8 言葉責めと甘いねぎらい



 美登里さんに抱かれながら、実は、あたし、花野がちょっとは嫉妬してくれることを期待していた。

 恋人であるあたしが、自分以外の女性に抱かれて感じまくっている姿を見て、花野が心穏やかでいられるはずがない!──と、心の中でチラッと思ったりもした。

 ──ねえ、花野、いいの? あたしがほかの女の人に抱かれても、本当にいいの?

 だけど、花野はあたしと美登里さんを生オカズにしたオナニーに夢中で、あたしが感じまくっていたことに関しては、要するに「すっごくよかった!」という意味合いの感想を述べただけで、少しも嫉妬などしてくれなかった。

 エイジを相手にしたときのような不安すら口にしてくれなかった。

 それにしても、美登里さんは、うまかった! 癖になりそうで、怖い……。

 いや、もう、その翌日には、あたしもまた、美登里さんに抱かれた記憶をネタに、オナニーに及んでしまったわけだが。

 美登里さんとのセックスで乱れているところを、花野にすっかり見られてしまったうえ、自慰のオカズにされただなんて……と、それを思うとまた、あたしの内には妖しい快感をともなう昂りが生まれてしまい。そんなマゾ的悦びを味わいつつ及ぶ自慰もまた、格別なものなのであった。

 そんなとき、〈来夢来人〉にて、また、目の前でエイジとプレイに及んでほしいと、花野に愛らしくおねだりされたのだった。

 なんとなく、心の余裕も出てきていたあたしは、応じて言った。

「まったく、しょうがない子だなぁ」

「えへへ」

 花野はいたずらっぽく笑った。

 この笑顔のためなら、あたし、なんだってできる!

 いや、そもそも、今では割と、あたしのほうも「まんざらでもない」って感じで。

 なにしろ、エイジは美しいし、反応もいいし、気立てもよい。ただ、まあ、ずうずうしい奴ではあるのだが、そんなたくましさもまた、魅力だと言えなくもない。

 あれだけの美少年でありながら、気さくで、気取ってないところもよい。

 なにより、あたしと花野が恋人同士であることを彼が理解していて、生オカズに徹しているのは、正直、なかなか好感が持てるのであった。



 あたしは、腰に両手を当てて、ベッドの上のエイジを見おろし、薄笑いを浮かべつつ、言ってやる。

「あたしにいじめられるとわかってるくせに、のこのこやって来るとは、まったくもって、しょうもないマゾ野郎だな!」

 すると、花野が背後ですかさず、賞賛の声をあげる。

「紗絵の言葉責め、 えてるぅ!」

 あたしも花野も服を着ているが、エイジは全裸。

 すでに、右手首と右足首、左手首と左足首を、それぞれロープで括り、自由を奪ってやっている。そして、口にはさるぐつわ

「今日は、なんでおまえに猿轡をしたか、わかるよな? おまえが『いやだ』だの『やめて』だの言えないようにだ。つまり、あたしが好きなだけ、そりゃもう容赦なく、おまえを責めるためにだよ」

 と、言いつつ、愛用のディルドを手にすると、エイジはおびえた顔で、首を横に振る。

「なんだ? アナル開発はいやだって言いたいのか?」

「ううっ!」

 必死にうなずくエイジの股間に目をやり、あたしは言う。

「その割に、おまえのお宝は半勃ちじゃないか。これは、期待してる証拠だな!」

 実は、先日、美登里さんに抱かれてよがりまくってるところを花野に見られてしまったあたしは、なんとか、タチとしての面目を取り戻したく、本日はエイジを徹底的に責めてやるつもりだった。

