プロローグ

 

「この町にルーダー様がいる……」

青空の下、彼に会いたいと心が叫んでいる。

彼女の目線の先には『ようこそクレソンへ』という看板があった。

さて、この世界は亀の甲羅の上にあり、最果ては巨大な滝になっている。

寧ろその先には終わりがないとさえ言われる。

そんな未熟な世界を今から二千年前に聖王グレゴリウスが一つの国にまとめあげた。

この世界の名はフェリスと呼ばれ。

国の名前もフェリス国と言う

現在は過去の遺産である『中途半端な科学力と騎士団』により世界を治める時代。

この国の中心と言われる聖王都イースから北東部に位置する町クレソン。

町は今日も行き交う人々で賑やかである。

この地方は比較的温暖で農作物もよく取れる。

そんなざわめく町の中、一人の青年が女性の手を引き人々の間を縫うように走っていた。

「今日は運の悪い日だ! クソ……」

ちょうど青年は女性の手を引き、人々の多い通りを抜け、裏路地へと入るところだ……

目指している場所は自宅である。

手を引かれる女性は、今自分がどういう状況にいるのかまるで分かっていない。

女性は青年に聞こえる声で説明を求める。

「何がいけないの? 私はただ異教徒の像を壊しただけ」

女性を握る手にわずかだけ力が入り、裏路地に人がいないことを確認してから彼は叫ぶ。

「だから! それがいけないんだよ!!」

話は数時間前に戻る。