7 肉食系美女、登場!



 エイジには明らかにマゾっ気がある。つまり、屈辱や苦痛を快感に昇華させる才能がある。

 加えて、どうやらネコらしい。受け身で乱れることができるタイプの男だということだ。

 しかも、容姿は、中性的な美少年。性格も陽気な楽天家で、ずうずうしいところもあるが、あいきょう もバッチリそなえている。

 エイジはあたしが今までつきあった男たちとはタイプがまったく違う。彼は、これまでなじみのなかった魅力で、あたしの心をとらえてしまったのである。

 はっきり言って、エイジをいじめながら犯すのは、なかなか楽しかったし、ものすごく興奮した。

 事後、なわ かれた彼がベッドに横たわり、潤んだ目で放心したように宙を見つめているその姿も、ゾクゾクくるほどエロティックで、大いにそそられるものだった。

 もちろん、そのプレイは、花野も大いにお気に召してくれた様子だった。

 その一方で、ノリノリでセックスしていたあたしとエイジに、花野が少々不安をいだいたのも確かなようで……。

 エイジを先に帰し、花野の部屋で二人きりになったとき、彼女は言ったのだ。

「ねえ、紗絵。あたしたち、恋人同士だよね? つきあってるんだよね?」

「うん。もちろん。どうしたの、今さらそんなこと言って?」

 しかし、その問いにはこたえず、彼女はあたしをひしと見つめ、言った。

「紗絵はあたしのこと、愛してるよね?」

「もちろんだよ! だからこそ、べつに好きでもなんでもないエイジと、ああいうこともできるんじゃない。花野を喜ばせたい一心で!」

「ああ、紗絵……」

 大きな目であたしを見つめ、彼女は言った。

「大好き……!」

 と、ここであたしに抱きついてくれれば最高だったのだが、花野は両手の指を胸の前で組んで、あたしを見つめ、続けたのである。

「こんな、他人から見たら異常だって言われるにちがいない関係を、受け入れてくれるなんて……! 紗絵……!」

 彼女を抱きしめたいという衝動を抑え、あたしも言う。

「受け入れるもなにも、あれは、あたしたち二人にとって、愛の行為だよ。確かに、普通の愛の形とは違うけど、普通じゃないのは悪いことじゃないでしょ?」

「そうだよねっ。紗絵がエイジ君とセックスしてくれたのは、紗絵とあたしの愛の行為なんだよねっ!」

 その解釈には、なんとなく引っかかるものがあったが、花野に不安を与えたくなくて、あたしは力を込めて応じる。

「もちろんだよ!」

「じゃあ、また、あたしのために、エイジ君とセックスしてくれるよね?」

「あ……。う、うん」

 いかん。一瞬、躊躇してしまった。

 迷いを見せては、花野を不安がらせ、愛情を疑われてしまう。ここはひたすら従順に、肯定しておけばよいのだ。どうせ、そのときになれば、あたしも楽しむことができるのだから。

「あたし、これからも、紗絵に『この人とセックスして』ってお願いすることがあるかもしれない。エイジ君以外で」

「えっ?」

 ずいぶんと大胆なことをサラリと言ってくれるものだな、花野よ……!

