最近、ちょっとフラストレーションがたまってることがある。
ご存じの通り、オイラの主戦場はテレビだ。40年近くこの業界でメシを食ってきたし、愛着は当然ある。それなりに実績も作ってきたし、新しいものも多少は生み出してきたつもりだ。だけど、そんなオイラでも、このところ昔みたいに自由が利かなくなってる。テレビの自主規制が年々ひどくなっていて、かつてのような言いたい放題、やりたい放題がドンドンできなくなってきてるんだ。
政治的な内容どころか、下ネタやカツラネタまで、ありとあらゆる分野で「アレは言っちゃダメ」「コレもダメ」って先回りして注意されちまう。
だからなのか、このところ、こんなことを言われるようになっちまった。
「近頃、たけしはテレビで毒舌をちっとも出さない。そもそもあまりしゃべらなくなった」
もっともなツッコミかもしれない。でも、反論したい気持ちは正直あるぜ。実は、収録でガンガンしゃべってたって、放送ではオイラのコメントがスパッとカットされちまうんだよ。テレビでやるには、話す内容が危なっかしすぎるってことなんだよな。
こないだ、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)で、当時出演していた石坂浩二さんのコメントがカットされまくってたって話があったよな。「スタッフの陰湿なイジメじゃないのか」ってけっこうな話題になったけどさ。だけど、カット率ならオイラもゼンゼン負けてない。スタッフに「おいアンチャン、もうちょっとオイラのコメント使ってくれよ」なんて時々言うんだけど、本当にらちがあかなくてさ。生放送の『ニュースキャスター』(TBS系)でも、「コレはちょっとヤバいぞ」っていう絶妙なところで共演してる安住(紳一郎)アナに話を変えられちゃう。まァ、アレはアレでなかなかの名人芸なんだけどさ(笑)。
それでも業界じゃ、まだまだ「たけしルール」ってのが存在するって言われてるんだぜ。他のタレントじゃ「完全アウト」で大問題になっちまいかねない内容でも、オイラの発言ならなぜかセーフになっちまうってことでね。まァ、そりゃ当たり前だよ。ここ何年かで芸能界で顔が売れてきたくらいのヤツと、40年以上この世界で生きてるオイラじゃ年季がまるで違う。「掟破り」ってのは、一朝一夕にはできない芸のひとつなんだよ。3年ほど前には『ヒンシュクの達人』なんてタイトルの本を出したくらいで、これまでサンザン事件を起こしてきた分、オイラも「ヒンシュクの買い方」については心得てるつもりだ。バカなキャスターが人工透析の患者をネットで誹謗中傷して全番組を降板したなんて話もこないだあったけど、そんな低レベルなものと一緒にされちゃ困るんだよな。
そうやって日々オイラなりにチャレンジしてはいるけど、それでもやっぱり物足りなさは消えないよ。正直にいえば、毒舌をもっとガンガン披露してやりたいって欲求はある。それもあって、最近はゲリラ的に劇場でライブをやって、そこでそんなに多くない観客を前に「ヅラいじり」「犯罪者いじり」なんてタブーネタを披露してる。テレビじゃとっても言えないような刺激的なヤツをね。
衆院選当日にニコニコ生放送の開票特番に出たこともあったね。これも日頃そういうストレスを感じてたからだよな。テレビ番組じゃ面白いことがなかなか言えなくてムカムカしてるところに「何でもしゃべっていい」って条件のオファーがあったもんだからさ。
実際のネット放送じゃ、オイラのヒンシュク発言はそれなりにウケたみたいだぜ。
「当選した議員に学力テストをして、もう1度ふるいにかけろ」
「『コイツは落とせ』ってヤツを選ぶ弾劾選挙をやるべきだ」
なんて話をしてさ。ネット放送を見ていた人たちは、「テレビのたけしとはひと味違うぞ」って大喜びしてくれたらしい。
ただし、勘違いしてもらっちゃ困るんだけど、オイラはテレビを諦めちまったわけじゃないんだ。「このままじゃ済ましておかねえぞ」とは常に思ってる。そのうち誰も想像がつかないような上手いやり方で、テレビの自主規制やタブーを飛び越してやろうかって考えてる。
本来、オイラのような芸人の漫才やコントなんてのは、「表現の自由」なんてもので守られるようなエラいもんじゃない、もっと低~いところにあるものなんだ。だからこそ「規制されてナンボ」だし、それでお客の注目が集まってくれりゃ、かえってありがたい。規制されたら、別のやり方でどう面白くイジってやろうか必死で考えるのがオイラのやり方だ。
そうやって生まれた「新語」もあるぜ。
オネエチャンのアソコのことを「コーマン」って言い始めたのはオイラだし、「乞食」って言葉が使えないから「レゲエのおじさん」って名付けたのもオイラだ。最近じゃ「ホームレス」なんて言い換えてるけど、そんな言葉よりよっぽど愛があるじゃねェかってね。第一、ホームレスって言葉はよそよそしくて好きになれないよ。ホームレスって日本語にすれば「宿無し」だろ? 「乞食」は放送禁止で「宿無し」はOKってのは、いったいどんな理屈なんだろ。言葉を規制する人たちは、そういうことまで突き詰めて考えてやっているんだろうか。
まァ、繰り返しになるけど、オイラもこのまま大人しく終わるつもりはないんでね。若い頃に比べりゃだいぶ口も回らなくなったけど、まだまだオイラの「毒」は消えちゃいないし、消すつもりもない。
ちょっとこの辺りで、久しぶりに「放送コード無視のビートたけし」をお目にかけておこうか。70歳になっても、時代がどんなに変わっても、これがオイラの「座標軸」だってことでね。
これから話すことは、暴論、下ネタ何でもありだ。単なるバカ話として、笑って読んでもらえりゃそれでいい。だけど、もしかしたら、読者にとっても「世の中の常識を疑ってみる」という意味で、ちょっとはヒントになるかもしれないぜ。
とりあえず御託を並べるのはこの辺にしておいて、ちょっとの間だけオイラのヒンシュク話にお付き合い願うよ。ジャン、ジャン!