 さらには、あたしに身をまかせれば確実に快感が得られると、花野に印象づけたいという思惑もあるのだった。

 あたしは、ふくらみかけているエイジのペニスを握って、片手でもてあそんでやる。

「ほら……ほら……。こうすると、どんどん固くなっていくじゃないか。本当にいやなら、こんな反応はできないよなぁ?」

 やがて、彼の器官は完全に張りつめた。

「ほーら、おまえのムスコは『存分にアナル開発してください』って言ってるよ。よだれをにじませながら」

 と、先端の孔から湧いている透明な蜜を、指先で亀頭全体に延ばしてやる。

 それから、あたしは持参したクッションを見せて告げた。

「これ、おまえのために買ってきてやったクッションだよ」

 そして、それをエイジの尻の下に押し込む。キュッとすぼまった彼の蕾が、いい感じに晒される。

「花野のクッションや枕を、こんなことに使いたくはないものでね」

 とらされたポーズにおびえ、抵抗を試みてか、エイジは両手を動かす。すると、両足首は両手首に括りつけられているものだから、ますます開脚し、アヌスを晒す羽目になってしまう。

「う……うっ……」

 動揺し、エイジは小さな悲鳴をあげる。いい反応だ。

 花野は早くも、自分のスカートの中に片手を突っ込んで、下半身に刺激を与えはじめている。

 あいかわらず愛らしいが、ワンパターンである。つまり、あたしに見せて楽しませる気は皆無。

「いきなりディルドを突っ込んでかきまぜるのは、さすがに酷だろうから、最初は指でしてあげるよ。優しく、ね。こう見えても、あたしは慈悲深いんだ」

 エイジに告げて、右手にサージカルグローブをはめた。

 ピッタリとフィットするその医療用手袋にローションをとり、エイジのアヌスに塗りつける。

 ローションの冷たさに、エイジはビクッと身を震わせた。なにかと、いい反応を見せてくれる。

 グローブに包まれた指先で、エイジの愛らしい蕾をツンツンと軽く突いてやる。

「ウウッ! むぅっ!」

 おびえて身悶えする姿が、また、哀れでかわいい。

 はからずも、胸がキュンとしてしまう。

 そして、もっともっと、いじめてあげたくなってしまう。

 あたしはローションを足し、右手人さし指を彼の蕾の中心に突き立てた。

「逃げるんじゃないよ。逃げたら、ペニスバンドでガンガン掘りまくるからねっ」

 あたしはエイジを脅し、抵抗を封じてから、蕾の中心にジワジワと圧力を加えてゆく。

「ううーっ!」

 エイジは猿轡の奥で悲鳴をあげる。

 澄んだ目に涙が盛りあがり、こめかみをすべり落ちていった。

 蕾が無理やり開花させられ、あたしの指先を受け入れる。

「んくっ……!」

 逃れたくても逃れられず、エイジは顔をそむける。

 あたしはゆっくりと、彼の中に指を侵入させる。

 こんなふうに、指で男の子をいじめるのは初めてだ。

 そして、この初めての経験は、あたしの胸を妖しく高鳴らせた。

「指、根元まで入っちゃったよ。今度は、出してみようか?」

 あたしはゆっくりと、指を引き出す。

 その刺激に、エイジは身悶えしながら、涙を流す。

 ギリギリまで指を引き出してから、また、ゆっくりと奥深くまで侵入する。

「あれ? なに、もう、フル勃起? こんな軽いピストン運動だけで感じちゃうなんて、本当は、お尻をいじられるのが好きだったんだ?」

「ン……うぅっ!」

 エイジは首を横に振る。

「すっごぉい! エイジ君、お尻で感じちゃってるんだ!」

 花野がエイジの股間をのぞき込み、はずんだ声をあげる。もちろん、片手は自分のスカートの下、パンツの中。

 羞恥心をあおられたらしく、エイジは頰を染めてイヤイヤをする。それでも、彼の器官はまったく える様子はない。

 今度は、指先で内壁を軽く押してやる。

「うっ! くっ!」

 変化した刺激に、エイジは身悶えし、動揺を示す。

「前立腺って、どれかな?」

 あたしは刺激する位置を変えつつ、探ってゆく。

「ん? なんか、コリコリしてるけど……これかな?」

 前方の内壁に見つけたそこを押してやると、エイジの声は切なさを増す。

 間違いないだろう。

「ンンッ! ……うっ!」

「エイジったら、乳首をしこらせて、女の子みたいなよがり声あげちゃって……。そんなにお尻を責められるのが好きだったとは、驚きだね」

 あたしは、空いてる左手で、エイジの乳首をつまんでやる。

 とたんに、彼の全身はビクッと震える。

 前立腺マッサージなんて経験はないが、力加減を変えつつエイジの反応を確認しているうちに、どこをどの程度に刺激すれば彼の性感を高められるのか、だんだんとわかってきた。グイグイ力を込めればよいわけではないのは、女の子の体と同じだ。