 いくらあたしが「普通じゃない愛の形」を否定するような人間ではないとはいえ、チャレンジするにはハードルが高い愛の形というものもあってだな……。

 さすがにあたしの動揺に気づいたらしく、花野は言った。

「もちろん、紗絵の意志もちゃんと確認するから。いやなら、いやって言っていいからね」

「う、うん」

 確かに、花野はあたしの意志を尊重しようとしてくれてはいる。

 しかし、あたしのほうは、彼女に対しては「いや」と言えない性格であり。

 もし、花野が「あたしとセックスして」と言ってくれるのであれば、そりゃもう、喜んで応じるのだが……。



 突然、花野に電話で呼び出された。

 それだけで、もう、あたしはウキウキしてしまうのである。

 そして、足取りも軽く彼女の家に行ったところ、そこにいたもう一人の人物は──。

「こんにちは。はじめまして」

 長身に豊かな胸、そして華やかな美貌の、見るからに肉食系の美女だった。

 あたしの分のカモミールティーをポットからグラスにそそぎつつ、花野は彼女を紹介する。

「こちら、 さん。ネットで知りあったの。美しい方でしょ? レズビアンなんだよ」

 そして、美登里さんはあたしに問う。

「あなた、バイセクシュアルなんですってね?」

「は、はい」

「紗絵ちゃんって、おっしゃるのよね?」

「はい」

「って、いきなり『ちゃん』づけで呼んじゃったけど、いいかしら?」

「は、はいっ」

 あたしは、美登里さんの堂々とした物腰と美貌に圧倒され、必要最低限の返事しかできない。

  されてるのをごまかしたくて、グラスを手に、カモミールティーをちびちびと飲む。

 花野は愛らしい微笑みを浮かべつつ、あたしに言う。

「今度はね、あたしの目の前で、紗絵と美登里さんとでセックスをしてほしいの」

「ええっ?」

 これまた、言いにくいことをサラリと言ってのけてくれる!

「あたし、レズビアン・セックスに興味あるの」

 ちょっ……!

 レズビアン・セックスに興味がある、ですとっ? なんとうれしいお言葉!

(だけど、どうせ、それ、オナニーの生オカズとしてのレズビアン・セックスだよね? 実践したいという意味じゃないんだよね?)

 美登里さんは目をキラキラさせて、あたしに言う。

「紗絵ちゃんが、期待してた以上にきれいな子で、うれしいわ。まさにクールビューティーよね。ズバリ、好みだわ」

 もちろん、美女にこんなふうにほめられて、うれしくないはずがなく、なんとなく、表情がゆるんでしまうわけだが、そんな表情の変化は美登里さんに把握されてしまったにちがいなく──。

「私、刺激的なこと、大好きなの。だれかのオナニーのオカズになるためにセックスするなんて、今までになかった経験だわ。それに、あなたとは気が合いそう。もちろん、体の相性も」

 いたずらっぽい微笑みに、つい、ドキッとしてしまう。

 こんな美女に、あからさまに好意を示されるなんて、初めての経験だ。実は、私、同性に対しては、大変おぼこいのである。

 頭の中では、半端な思考の断片がグルグル巡る。

(こんなきれいな女の人と、セックスできるなんて……)

(でも、それって、花野が見ている前で、だよね? そんなの、いくらなんでも、抵抗ある……)

(しかも、美登里さんとは初対面だよ)

(でも、これを機会に、花野が同性愛に目覚めてくれる可能性もあったりして?)

(あおられて欲情した花野が、ケダモノと化して、乱入してきたり、とか? やだ、それ、そそられる……)

 あたしがかっとう している間に、花野は早くも興奮に目を潤ませ、訴えてくる。

「紗絵と美登里さんのセックス、あたし、見たいよ。絶対、きれいだよねっ」

 愛しい花野にうっとりとした目を向けられ、頭がポヤーンとなったところで、美登里さんが耳許で妖しくささやく。

「こんなふうに始まる関係も、たまにはいいと思わない?」

(たまには……。うん。たまになら、いいかも……)

 流されつつあるのは、わかっていた。

 でも、流されていいような気もしていた。

 美登里さんは素敵だし、花野も喜んでくれるのだし。

「絶対、あなたをがっかりさせないことを、約束するわ。私、タチなの。あなたは横になって、気持ちよくなってくれればいいだけよ」

 美登里さんは甘い言葉を重ねつつ、あたしの背を優しく押し、ベッドへと誘導して座らせる。

「きれいなお肌ね」

 あたしの頰を軽く撫でて、彼女は続ける。

「もっとよく見せてほしいんだけど……いいわよね? 脱がせても」

 あたしは子供のように、こくりとうなずいた。

 一枚一枚、美登里さんに服を奪われてゆく。

 あたしは完全に受け身だった。

 仮に、美登里さんと二人きりで愛しあう展開になっていたら、あたしも彼女に欲望をぶつけていたと思う。だけど、今は、花野の目がある。

 そんな、ノリノリで情欲をたぎらせ、美登里さんの肉体を求める姿なんて、花野には見せたくないっ!

