになっている。

 だけどそれって本当だろうか。最近、やっぱり「安いものにはリスクがある」って思う出来事が増えている。スキー客を乗せた夜行バスが転落して若い学生たちが亡くなったり、廃棄されるはずの食品・原材料が横流しされて、ファストフード店やコンビニの店頭に並んでしまっていたりさ。

 事件・事故に関しちゃ、それを引き起こしてしまった当事者に問題があるのは間違いないんだけど、ひとつ気をつけなきゃいけないのは「安いものは疑え」っていう大前提を、現代ニッポンが忘れちまってるってことだよ。

 やっぱり、安いものにはリスクがあるってのは当然のことでさ。いまのニッポン人はコンビニやチェーン店の存在に慣れすぎて「どんなに安くても品質はキチンとしてる」と思ってるけど、そんな認識が当たり前になったのはつい最近のことだ。

 オイラがガキの頃は戦後のドサクサの雰囲気がまだ残ってて、その辺の商店も食い物屋も、子供相手の駄菓子屋も不衛生なことこの上なくてさ。子供のわずかな小遣いで買える駄菓子なんて、腹下して当たり前のシロモノだった。

 だからオイラの場合は、「安いものには気をつけろ」って身にしみてわかってる。そういう感覚って、どんなに便利な時代になっても忘れないほうがいいと思うぜ。


 ただ一方で気になるのは「賞味期限」ってものの不思議さだよな。

 ちょっと前にカレーチェーンの廃棄カツを横流ししてた業者が問題になった。もちろんこれは絶対にやってはいけないことに間違いないけど、見方を変えると「賞味期限切れなのに問題なく食えそう」だから起こってしまったって側面もあるだろう。きっとガキの頃のオイラだったら、廃棄カツを見つけりゃ「旨い、旨い」と平気で食ってたんじゃないだろうか。

 オイラは性格が悪いから、もしかしたら賞味期限ってのは「消費者の健康と品質維持のため」というより「経済を回すため」にあるんじゃないかと勘ぐってしまう。

「ちょっとぐらい古くたって食える」「まだ食えるのに捨てるのはもったいない」って考え方は、カネをジャンジャン回すためには非常に都合が悪いんだよな。

 よく考えりゃ、家電製品だってそうじゃないか。

 メーカーは「エコな新製品が登場!」ってバンバン広告を打つし、量販店は「修理するより新製品を買った方が安上がりですよ」ってすぐに買い換えを勧める。だけど、本来なら古いものを大事に長く使うことこそ一番の「エコ」じゃないかってね。結局、「エコ」っていう言葉すら、経済を回すためのセールストークになっちまってるんだよな。