何か、引っ掛かる

 ある秋の日のこと。

 

 私は、湘南の落ち葉と闘っておりました。

 

 大型台風の翌日、塩害で真っ白になってしまった車は、慌ててすぐに洗ったのですが、落ち葉を掃くことはつい、怠っていたのです。

 

 風が強かったり、小雨が降ったりもしましたが、晴天の日は横目で見ながら、遊びに行く方を優先してしまった。

 

 門の周りはあっという間に枯葉の山になってしまいました。

 

 

 「湘南で、時代劇に出てくるような日本家屋の生活を楽しみたかった私が、こんなにだらしない状況を好むわけがないでしょう! あれから何日経ったというの!」

 

 

 自分への嫌気が、日々増してくるのを感じていました。

 

 荒れた景色が好きなのか? いや、そんなはずはない。

 

 これは、ありのままで、こうありたいではない。

 

 後回しにしている自分にストレスが溜まって、逆に私は疲れているじゃあないの。

 

 

 心のズレを直したいがために、今朝、とうとう竹箒を掴み、外へ出ることができました。

 

 〝こうありたかった〟自分とようやく一つになれて、心穏やかになったのも束の間、それだけではなかったことに気づいたのです。

 

 

 何か、引っ掛かる。

 

 

 だって、先延ばしにした自分も確かに居たわけです。

 

 なかなかやれなかった自分にも理由があるはず。

 

 

 「面倒くさかったから」

 

 「忙しかったから」

 

 

 言い訳をさらに掘り下げたところ、「私は、この自然を相手に、ずっと枯れ葉を掃き続けるのだろうか」というプレッシャーと闘っていたのでした。

 

 今回は、そのプレッシャーに私のストレスのほうが白旗を揚げて、やおら動き出すことにした。

 

 

 要するに、私はたんにサボっていたのではなく、もっと大きなテーマに向き合っていた。

 

 その果てしなさに動けなくなった。

 

 

 そして、湘南は風が強いけれど、落ち葉をさらって行ってはくれなかったのでした。

 

 そこを期待していた、様子見の自分もいた。

 

 これからも繰り返されることだからね。

 

 どうしていくのが良いのだろうか。

 

 自分の向き合うべき課題が見つかりました。

 

 

 どんなにポジティブに生きて行こうとしても、人間である限り、引っ掛かる瞬間が出てきます

 

 そこには、本当の自分の気持ち(したら良いこと)が眠っていたりします

 

 最初にお話したように、人間には何パターンしかなく、共感のポイントもまたこういう部分なのかも知れません。

 

 小まめな〝観察→探求〟は、「あ! あなたも? 私もなのよ!」と話題にも事欠かなくなる。

 

 仲間を引き寄せ、何もないところを、楽しくしていくのです。

 

 

ポジティブハロー効果5つの類型

 日々、小さなことに向き合いながら、「ありのままでこうありたい自分」を意識して、最良の出会いをしていくことが真のコミュニケーションの第一歩です。

 

 それなのに、無意識にネガティブハローをしてしまっている方が実際には多いんです。

 

 意識的でないのに、そうなってしまうのは、間違いなく損です。

 

 対人関係もまた、湘南の落ち葉のごとく、キリがなく降り続くものなので、やっていられない気分になるのかもしれない。

 

 今、自分がポジティブハローしない、できない状態はどこからやってくるのかを自己探求しておくと、心の波のようなものにも敏感になれますから、ハローのスイッチもオンしやすくなるでしょう。

 

 

 とは言え、ポジティブハローにも思いがけないものがありますので、今回は、私が出会った、見た、聞いた、印象的なものをご紹介いたします。

 

 参考になるものもならないものもありますが、いってみましょう。

 

 

(1)策略家

 まずは、一番大事かもしれない。

 

 これならやらないほうがマシ!?

 

 避けておきたいパターンがあります。

 

 その裏には、何か策略が隠れているのでは? と匂わせてしまうもの。

 

 ズバリ、ポジティブハロー策略家認定

 

 ポジティブハローすることを選んだ方は、今一度、心に手を当てて、「自分がポジティブハローで行く、本当の目的はナニ?」と聞いてみてください。

 

 

 心から、どんな声が上がってきますか?