 美登里さんは、あたしの髪に頰を寄せる。

「シャンプーの匂いがするわ。花野ちゃんと二人きりでエロティックな時間を過ごすために、シャワーを浴びてきたのね? けな な人」

 からかうように言われて、頰を熱くしてしまう。

 確かに、あたしは家を出る前にシャワーを浴びてきた。花野には指一本触れることはできないと、わかっているくせに。

 ついに、一糸まとわぬ姿にされてしまった。あたしはとっさにベッドの上の毛布を引き寄せ、体を隠した。

「恥ずかしいの? かわいい人ね」

 美登里さんはようえん な笑みを浮かべながら、きれいな動作で服を脱いでゆく。

 花野はパンツの中に右手を突っ込んで、スタンバイ。たまには、他のオナニースタイルを見せていただきたいものだが、花野としては、べつに見せるつもりでオナニーに及ぶわけではないのだから、これでいいのだろう。残念ながら。

 すべての衣服から解放されたとき、美登里さんはどこまでも自由に見えた。まるで、美というものを具象化した存在のようで……。

 ベッドに腰かけたと思った次の瞬間、美登里さんは、あたしの手から毛布を奪い取った。

 あたしはとっさに、両膝を胸に引き寄せ、身を縮めてしまう。

 豊かな肉体を惜しげもなく晒し、美登里さんは小首をかしげてあたしに訊く。

「もしかして、その態度、私を焦らそうっていう作戦?」

「ち、違いますっ。な、な、なんか、緊張しちゃって……」

「ふーん。だったら、優しく緊張をほぐしてから愛してあげるよりも、無理やり奪っちゃったほうが、花野ちゃんからすると、ビジュアル的に興奮するわよね?」

 すると、花野は「うんっ!」と元気にこたえた。

 ちょ、ちょっと……!

 花野の前で無理やりだなんてっ……!

 でも、それは花野が望むシチュエーションでもあるわけで……。

 おたおたと動揺している間に、美登里さんに両手首をガシッとつかまれた。

 きれいな唇の両端がキューッと上がって、肉食系の笑みを形作るのを、あたしはボーッと見ていた。

 気づいたら、美登里さんにしっかり組み敷かれていた。彼女の長い髪が、あたしの肌をくすぐる。

「あ、あ、あのっ。まだ、あたし、心の準備がっ……」

「そんな状態のあなたを無理やり組み敷いて、いい声をあげさせちゃうっていうのも、素敵だと思うの」

 両手を頭の上でまとめて押さえつけられた。美登里さんは左手しか使ってないのに、あたしは外せない。

(この人、すごく手馴れてる……!)

「あうっ!」

 いきなり、下半身の器官に触れられて、体が跳ねてしまう。

「あ……。あっ……」

 形状を確認するかのように、彼女の指先があたしの二枚の襞の合わせ目を下から上へとたどる。同時にジワリと湧いてくる快感。

(やだっ。変な声、花野に聞かれちゃうっ)

 表情の変化を観察するように、美登里さんは上からあたしを見つめつつ、片手の指で器用に襞を左右に開いた。

「んっ……!」

 それだけの刺激に、あたしの体はビクビク震えてしまう。

 フッと微笑み、美登里さんは言う。

「感じやすいのね、あなた。かわいいわよ。乳首もこんなに固くしこらせちゃって」

 そして、あたしの左の乳首を舌先で突いた。そのまま、とがらせた舌でしつよう に小突かれてしまう。小さな刺激が、じれったい。

 その間にも、彼女の片手は、あたしの性の花弁を乱す。

 熱い。触れられれば触れられるほど、そこは熱を持ち、脈打ち、快感をむさぼる。

 初対面の女性に、こんなにあっさりと感じさせられちゃうなんて!