 すでにエイジは快感に翻弄されまくり、むせび泣いている。

「まさか、お尻を責められて、こんなによがりまくる男がいるとはね」

 あたしはわざと、せせら笑ってやる。

「猿轡されてたのは、おまえにとって、幸いだったんじゃない? あたしと花野に、みっともないよがり声を聞かせなくて済んだんだから」

「うっ……くっ……」

 声を抑え、顔をそむけるが、新たな刺激にすぐに反応して、エイジはのけぞってしまう。

「まったくもって、おまえの体はいやらしいな」

 だからこそ、あたしの性の部分もズキズキと脈打ち、蜜を流し、下着を濡らす。乳首も勃ってしまって、ブラにこすられ、快感が増してしまう。

 すぐ横では、オナニーに及ぶ花野が息をはずませている。そんな彼女を押し倒したいという衝動と戦いつつ、あたしは言葉責めを続ける。

「おまえがどんなに淫乱か、今日はじっくりと、花野に見てもらうといいよ。そのうち、指やディルドじゃ物足りなくて、本物のペニスを咥え込みたくなっちゃうんじゃない?」

「はぁあ……。紗絵の言葉責め、いいっ……。心に響くっ」

 ──おほめにあずかり、光栄ではあるが、ここぞというときに感想を述べるのは、正直、自粛していただきたい。合の手ではないのだから。

「おまえ、本気でよがりまくってるよねぇ。このまま、ドライオーガズムに達しちゃうかもね」

「ドライオーガズム!」

 花野が感動したような声をあげる。すでに左手もシャツの下にもぐり込ませて、おのれの胸を刺激している。

「ドライオーガズムって、男の子が射精しないでいっちゃうっていう、あれでしょ? あたし、見たい!」

 花野は清純ではあるがオナニストなので、性的な機微にうと いところがあり、なにかと遠慮がない。

 ここは、ドライオーガズムなるものを花野に見せてやりたいものだが、はて、前立腺をどのような塩梅でどれほどの時間、刺激してやればよいものやら?

 エイジと目が合った。

 彼の目は涙に濡れてはいたが、確かに「それでOK」と語っていた。その調子でゆけばドライオーガズムに達することができるであろう、と。

 この瞬間、あたしとエイジは、共犯的関係になった。

 ドライオーガズムによって、花野を喜ばせる。その目標に向かって、ここはまいしん するのみ!

 あたしは注意深くエイジの反応を確認しながら、前立腺とおぼしき部分を刺激しつづけた。

「うっ……んっ……!」

 恥じらいの表情で涙をこぼしながらも、エイジは明らかに高まっていた。

 自由を奪われ、おびえながらも、快感に悶えるその姿は、痛々しくも、美しかった。

 そして、そんな彼に、あたしは欲情していた。

 本当は、彼にまたがって犯してやりたいぐらいだった。けれど、あたしは耐えた。

 今日はエイジのアナル開発で、花野を喜ばせてあげるのだから!

「むっううっ!」

 猿轡の奥で、エイジが何事かを告げた。それは「出ちゃう!」とも「いっちゃう!」とも聞こえた。

 刺激の度合を弱めることも強めることもなく、そのまま続けていると、突然、エイジの全身がビクッと震えた。

「うっ!」

 全身がこわばり、小刻みに震える。

「クゥーッ!」

 ペニスは張りつめているものの、射精はない。

 花野がうれしそうに「あっ」と小さな声をあげる。

 ドライオーガズムだ。

 人類にとっては小さな一歩だが、我々にとっては大きな飛躍だ!

 ほっそりと美しい少年の体が、快感をむさぼっている。ロープで自由を奪われ、猿轡で言葉を封じられながらも。

 なんて痛々しくも、エロティックな光景……!

