みなさんこんにちは、サヤです。
突然ですけど皆さんは
え? ご存じでない?
──着替えてる最中に部屋に入っちゃうアレのやり方。
1、まず空き教室と何らかの事情で着替える必要がある女子生徒を一人用意します。
2、空き教室で着替えているところにもう一人の生徒がうっかり入ってきます。
3、着替えをうっかり見られてはわはわする展開に。
4、なんやかんやでフォーリンラブ。
はい。
大体こんな感じです。古今東西のラブコメディにおいてこのような展開は古くから使いまわされ
そして
というようなことを例によって信頼と実績の
これをぼくとイレイナさんでやった場合、
「いやー、
へくちっ、と空き教室でくしゃみを
さすがに着替えは学校には持ってきていません。
そんなときのこと。
がらがらがら。
そして向こうからひょっこり現れるのはイレイナさん。
「はわわ」
彼女はぽかんと口を開けて
何ということでしょう! ぼくはうっかり
「きゃーっ! イレイナさんのえっち!」
そしてなんやかんやでイレイナさんはぼくの着替えをのぞいてしまったことの責任をとるためにあれこれ色々とやる羽目になり、それから紆余曲折ありゴールイン。
「
ばしゃああああああっ、と頭から水をかぶりながらぼくは
何と完璧な作戦でしょう。もはやぼくの頭の中ではイレイナさんとマイホームを
それでは空き教室で着替えることとしましょう──。
○
「へくちっ」
お
わあ
「うん、ありがと。アヴィリア」
「いえいえ、元はといえばわたしが悪いのです」
ごめんなさい、と頭を下げるわたし。
帰りのHRの直前。お掃除の時間についうっかり
そして運の悪いことに、そのとき
あわあわと
「まあアヴィリアに
濡れた
「お姉ちゃん……今回の責任をとってわたしは
「お、重いなぁ……」
別に気にしなくていいわよ。とお姉ちゃんは
「いえいえ、そういうわけにもいかないのです。お姉ちゃんに
「妹の名折れってなに……?」
呆れるお姉ちゃん。「ま、とりあえず今日はもう帰るだけだし、ジャージに着替えるわね」
言いながらバッグから取り出すのは体育の授業で使っているジャージ。ふわっといい香りが
「うっ……うう……」
そしてわたしは気づけば
「あ、アヴィリア……?」
きゅ、急にどうしたの……? と心配そうにわたしをのぞくお姉ちゃん。
わたしは答えます。
「いついかなる場合であってもお姉ちゃんには
がしっ、と着替えてる最中のお姉ちゃんの
「あのう……。わたし着替えたいんだけど……?」
「いえ、ジャージなんてダメなのです、お姉ちゃん」
すぱぁん! とお姉ちゃんからジャージを
「ええー?」
「やっぱりここは別の
「別の衣装ってなに」
わたしは自身のバッグから衣装をすぱぁん! と取り出しながら言いました。
「これです!」
メイド服!
「何でそんなの持ち歩いてるわけ?」
「まあ細かいことはいいじゃないですかお姉ちゃん」
「全然細かいことじゃない気がするけど」
「ともかくこれを着てください! お姉ちゃん! これを着て
「いやジャージ姿の方がましなんだけど──」
「細かいことはいいじゃないですかお姉ちゃん」
「だから全然細かくないってば……!」
わたしはぐいぐい、とメイド服を押し付けます。多分このときのわたしはそれなりにぎらぎらとした目をしていたような気がしますが、これもジャージ姿で帰宅などという
「仕方ないなぁ……」
結局お姉ちゃんはわたしの
が、しかし。
「あ、あれ……?」
スカートをはいて、ブラウスに
「
「……!」
何ということでしょう。わたしのために用意したメイド服(そういえば胸元がちょっときつかった気がします!)がお姉ちゃんには合っていなかったようです(わたしのサイズにも合ってませんでした!)。
これは
このままではお姉ちゃんがメイド服を
「
ぐぐいっ、とボタンに手をかけるわたし。
「そ、そんなこと言われてもきついわよ……」
「きつくないです!」
「いや、あんまり引っ張らないで……? メイド服、破れちゃうわよ?」
「大丈夫です! わたしに任せてください!」
ぐぐぐぐぐ、と無理やり引っ張るわたし。
ところで話は変わりますが、こんな状況を誰かに見られたら、わたしは一体どのように説明をすればいいのでしょうか。
などと思い至ったときのこと。
がらがらがら。
教室の扉が突然開かれました。
その向こうにいたのはサヤさん。
「えっ」
彼女はわたしたちを見ながら
思考は完全に固まり、頭の中が真っ白になっているのが
「…………」
そしてサヤさんの様子を冷静に見つめながら、わたしもまた平静さを取り戻しました。
空き教室。メイド服を着ている姉。ボタンに手をかけるわたし。
……一体わたしたちは何をやっているのですか。
「…………」
二人そろって顔を
サヤさんには変な
「お、お
がらがらがら。
彼女は
はわわ。
「ま、ままま待ってくださいなのです!」
結局それから誤解が解けるまでわたしたちはそれなりの時間を要することとなりました。
○
いつもの通学路を歩む美少女が一人おりました。
それは一体誰でしょう?
そう、私です。
「今日はいつもと様子が違いますね?」
通学路の途中。首を
いつもの時間帯であれば大体学校の近くでアムネシアさん、アヴィリアさん。それからサヤさん、ミナさんの四人と合流するのですけれども。
「どうもなのです」
「おはよ」
今日はアヴィリアさん、それからミナさんの二人だけ。
はてこれは一体どういうことで?
「お二人とも、お姉さんはどうしたんですか」
ひょっとして置いてきちゃったんですか? 姉妹
心配する私でしたが、二人はそろって首を振りながら答えます。
「
などと。
「風邪、ですか……」まあ冬場は冷え込みますからね。「二人とも?」
「ええ」「なのです」
「でも
原因は一体何なんですか?
「頭から水をかぶったのよ」「頭から水をかぶったのです」
「ほうほうなるほど」わけわかんない理由ですね。「二人とも?」
「ええ」「なのです」
「そうですか……」
二人そろってなにやってんですか……?
呆れながら私は今日もいつも通りに学校へと向かうのでした。