「ウッ……。はぁっ……。やっ……だぁ……。は、恥ずかしいっ……」

 あたしは体をうねらせながら、花野に視線を移した。

 彼女は、いつものように、片手をスカートの下に、片手をシャツの下にもぐり込ませて、自分に快感を与えている。

 まだ、快感を得はじめたばかりのようで、頰はほんのり染まっているだけで、息もさほど荒くなってはいない。それでも、目はすでにトロンとしていた。

「紗絵、かわいい……。エッチでかわいいよ……」

 自分を愛しながら、熱い言葉を紡ぐ花野に、あたしはすがるように言う。

「こ、こんなのっ……もう、恥ずかしいっ……」

「そんなふうに恥じらってる顔も、とっても素敵」

 そして花野は、うふふと笑った。

 あたし、感じてしまっていいんだ……! 花野が喜んでくれるのだから!

 あたしは、花野の恋人でありながら、彼女に指一本触れることは許されていない。でも、だったら、彼女を欲情させ、生オカズとしての役割を演じきるべきでは?

(ああ、だけど、恥ずかしいっ……!)

 エイジのときとは違う。

 相手が初対面の美しい女性で、あたしは完全に受け身にされ、快感を与えられるばかりで。それが激しいしゅう と興奮を喚起する。

「ああっ! うっ……くっ……」

 乳首を吸われ、性の器官に刺激を与えられ、あたしは甘い声をあげる。

 性の花はズキンズキンと熱く脈打ち、蜜を流す。

 なめらかな蜜は、美登里さんの指にからみ、あたしの奥へといざな う。どんよく に。

 あたしの乳首を舌で転がしながら優しく吸っていた美登里さんが、ふと、顔を上げた。

(感じまくってる顔、見られちゃう!)

 顔をそむけたけど、無駄なのはわかっていた。

 あいかわらず、強い力であたしの両手首を押さえつけ、彼女は性の襞にほどよい刺激を与えてくる。そうしながら、クスッと笑った。

「ねえ、紗絵ちゃんのかわいいところ、もう、トロトロ。初対面の女にこんなことされて、感じちゃうんだ?」

「だ、だって……美登里さん、上手だし、セクシーだし……」

「あら。かわいいこと、言ってくれるじゃない。強引にいろいろされちゃってるのに、感じまくってるうえ、そんなふうに媚びちゃって、いやらしい子ね」

「い、いやらしいのは、美登里さんですっ」

 悔しさのあまり、あたしはあえぎながら反論した。

「み、美登里さんだってっ……は、初めて会った女の子相手に、こんなことしてっ……」

「まっ! 憎らしい子! そんな反抗的なことを言う子には、こうしてやるわ」

 美登里さんは身を起こすと、まったく迷いを見せることなく、あたしの両腿を内側からグッと押して開脚させ、そして、性の部分に口づけた。

「あっ!」

 その強烈な行為に、あたしは戸惑い、身を震わせてしまう。

 彼女の舌があたしの襞を割った。生々しく伝わってくる濡れた感覚。そして、快感。

「あっ……。あっ……。いやぁ……!」

 顔がカーッと熱くなる。

 まだ、同性との経験は、二人目なのに。それも、三年ぶりで。しかも、美登里さんとは初対面で……。

 秘めておくべき部分を、突然、暴かれてしまって。あたし、すごく濡れちゃってるのに、舐められちゃって……!