 やがて、快感は去っていったのだろう。

 エイジの全身は脱力した。しかし、あいかわらず、性の器官は張りつめている。

 閉じた目の下から涙がにじみ、長いまつげを濡らしている。

 あたしはエイジの中からそっと指を引き抜いた。

 そして、小声で花野に確認する。

「今の、ドライだったよね?」

「うんっ! エイジ君、女の子みたいないき方だった!」

 花野の無邪気な残酷さに、エイジはくぐもった泣き声をあげる。

 よくよく考えたら、エイジの奴、花野に惚れてるんだっけ。忘れかけてたが。

 一瞬、エイジを気の毒に感じたが、あたしは思い直す。

(エイジは花野を狙っている。つまり、あたしのライバルなんだ! ここは、とことん痴態を演じさせて、花野と対等に交際できる立場ではないってことを、こやつの体にみっちりと教え込まなくては!)

 あたしは、ディルドを手にし、コンドームをかぶせると、その口を縛った。

「エイジ。次は、これを使うよ」

 見せつけるように、ゴムに包まれたディルドにローションを塗りつける。

 彼は恐怖に目を見開き、イヤイヤをしたが、あたしは無視して告げる。

「このまえは、中に入れはしたけど、動かさないであげたよね。でも、今日は指で充分ほぐしたから、ガンガン動かすよ」

「ううーっ! うーっ!」

 エイジは助けを求めるように、花野を見やったが、彼女は無情にも告げた。

「エイジ君、まだ、出してないよね? ちゃんと出すまで、紗絵に導いてもらうといいよ」

「ほら、花野もそう言ってくれてることだし、遠慮しなくていいから」

 彼のアヌスに、ディルドの先端を突き立てた。

「力、抜くんだよ。じゃないと、切れるからな」

 軽く脅しながら、グッと押す。

 中に呑み込まれる手応えが伝わってきた。

「うっ! ンンーッ!」

 エイジはのけぞり、悲鳴混じりの泣き声をあげる。

 指で慣らしたとはいえ、それなりに体の負担はあるだろう。

 あたしは小刻みにディルドを動かしながら、奥深くへと侵入させる。

「愛用のディルドを貸してあげてるんだから、あたしとおまえは姉妹だよ」

 からかうように言ってあげると、エイジは首を横に振る。

 だけど、ペニスは勢いを失ったりはしない。あたしの言葉責めを気に入ってくれているようだ。

 あたしはディルドを動かしながら、花野に訊く。

「そろそろ、あたしたち、エイジのよがり声を聞かせてもらおうか?」

 花野は「うんっ!」と子供のようにうなずいた。

「じゃあ、猿轡、外してやって」

 あたしは花野に指示を出す。

 彼女の手で猿轡が外されると、エイジはひときわ高い泣き声をあげた。

「い、いやだっ……。紗絵さん、それ、動かさないでっ……!」

「とか言いながら、なんでここをこんなに大きくしてるわけ? それって、おかしいよね?」

 あたしが片手でペニスをしごいてやると、エイジはたちまち甘い声をあげてしまう。

「あっ……あっ……。だめっ……」

「なにが『だめ』だよ。お尻とペニス、両方気持ちよくしてもらえるなんて、贅沢じゃない。しかも、花野がバッチリ見てくれてるんだよ」

「やっ。やだっ。恥ずかしいよぉっ……」

「今さら、なに言ってるんだよ。だいたい、おまえは存在自体が恥ずかしいマゾヒストだろっ? だったら、とことん、恥ずかしい姿をお見せっ!」

「あっ……。こ、怖いっ。怖いんだ……!」

 アヌスに与えられる みのない感覚と、ペニスに与えられるよく知る快感。その狭間はざま で、エイジは悶え、涙を流す。

「いやだっ! 気持ちいいっ! 怖いっ……」

 ペニスがドクンと脈打った。射精が近いのだろう。

 あたしはペニスをこすりあげる速度を上げる。

「あっ……!」

 ひときわ切なげな声をあげ、彼は放った。

 白濁は、彼の腹から胸にかけて散る。

「ああ……」

