夜は仕事も終わりつつあるため、翌日の仕事の準備をします。具体的には21時ごろから、5章で紹介するタスクリストを作ることです。そうして夜10時半ごろには寝ます。翌朝4時に起きるので睡眠時間は5時間半程度ということになります。

 世に出る数多の本では睡眠時間は6時間以上取るように言っていることが多いですが、それは個人差があると私は考えています。私の場合、昼寝をうまく使うことで夜の睡眠は5時間半で十分だということがわかっています。

 みなさんも自分の睡眠時間は何時間が適切か試行錯誤してみてください。ただし無理は禁物です。無理して短く寝て、日中頭が回らないくらいなら、いっぱい寝たほうがマシです。



朝が最強である3つの理由


 早起きも昼寝も、すべては朝の2時間半の界王拳のためのお膳立てとして導入しているものです。仕事は朝のスタートダッシュがすべてなのです。では、なぜ私は、朝4時という早朝からロケットスタートしているのでしょうか? 理由は3つあります。


①外部要因の締め切りが設定できる

②メールをチェックする必要がない

③話しかけてくる人がいない


 ①は疑似的な締め切りを意図的に作れるという理由です。朝6時に家族が起きてくるのが私にとっての朝の締め切りです。締め切りがあると、仕事をやらなければならないという気持ちになります。

 また、朝の2時間半に8割を終わらせると言いましたが、その8割の仕事がどの程度かというのはタスクリストを参照すればわかります。詳しくは6章でお話ししますが、私のタスクリストには1日の仕事がすべて15分刻みで記されているので、朝のうちにここまでやるという範囲を容易に決めることができます。

 私は毎朝ゲームをしているのです。家族が起きる2時間後までに決めたタスクにすべてチェックを付けられるか、というゲームが始まるのです。こうした締め切りを意図的に作るのはなかなかできることではありません。何時までにやる、と自分で決めることはいつでもできますが、内部要因での締め切りはいまいち拘束力が弱いのです。その点朝は外部要因が多いので、締め切りを作ることが容易です。家族が起きるまで、8時のニュースが始まるまで、近所の小学生たちが外ではしゃいでいるのが聞こえるまで……など。

 他方、夜はそうした締め切りが作れないのが難点です。だから夜はいつまでもダラダラと仕事を続け、ある臨界点を迎えたところで「徹夜するか!」と開き直ってしまうのです。こうした仕事の仕方がよくないということは、何度も繰り返しお伝えしてきました。

 ②と③は、邪魔をするものが少ないということです。先ほどお話ししたように、朝メールを送ってくる人はいませんし、電話をかけてくる人もいません。また、集中しているところにほかの仕事を回してくる上司もいません。だから集中力を分断するものがないのです。

 集中力が分断された3時間と分断されない1時間は、同じくらいの仕事効率があると私は考えています。要するにメールや電話、ほかの仕事のことを気にしながらする仕事は、効率が半分になるということです。朝型ならメールも電話も気にする必要がないので、そういうことがなくなります。



結局、ロケットスタート時間術とは何なのか?


 本章では、私の仕事の仕方についてお話ししてきました。まとめると、次の4点に集約されます。


すべての仕事をスタートダッシュでこなして、絶対に終えられる納期を導き出す

最初の2割の期間を「見積もり期間」としてもらい、実際には、仕事量の8割を終える

最初の2割の期間で8割の仕事ができなかったら、期限を延ばしてもらう

「仮眠を取る」と「マルチタスクをやめる」で、仕事の効率を上げる


 まず、すべての仕事をロケットスタートでこなします。これが鉄則です。忙しくないときこそハードに仕事をこなす必要があるのです。

 何度も言いますが、ラストスパートこそ諸悪の根源です。このことを絶対に忘れないでください。

 このロケットスタートのことを見積もりと呼んだりもします。見積もりの期間はだいたい最初の2日間(最初の2割)です。見積もりというのは名目で、実際は全力で仕事に当たってみるのです。

 界王拳の話を思い出してください。この2日間では、具体的には20倍界王拳を使います。また、最初の2日間は「世捨て人モード」に入るので、メールも飲みの誘いも会議すら無視です。ロケットスタートを成功させるために、徹夜も厭いません。むしろラストスパートで徹夜をしないように、ノッているときは、最初のうちに徹夜をしてしまいましょう。

 そうして2日間の20倍界王拳が終わった後の3日目以降は、流しで仕事をすることになります。とはいえ1日中ダラダラとしているわけではありません。このときは、朝4時に起きてから6時半まで10倍界王拳を使います。その期間はメインの仕事にだけ集中します。朝はメールも来ないし、誰かが話しかけてくることもないので、集中が途切れません。ここまでで、1日のメインの仕事の8割を終わらせます。朝食を食べ終えた8時からは、昼食までに1日のメインの仕事を全部終わらせることを目指して、2倍界王拳を仕掛けます。

 午前中に1日のメインの仕事を集中して終わらせた後は昼食を取り、18分の昼寝をします。その後、午後からは疲れているので、メールチェックや電話対応、打合せや考え事などこまごました仕事をします。ここでも仕事に詰まったら、さらにすかさず仮眠をとります。睡眠は脳の老廃物を除去する唯一の手段です。マルチタスクは絶対に行いません。

 以上が私の仕事術の全体像です。


 しかし、あなたの頭の中には何かの不満があるのではないでしょうか。

「こんなの自分には使えない」

「導入が難しすぎる」

「朝早く起きられない」

 わかります。なぜならここで紹介した仕事の仕方は、そもそも現在仕事に余裕を持っている人だけが実践できることだからです。現在進行形で複数の仕事を抱えているあなたは、たった今与えられた仕事を、徹夜で8割終わらせるなどということは不可能です。ほかの仕事の締め切りが迫っているからです。

 そもそもこのやり方に馴れていないと、2日で8割の仕事を終わらせるほど集中するなんてことはできないでしょう。今まで夜型だった人が朝4時に起きるというのも困難です。早く寝ようとしても会社の仕事があるため、上司に「というわけで5時に帰りますね」などと言うわけにもいきません。

 そもそも本章で紹介したのは、すべて、自由に自分の時間をコントロールできる人の一連の仕事の仕方です。一般的な会社勤めの方にはなかなか難しい方法かもしれません。


 ではあなたは諦めるしかないのでしょうか?

 いえ、諦める必要はありません。あなたの仕事環境に合った時間の使い方を、次の章で一緒に考えていきます。

 この時間術をあなたが使えるようにカスタマイズした先に、あなたにとっての真のロケットスタート時間術が待っています。