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年の終わりが見えてきたある日の放課後、ぼくはアンケートの回答用紙を持って新聞部の部室に向かっていた。アンケートの内容は校則改正の是非を問うもので、回答は任意だとはいえ、ぼくたちは答えてもいいし答えなくてもいいという自由に慣れていないのでクラス全員が回答していて、締切はまだ先だけれど、回答が揃った以上は提出を先に延ばす理由もない。ところでぼくがそれを新聞部に持っていくことになったのは、放課後の教室で遅めの帰り支度をしていたところ、クラス委員の某君から「
「小佐内さん」
振り返った表情を見て、ぼくは立ち止まってしまう。小佐内さんの目からは、涙がこぼれていたのだ。頰はわずかに上気し、くちびるは
「ああ、小鳩くん」
と、無理のある気丈さで笑ってみせた。すぐにそっぽを向くと、どことなく
「驚いたでしょう。ごめんね、わたし、みっともないね」
「あの……なにかあったの?」
「なんでもないの。ごめん、今日はもう帰る」
そうして
後から思えば、出る幕ではなかったのはぼくではなく、小佐内さんの方だったのかもしれない。この後ぼくはある奇妙な出来事に遭遇し、はからずも解決を試みることになるのだけど、その過程のすべてにおいて小佐内さんは一切登場しなかったからだ。ぼくが謎に向き合うとき小佐内さんが近くにいなかったというのは、