「やっ! だ、だめっ……。恥ずかしいっ……。美登里さんっ」

 あたしは両手でシーツを握りしめ、開脚の姿勢に固定されたまま、身を震わせる。

 ピチャピチャと音を立てているのは、絶対、わざとだ。

 与えられる快感は、あたしを乱し、そんな自分の反応が羞恥をあおり。そして、羞恥は興奮へと直結し、あたしの体をますます敏感にしてしまう。

「あっ……ンンッ……」

「あなたの蜜、エロティックな味がして、とってもおいしいわ」

「ああっ……。恥ずかしいこと、言わないでくださいっ」

「無理よ。あなたを恥ずかしがらせたいんだもの」

「あうっ!」

 鋭い快感が脳天まで突き抜け、あたしはのけぞって濡れた声をあげた。芽吹いている小さな器官に触れられたのだ。

「んっ……。くっ……アッ……!」

「私の指の動きに合わせて、かわいい声が出るなんて、まるで楽器ね。でも、なんてエッチな楽器かしらねぇ」

 そして、花野の賞賛があとに続く。

「きれい……。美登里さんも紗絵も、すごくエロティックできれい。レズビアン・セックスって、すごくいいっ!」

 そう思うのなら、あたしとレズビアン・セックスしてよぉっ!

「ねえ、紗絵ちゃん、自分のおっぱい、揉んでみて。私はあなたの下半身を気持ちよくしてあげるから、上半身は自分で気持ちよくしてみて」

 美登里さんの言葉はこう に妖しく入り込み、脳をしびれさせる。操られるように、あたしは両手で自分の両胸を包んだ。

 そっと揉んでみただけで、切ないような快感が生じ、身が震える。

「あっ……あっ……」

 甘い声も洩れてしまう。あまりにも、あっけなく。

 そして、性の泉からは、ジュンッと熱い蜜が湧き、トロトロとあふれ出る。

「ふふ。いいながめ。紗絵ちゃんの感じてる顔、とてもエッチでかわいいわ」

「あっ。早く、くださいっ……。気持ちよくして……」

「うれしいわ。そんなふうに、あなたにおねだりしてもらえるなんて」

 そして、美登里さんは、あたしの股間に顔をうずめた。

「あぅっ!」

 クリトリスを舌先で突かれ、ズキッと快感が響く。

 彼女の指が、あたしの性の花弁を乱す。その刺激は、当然、快感に変換される。

 スルリと、指が入ってきた。あたしの内壁は、からみつくように収縮する。

(これ、気持ちよすぎるっ!)

 羞恥に、快感を味わいたいという欲望が上塗りされる。

 あたしは自分の胸を激しく揉みしだいた。指と指の間に乳首をはさみ、こすりあげながら。

 的確な場所に、的確な強さで、的確に与えられる快感。

 一方、美登里さんに完全に預けてしまった下半身は、予測できない刺激に脈打ち、蜜をこぼす。

(ああ、どんどん気持ちよくなっていっちゃう!)

 腰の奥深くに生まれ、育ちつつある、衝動の源。そこを中心に、全身の細胞が小刻みに震えているかのよう。

「はぁ……。あっ……んっ……! ウウッ!」

(花野が見てるのにっ……)

 そう。

 最愛の花野の目の前で、あたしはほかの女性に抱かれて、感じまくっている。あたしは花野の恋人なのに!

 一方、そんなあたしを見て、花野は興奮し、自慰に及んでいるわけで。

 なんて倒錯的な……!