 

 

 気持ちが上がると、良いことありそうじゃん?

 

 お互いが気持ち良い。これはもう、マナーだと思う

 

 今まであまり気にしていなかった。自己改善としても心がけていきたい

 

 良い人と思われないと、知り合いにもなれないじゃないか

 

 人によって使い分ければ良いことだから、お得に取り入れておこうと思う

 

 本当の自分はとりあえず隠す

 

 

 であれば、そのままでOKです。

 

 「が人間当たり前!」と思っている方は、「俺(私)って、計算高そうに見えていたりする?」と、日頃、自分のことをあまり好いていなさそうな人に聞いて、確認を試みましょう。

 

 

 「いや、それはない」

 

 と返ってくれば、まず大丈夫です。

 

 目が泳いでいたらYESなのかも。

 

 いずれにしろ、そんな質問をしてくるなんて、俺(私)のこと、頼りにしているのかな……? となる。

 

 質問したことによる、あなたへのマイナスはありませんから、遠慮なく聞いてしまいましょう。

 

 

 素敵にハローしていると、良いことがあるかも知れないけれど、良い思いをしたいがために、ハローしている姿は、軽薄に映る。

 

 透けて見えやすいのです。

 

 逆に警戒されることとなり、「だったらネガティブハローで行けばよかったじゃんか」とか、今、これを読みながら動揺しているようであれば、正直怪しいと思いますので、焦ってハローをキメめようとせず、「自分を観察→検証」して行きましょう。

 

 

 ちなみに、最近ポジティブハローが怪しい有名人というと、某若手政治家K氏です。

 

 キラ星のようなデビューは良かったし、熱心な若手政治家の姿を定着させたまでは良かったけれど、ポジティブに攻めすぎる姿は逆に、人の心をざわつかせてしまうような。

 

 まぁ、策略しない政治家なんてそもそもいるわけがないと私は思うのですが、疑いの目線を向けられるとすべてがそう見えてきてしまう。

 

 一気に不利になりますのでお気をつけください。

 

 

 また、万が一、自分や相手が策略家であったと判明しても、決して慌てる必要はありません。

 

 嫌なら、方向転換すれば良いだけのことです。

 

 ポジティブハローで策略していると、そのうち自分の心の汚さみたいなものにがんじがらめになることがあります。

 

 心から自分を嫌悪するようになると、生まれ変わるのはむしろ早いので、観察→検証を黙々と行い、時が来るのを待ちましょう。

 

 本当のポジティブハローが生まれた暁には、それで良し! 自分(相手)の成長をたたえるのです。

 

 

 私も、じつは策略家から精進したクチですのでね。

 

 今では、タクシーの運転手さんにも心からポジティブハローできるようになりました。

 

 

 「よろしくお願いします」

 

 「きれいな車で嬉しいわ」

 

 

 そう言って、笑顔で入って行く。

 

 横入りなど、危ない運転をする車がいた為に、急ブレーキを掛けられたとしても、問題のない範囲であれば、

 

 

 「まぁ、危ない運転する人がいるものね。困りますねぇ。こちらは時間に余裕がありますから、急がないで大丈夫ですからね、お気をつけくださいね」

 

 

 と、労いの声をかけたりもします。

 

 感じ悪めだったタクシーの運転手さんが、「俺、3月まで、社員100人以上抱える会社の社長だったんだよ」と、短い時間でも、心を開くことは珍しくありません。

 

 そこで「わ、話始まっちゃった!」とシカトをキメずに、3回に1回でも良いので、傾聴のプチトレーニングに充てて、有効活用する。

 

 これは自分磨きの時間なのだと認識を変え、向き合って見ましょう。

 

 日常的にストレスにならない範囲で、心の筋肉を鍛えていくことで、「ありのまま」から「ありのままで、こうありたい」にグッと近づいていきます。

 

 

