本書は二十四歳の主人公の現在パートと、十七歳の頃の過去パートとが交互に挟まる構成になっております。主人公の出身地であり過去パートの舞台となっている場所は、作中では明記していませんが、一応わたしが育った地方をモデルにしています。ちらりとでてくる方言もその地方のものです。
長野県中部の
特急あずさで新宿までおよそ二時間。交通費は片道五~六千円。高速バスだと新宿駅西口のバスターミナルまでおよそ三時間、片道三千円くらいなので中高生のお財布でもなんとか遊びに行くことができました。距離的にも費用的にも〝東京〟は手が届くところにある〝都会〟でした。親元を離れてあの街で独り暮らしをするというのは十分に実現可能な将来像で、それがゆえに切迫した焦燥感を
さて、ご
本書は二〇〇七年にメディアワークス(現アスキー・メディアワークス)より刊行された単行本の文庫化になります。過去の自分の文章を見直すと
わたしの本の中では一番さらりと読みやすいのではないかと思いますので、お気軽に手に取っていただければ幸いです。自分としてはかなり異色の作品です。一番読みやすいのが異色ってどうなのかなと思いますが……。
現時点の自著の中で主人公の年齢が一番高く、現時点の自著で唯一の〝普通のOLさんもの〟です。自分がジュブナイルの賞の出身ということもありますが、十代~大学生くらいの世代の人たちの物語を書くのが、少なくとも今のところはやっぱり非常に好きなので……。二〇〇七年当時、読者さんも中学生高校生の方が多数を占めていた自分にしてはちょっとチャレンジングな題材でした。
ただそこをあえて「OLさんもの書いてみない?」と提案してくださったメディアワークスの担当編集者さんには感謝しております。わたくし今年でデビュー丸七年が過ぎました。デビュー作の発売と同月に職を辞すという無謀を冒したので作家歴と専業作家歴は同じです。その前は数年間会社員をしていたのですが、社会から離れて年月がたつにつれちゃんとした大人としての社会性が失われていってるので(どうも近年になって中二病をこじらせてる気が……)、今の感覚ではこの話は書けなかった、というか書くことを思いつかなかっただろうなあと思います。二〇〇七年の自分だからこそ書けたのであろう話がここに残っていました。文庫化の作業にあたり三年半ぶりに一冊通して読み込んで、
そしてわたしの名前を知ってくださっている読者さんの年齢層が当時よりも広がったこの二〇一一年に文庫化を進めてくださった、角川書店の担当編集者さんにも同様の感謝を申しあげます。願わくは多くの方のお目にとまりますよう。
……あ、なんか今はもう社会人の話は書けないっていう流れになってしまった気がしますがぜんぜんそういうことではなく、微力ではありますがもちろん今後もっと様々な幅のキャラクターや題材に挑戦していきたい所存です。
最後にもちろん、今、この本を手にしてくださっているあなたに最高級の感謝を。
読んでくださってありがとうございました。
二〇一一年四月 著者