「やっ……。美登里さん、そこ、だめぇ……。感じすぎちゃうからっ……」

 クリトリスを重点的に攻めてくる美登里さんに、あたしは訴えたけど、それは反対に彼女をあおっただけだった。

 触れられれば触れられるほど感度を増す快楽の芽に、美登里さんの舌は優しく触れ、あるいは、とがらせた舌先でそれを小突き、転がす。

 あたしの洞窟にさし入れられている彼女の指も、内壁を押したり、ぐるぐるかきまぜたり、ピストン運動をしたり。

 目まぐるしく色あいを変える快美感は、あたしの体をいやらしくうねらせる。

「やっ……。ううっ! み、美登里さんっ……。だ、だめっ……。あたしっ……恥ずかしいっ……」

 貪欲に自分の胸を揉みしだきながら、恥ずかしがってるなんて、ひどく矛盾している。

 そう思うのに、すっかり快感に引きずられてしまっているあたしは、自分の両手を胸から離すことができない。

「あっ……あっ……。紗絵、すごくいいっ……。なんてエッチできれいな姿……!」

 興奮に濡れた花野の賞賛が耳に入ってきたけど、彼女の様子をうかがう余裕すら、あたしにはなかった。

 もう、エクスタシーが、すぐ目前で──。

「あっ! あっ! いっちゃうーッ!」

 あたしはギュッと眉間に皺を刻みながら、のけぞった。その間も、両手は自分の乳房を執拗に揉みしだいていて。

 膣がキューッと収縮して、美登里さんの指をさらに強く咥え込む。

 限界まで膨張した快感のかたまりが、破裂した。

「くぅーっ!」

 強烈な快感に、全身が大きくそったまま、ガクガク震える。

 絶頂感は、あたしの体からエロティックな反応を存分に引き出し、そして、ゆるやかに去っていった。

 あたしは、ぼうぜん と宙を見つめる。

(いっちゃった……。初めて会う女の人に攻められて……花野の目の前で……)

 美登里さんはフフと笑って、あたしの髪を撫でて言った。

「とってもよかったわよ、紗絵ちゃん。かわいくて、エロティックで」

「うんっ! すっごく、よかった!」

 花野も無造作におのが股間をティッシュでぬぐいつつ、賞賛してくれる。

「紗絵と一緒に、あたしもいっちゃった!」

 その花野の言葉は、あたしの心を喜びで熱くする。

(あたしと花野、一緒にいくことができたんだ!)

 ああ、もう、今はそれだけでも幸せ……!

「一見クールな紗絵ちゃんが、あんなに乱れてくれるなんて、そのギャップがたまらなかったわ」

 濡れた部分を、美登里さんが手にしたティッシュにぬぐわれてしまい、あたしの心に羞恥の感情が戻ってくる。

「す、すみませんっ」

「いいのよ。私も楽しませてもらってるんだから」

「あ、あの、今度は、あたしがしましょうか? 美登里さんに」

「あなたがタチになってくれるって言うの?」

 ズバリ問われて、頰が熱くなるのを感じながらも、あたしはうなずく。

「はい。あたしばかり気持ちよくしてもらうのは、申し訳なくて……」

「いいのよ。私はいつもタチなの。つまり、いわゆるバリタチ。かわいい女の子を気持ちよくしてあげながら自分も感じて、それで満足できるの」

「……そうなんですか?」

「ええ。ネコ役を求められて応じても、私には苦痛なだけ。それが、私のセクシュアリティなの」

 まるでむつごと のように(実際、これは睦言なのだろう)、美登里さんとあたしが裸で言葉を交わしている間に、服の乱れを整えた花野は、冷蔵庫を開け、飲み物の用意を始める。

 そうしながらも、興味津々でこちらの様子をうかがっている。あとでまた、今日の記憶をオナニーのオカズにするつもりなのだろう。

「ねえ、紗絵ちゃん。また、あなたを抱いて、気持ちよくしてあげたいわ。いいかしら?」

 あたしは、花野のほうをうかがった。

 グラスを三個並べて、冷たい麦茶をそそいでいる花野は、こちらを見なかったけど、耳だけはあたしと美登里さんの会話に集中しているのは、明らかだ。

 美登里さんは美しいし、テクニックも素晴らしい。おまけに、性格もカラッとしていて、いい人だ。こんな魅力的な女性をきっぱり拒絶するなんてできるわけがなく──。

「えっと……花野さえよければ……」

 こたえてしまい、あたしは気づいた。

 それって、また、花野の目の前で美登里さんに抱かれることを承諾してしまったということだ。

 美登里さんはふわりと微笑み、言った。

「うれしいわ」

 一方、花野はこちらを見なかったものの、うれしそうに唇の端をキュッと上げたのはわかった。