 また、タクシーの運転手さんは、紆余曲折あったからこそ人生を味わっている方が割といますし、「この間、元AKBのあっちゃん乗せちゃった♪」とか、肩の力が抜けており、毎日が楽しそうだったりする。

 

 限られた時間という気楽さもありますから、移動手段だけでなく、コミュニケーションの練習の場としても活用できるとお得です。

 

 

(2)ビジュアル

 次、いきましょう。

 

 その名も、ポジティブハロービジュアル認定

 

 それは、銀座のお客さんだった朝青龍の印象です。

 

 彼を初めて見たとき、私はそれはそれはトキメキました。

 

 恋ではないけれど、一目惚れ。

 

 とても可愛い巨大なぬいぐるみの様なのでした。

 

 

 「わっ、可愛い。何、すごい可愛い。お人形さんみたい。可愛い、可愛い」

 

 

 心から言いまくりました。

 

 朝青龍は、基本、無口なのですが、私に「そんなに可愛い?」と言って、顔を近づけてはさらにニコニコニコニコ。

 

 何も言わずにニコニコニコニコ。

 

 ドアップは、悶絶もんぜつ級の可愛さです。

 

 周りにもニコニコニコニコ。

 

 ずーっとニコニコニコニコ。

 

 あまり喋らないけれど、楽しんでいるよ、御機嫌だよと、空気がチャーミングにハローしているのでした。

 

 

 その夜、私は、銀座のタミル(朝青龍の妻、タミル夫人にどうも私は少し似ているらしい)と呼ばれるほど仲良く遊んでもらったのでした。

 

 けれど、ろくな会話をしていません。

 

 覚えているのは、ニコニコ笑顔と、体から放たれるムンムンの熱気。

 

 あと、物凄い愛妻家で、今夜にでも出産しそうなタミル夫人からのメールを、5分と開けずに携帯でチェックしている姿でした。

 

 

 後日、暴行事件のニュースを見てびっくり仰天しましたが、それにしても、あんなに喋らずに、そこにいるだけで、ポジティブハローし続けるって凄い。

 

 イケメン(?)でも、気取るわけでも、ファッショナブル(小さい文字で朝青龍と何百個もプリントされているとピンクの浴衣姿)でも何でもありません。

 

 後日、出会ったホンジャマカの石ちゃんに、同じ空気を感じましたが、ちょっと笑顔足らずだったため、その夜は、ポジティブハロービジュアル認定まではできなかった。

 

 ここぞという時には、やり抜いてしまった方がモテます。

 

 

 ぽっちゃりしている方、顔立ちがアニメな方、とにかくユニークなビジュアル系の方も、ぜひこの路線、捨てずに検討してみてください。

 

 

(3)雲上人

 次、行きます。

 

 ポジティブハロー雲上人認定。

 

 元祖伝説のホステスといえばこの人、デヴィ・スカルノ夫人です。

 

 抜けるような色白でなかなかの豊満なボディをしています。

 

 タイトなスーツで大きく開いた胸元からは、ダイナマイコとはまた質の違う、ふんわりとマシュマロのようなバストがのぞいている。

 

 ちょっと触ってみたくなるほど柔らかそうで、まずそこからしてもポジティブハローな感じなのですが、鮮烈な印象としてあるのは、真っ直ぐに相手に向けるその視線です。

 

 とくに話しかけるのでもなく、瞳を輝かせ口角を上げ、じーっと一人一人の目をゆっくりと見つめていく。

 

 まさに女王様との謁見のシーンを彷彿とさせるのです。

 

 

 「私、あなたとの出会いを、いま、心から嬉しく、味わっていますのよ」

 

 

 そんなメッセージが込められているかのようです。

 

 デヴィ夫人は、満開の紅薔薇のように艶やかなのですが、顔の筋肉もまた意識的に開かれている感じ。

 

 

 「私、ガソリン満タン。疲れなんてこれっぽっちも感じたことがないわ。いつだって、絶好調に起きていますのよ」

 

 

 と、〝今〟に対する前向きな意志のようなものが、ビンビンと伝播してくる。

 