 切なげに寄せた眉が、たまらなくセクシーだが、そう思ったことを覚られないように、あたしは彼に言ってやる。

「ディルドでお尻を掘られながら射精しちゃうなんて、ほんと、いやらしい奴だな」

 あたしの言葉責めの次は、花野の甘いねぎらいだ。

「でも、エイジ君、すごくよかったよ。とってもセクシーで。あたしもエイジ君と一緒に、感じちゃった!」

 あたしはエイジの手首足首を括るロープをハサミで切ってから、ティッシュボックスを渡した。

 エイジは上体を起こし、しゃくりあげながら、ティッシュで自分の腹に散った白濁をぬぐい、それから、ゴロリと背を向けて横になった。これ以上、泣き顔を見られたくないらしい。

 シクシク泣いている彼を、あたしはどやしつける。

「なに、泣いてるんだよっ? おまえは乙女かっ?」

 対照的に、花野は優しく声をかける。

「そんな泣かないでよ、エイジ君。もしかして、いやだったの?」

「違う。怖かったんだ……。感じすぎちゃって……」

 ティッシュで涙をぬぐいながら、彼は続ける。

「ぼく、もう、変わっちゃったんだ──って思って」

 その繊細すぎる理由に、つい、イラッときて、あたしは責めるような口調で言ってしまう。

「はぁ? なに、その見事すぎる乙女っぷりは! わざとか? わざとなのかっ? 計算なのかっ? 媚を売ってるのか?」

「そ、そんなつもりじゃ……」

「今日び、『変わっちゃった』とか言って泣く奴なんて、処女喪失直後の女にもいないぞ! おまえは男乙女か? 乙女セクシュアルか?」

「男乙女! 乙女セクシュアル! なんか、それって、新しい!」

 花野は「日本の夜明けぞ!」にも匹敵する力強さで、目を輝かせて言った。

 性的なことに関し、他人に対して細やかな気遣いができないところは、あまりにもあっ れである。

 とはいえ、基本的に心優しい彼女は、明るい口調でエイジに訊いた。

「これから、お茶にしようと思うんだけど、コーヒーと紅茶と日本茶のどれがいい? エイジ君に選ばせてあげる」

「紅茶がいい」

「わかった。紅茶ね」

 キッチンに立った花野に、エイジはグスグスとすすり泣きながら、おずおずと訊く。

「あ、あの、シャワー、借りていい?」

「うん。どうぞ」

 花野がこたえると、今度は彼は、部屋の隅に置いてある小さな紙袋を指さし、あたしに言う。

「あの紙袋の中身、ぼくが焼いたケーキ。二人で先に食べてて」

 あたしは、その紙袋の中身を取り出し、ローテーブルの上に置いた。それは、パウンドケーキだった。

「おいしそう! それ、切っておいてくれる?」

 お茶の準備をしている花野に言われて、あたしはケーキをカットした。

 中には、ナッツとドライフルーツがぎっしりと──手作りならではの量が詰まっていた。

 これは、おいしそうだ……!

 なんとなく、胸がキュンとした。

(エイジの奴、性的にいじめられるってわかっていただろうに……。しかも、本命の花野の目の前で……。彼女には指一本触れられず、オナニーのオカズにされるだけなのに……)

 なのに、わざわざ、あたしと花野のためにケーキなんか焼いて。健気な奴だ。

 もしや、あたしにいじめられて、花野のオナニーのオカズにされることこそが、彼の真の悦びだ、とか?

 いや、それはないだろう。

 あたしだって、本当は、花野と女の子同士のカップルとして交際して、身も心もとろけそうになるくらい深く深く愛しあいたいのだ。そりゃ、まあ、エイジをいじめて楽しくないわけじゃないけど……。

 いっそのこと、ノーマルな女の子と交際してたほうが、エイジは幸せになれたのではないか? オナニストの花野に引っかかって、彼女のオナニーの生オカズとしてあたしにいじめられるのではなく。

 こんな、まめで気立てがよく、しかも美しい男の子なら、幸せにしてくれる女の子はいくらでもいるだろうに……。