「CD買ってアイドルの握手会」っていうのは、

パチンコの換金システムとまるで同じだ。



 インターネットやSNSで、一般人も不特定多数に発信できる世の中になった。そのせいか、「自分も頑張れば有名になれる」と勘違いしてしまう人たちが増えている気がする。そういう時代は、常に「危険と隣り合わせ」だとキチンと考えておいたほうがいい。

 東京・小金井で、シンガーソングライターをやっている20歳の女子大生が27歳のファンに刺されちまった可哀想な事件があった。これを機に、メディアには出ないけどライブやイベントで活動する「地下アイドル」って呼ばれるオネエチャンたちの存在がドンドン報じられた。芸能プロに所属しているわけでも、マネージャーがいるわけでもないのに、ファンとネットで直接やりとりしたり、握手会をしたり。中にはファンに肩もみをしてくれたり、一緒にバスツアーに行けるアイドルもいるっていうんだから驚くけどさ。

 もちろん「ファンを増やしたい」「人気者になりたい」って思いがあるからそういうサービスを企画するんだろうけど、一歩間違うと危ないよ。直接交流する機会が増えるほど、ファンから「勘違い」される可能性だって増すわけでね。また悲惨な事件が起こっても不思議じゃない。

 最近は、メジャーなグループでも「CD購入がアイドルとの握手会に参加する条件」みたいな商売が当たり前になってる。だけど、それってグレーゾーンだよな。本当は「可愛いオネエチャンの手を触りたい」ためにカネを払っているのに、それが「CD」という商品を経由することでオブラートに包まれているわけでさ。これって「パチンコの換金システム」と似てる。パチンコ屋で現金を渡すと賭博で違法になっちゃうから、パチンコ玉と引き替えに「特殊景品」をもらって別の店で換金するんだけど、アイドルの「握手会ビジネス」もこれとソックリじゃないかってね。

 本来アイドルってのは「偶像」だからさ。「手が届くアイドル」って概念は矛盾してて、「手が届かないから価値がある」ものなんだよ。なのに、ファンのところまでアイドルが降りてきちゃうから、勘違いヤローが出てきてしまう。


 そもそもアイドルを名乗るオネエチャンが増えすぎて、需要と供給のバランスが崩壊してる。アイドルなんて職業は、「自分から有名になろうと思わなくても世間がほっとかない」というごく一部の恵まれた存在だけに許されたものだよ。

 そもそも昔の親は、娘が「アイドルになりたい」「芸能界に入りたい」なんて言ったら、蹴っ飛ばしてたもんだ。昔は「芸能」なんて仕事は、カタギの人間が憧れるもんじゃなかった。自分がそうだからわかるけど、他にやれることがなくて社会からはみ出した人間の集まりが「芸能界」だったんだよ。クスリをやって捕まった人間が平気な顔で復帰できるのもこの業界くらい。元々、そんな立派な世界じゃないんだよ。

 ところが今じゃ、親がガキを芸能界に入れたくて、「お笑いスクール」の学費を払ってやるくらいなんでさ。その辺から「おかしいぞ」と考え直したほうがいい。

 やっぱり「教育」ってのは、親にそれなりの見識が必要なんだよ。親にマナーの心得がなけりゃマナーを教えられないし、一般常識がなけりゃ子供に常識的な教育やしつけなんてできない。野球をやったことのない父親が息子に野球をコーチしたって、かえって変なクセをつけさせちまうのと同じだよ。

 一方じゃ、自分の子供を叱ることすらできなくて、出来が悪いのを全部世間のせいにする親もいる。「ウチの息子の成績が上がらないのは、教師の質やクラスの環境が悪いからだ」とか、「なんでこんなに可愛いウチの娘が、学芸会で主役になれないんだ」とか、親が真顔で教師にクレームを入れてくるんだってさ。


 子供に「努力すれば夢は叶う」という親は多くても、「自分がバカなのを他人のせいにするな」「お前程度の顔じゃ主役になんてなれないよ」と、子供に厳しい言葉を言える親がいなくなってるんだよな。

 だから自分を客観的に見られなくなって、無謀なアイドル志望のオネエチャンだとか、「自分もアイドルと付き合えるかもしれない」と信じ込むバカな男が出てくるんだっての。