 すると、こっちも「よぉし、こっちもパワー全開でいかないと、人生もったいない気がしてきた」となり、お互いがっつり向き合って行こうぜ的な空間が生まれるのでした。

 

 夫人は、その勢いで、パーティ券を売っていました。

 

 微かに聞こえてきたのは、「一枚5万円」とやらで、「あなた、何十枚買う?」とこれまた真っ直ぐに、射抜くような眼差しをチーママに向けているのを見て、慌てて席を外した私でした。

 

 彼女を外らし(せ)たのは私くらいのもんでしょう。

 

 

 ただならぬ落ち着き、凄味は、酸いも甘いも噛み分けてきた人生だからこそのものだとも言えますが、女性経営者、子育てを立派に終えた主婦にも、類似の貫禄推し的ご婦人は結構います。

 

 安心安定を望む人間の本能からして、そういう人のお側に居れば間違いない! と思うことから、意外にも惹きつけるのですよ。

 

 

(4)なかったこと

 次、は、ポジティブハローなかったこと認定

 

 ちょっと、一線を退いてしまいましたが、みのもんた氏。

 

 何回、来店されて、何回、一緒に飲んだか、数え切れませんが、彼はきっと、お店の誰のことも覚えていない気がする。

 

 常に、大人数を引き連れて、豪快に飲み、お口も達者で、楽しく華やかな酒席となるのですが、デヴィ夫人とは対照的です。

 

 スルスルと視線が流れ、人の話も、ワッと笑って煙に巻いてしまう聴き方をする。

 

 すぐに、真逆の方向に上半身ごと向いてしまうので、今まで話していた方は、いきなり壁を作られたような気分に陥ってしまうのです。

 

 仕事柄、隅々にまで目を配り、気を回しているうちに、目の前のものに集中できなくてなってしまったのかも知れません。

 

 

 売れっ子ホステスにも、同じ現象が見られます。

 

 次々とお客さんがやってくる中に、自分のお客が紛れていないか。

 

 接待であれば、別のお客の相手をしていても、遠目に状況を常に把握して黒服に指示を出す。

 

 ヘルプのホステスが盛り上げてくれているか、粗相をしていないか、どこで何が起きているかが常に気になり出すと、目の前ほど意識が配れなくなるのが人間なのかも知れません。

 

 

 つい最近、白金にある小さなお蕎麦やさんで、しっぽりと日本酒を飲んでいるみのさんを見かけました。

 

 私にも気づかないし、同席していた目の前の人のことも見ていないかのようで、「大丈夫か?」と少し心配になりました。

 

 彼は、遠くを見る必要性もそんなにはなくなったでしょうし、近くはまた見る気にならないのかもしれませんね。

 

 

 いろいろ、見てまいりましたが、今回もまた、長文失礼。

 

 

(5)殿堂入り

 最後に、ポジティブハロー殿堂入り認定。

 

 それは、インテリ有名人の加藤タキさんです。

 

 コメンテーターなどで拝見するだけで、「肩書きは何?」と思い、ウィキペディアを見たところ、コーディネーター、難民を助ける会副理事長などとなっていました。

 

 しょっちゅうすれ違うので、多分、私の東京の住まいが、ご近所なのだと思います。

 

 テレビのイメージそのままに、万人に、目が醒めるような笑顔を向けながら歩かれています。

 

 

 「この人、本当に凄いな!」と度肝を抜かれたのは、スーパーマーケットでの彼女です。

 

 なんと、台に並ぶ、キュウリに向かってまでも微笑みかけ、ポジティブハローしていました。

 

 お肉にも、お味噌にも、パンにもミルクにも、仲間外れなど一切しません。

 

 あり得ません。

 

 

 「みんな、素敵な、私の愛する仲間たち! 御機嫌よう!」

 

 

 という声が聞こえてきそうな。

 

 もう、生き様そのもの、揺るぎない意識ですね。

 

 その輝きに、お野菜たちもまた、活き活きとして微笑み返しているように見えましたよ。