麻布十番の気取った和食店にて

 久しぶりに麻布十番にあるこじんまりとした和食屋さんに行ったときのこと。

 

 飲んで食べてお一人、8000円くらいかな。

 

 ちょっと気取ったお店なのですが、もともと愛想のなかった店主(60歳くらいのおじさん)は、横柄な態度にパワーアップしており、従業員に厳しそうなわりに、有田焼の醤油差しのなかは空っぽ。

 

 そう言えば、このお店、女将さんが居たよね? どうしていない……?

 

 さては、逃げられたか? とりあえず、醤油が欲しいので、店主には(怖いので)言わ(え)ずに、まだお客のいないお隣の席のものとすり替えた私。

 

 

 しばらくすると、隣には、一流企業に勤めていそうな30歳前後のサラリーマン3人組がやってきました。

 

 港区三田の綱町三井倶楽部の袋を下げており、どうやら結婚式の帰りらしい。

 

 上座に座ったのは上司か、大学の先輩かは不明ですが、ラサール石井をカッコ良くしたような風貌。

 

 私の席からよく見える下座の男性は櫻井翔似で、もう一人は横顔だけど、生田斗真に似ている。

 

 何気に光っている3人組が繰り広げる会話に、私は耳をダンボにしました。

 

 

 櫻井翔には同棲中の彼女がいるらしいのですが、伊豆に旅行に行くために新幹線の切符をとったら、それが山側ではなくて海側の席であったことに、彼女が「あり得ないでしょ~!」と腹を立て、旅行が中止になったとか。

 

 

 えっ、そんなことで……。

 

 

 ラサール石井は、夫婦共稼ぎらしいのだけれど、奥さんが「夕食、なに食べる?」と聞くので、一番手のかからないものを考え、「そうめんでいいよ」と答えた。

 

 すると、

 

 

 「はぁ? あんた、そうめんならラクだと思っているの!?

 

 

 と返ってきたと言う。

 

 私は思わず箸が止まりました。

 

 

 「じゃあ、何なら作るんだよ、その奥さん」

 

 

 と話にはもちろん入らず、さらに耳を澄ませていると、「もう、自分(ラサールの妻)が食事を準備するみたいな空気がただよっていることが嫌みたいなんだよね」とのこと。

 

 生田斗真は、月に一回、義理の父親と1日がかりでゴルフに行くのが苦痛だけど、ハズしたくはないらしく、車でのお迎えやらゴルフバッグ持ちやら、徹底してかしずいているのだとか。

 

 

 「それもこれも、すべては自分の子どもにお金を出してもらうため! 俺が犠牲になれば、すべてがうまく行くんだ!」

 

 

 そう言い放つと、突然、体の向きを変え、店主に向かって「醤油くださ~い」と言いました。

 

 そうだよね、その醤油差し、空っぽだもんね。

 

 

 それにしても、3人のイケメンたちでも、このような不満を垂れるとは!

 

 みんな、パンク寸前なその空気に、私はおののいて帰ってきたのでした。

 

 皆さんは、大丈夫?

 

 

「ありのまま」ではなく「ありのままで、こうありたい」が正解

 これまでは、完全受け身視点でのエピソード、対処法をご紹介してきました。

 

 今回は、逆の立場(ホリエモン側)から見てみましょう。

 

 

 ホリエモンと見城社長という大物のお二人が、初対面のシーンで、私に対極の対応を見せてくれました。

 

 「完無視4時間」に「立ち話3分」。

 

 長くも短くもひと夜のでき事ですが、人の印象はこんな風に定着してしまうのでした。

 

 

 「初対面で、自分がどう相手に映るか? 映らせたいか?」を考えていきましょう。

 

 

 人は〝ありのまま〟で居たいとかよく言いますが、〝本来望んでいたはずの自分の姿〟とズレていることはとても多い。

 

 それでも、ありのままでいたいものですかね。

 

 そのまま、人前に、ありのまま出ちゃいます?

 

 この、〝予定外の自分〟に目を背けるクセが、日常的に付いてしまっていると、世の中はどんどんくすんで見えてくることになります。

 

 ウツなどの心の病気もここから始まったりする。

 

 

 麻薬に手を出してしまった有名人、飲酒運転をしてしまう元アイドルが、ありのままでいいわけがないのだけれど、そこに至るまでには、自分の望みと違う方向に行っていることを感じながらも、我慢したり、蓋をしてしまう瞬間がいっぱいあったはずです。

 

 心のキャパの大きさは人それぞれですが、ある日突然パンクしてしまうことは誰にだって起こり得ること。

 

 よって、自分自身を我が子のように考えて、ひたすら、丁寧に観察していくことがとても大事になるのです。

 

 

 正しくは、「ありのままで、こうありたい」を、日頃から意識すると、いい。

 

 

 「なるべく童心にかえって、真っ直ぐな理想を思い浮かべる」

 

 「まずは、正直な自分を見つめる」

 

 

 と言うことです。

 

 とは言っても、

 

 

 「子どもの頃、パイロットになりたかったんだよな!」

 

 

 と大まかに出ないように。

 

 それだったら、私もアイドル歌手、というか松田聖子になりたかったし。

 

 

 そうではないのです。

 

 もっと細やかに、

 

 

 今、これをしている自分を、好き?

 

 

 みたいなことです。

 

 

 例1)自動販売機の横に置かれている、すでに満杯になった缶・ペットボトル専用のゴミ箱に、無理矢理、飲み終わったスポーツドリンクのペットボトルを押し込もうとしている自分

 

 →「この姿、素敵か?」

 

 

 例2)スタバのお姉さんのまぶしすぎる笑顔を直視できない自分

 

 →「奥ゆかしいか? あるいはイケてないか?」

 

 

 例3)食事の時、スマホを見てしまう自分

 

 →「リラックスできているからOK? ご飯が味わえていないからNG? マナーとしてどう?」

 

 

 俺(私)、違うな……。

 

 俺(私)、ズレてるな……。

 

 そう感じるだけで良いのです。

 

 小さなことで、自分の理想の姿にズレがあることを知る。

 

 どういうことかと言うと、あなたの秘めたるパワー(願望)は小さくとも、捻じ曲げられているのです。

 

 

 小さいことは、意識すればすぐに取り戻せます。

 

 ペットボトルは持ち帰ればいいし、押し込む自分が好きというか自覚があるなら、それは〝選択〟です。

 

 スタバのお姉さんの目が直視できないのであれば、口元を見て、口角をあげて顎を引けば、笑顔の挨拶を返されたと、思われるでしょう。

 

 

 取り返しのつく段階で、観察→検証の癖を付けて、ありのままで、こうありたかった自分から意識が離れすぎないようにするのです。

 

 それを踏まえて、人との出会いのシーンをしっかりと考えて行きます。

 

 

 なぜ、前もってこんな話をしたかと言いますと、出だしから間違うと、振り出しからやり直すしかないからです。

 

 

 ほんとうは嫌いな自分を、人に紹介してしまう。

 

 単純にもったいないですよね。

 

 自分が、どんな出会いの姿を望んでいるのかをしっかり意識していきます。

 

 

素敵な出会いの心がけ

 では、行きましょう。

 

 日々の暮らしで、出会う人数は職種によっても差があるでしょうが、銀座のクラブでは、毎晩、誰かと出会います。

 

 あまり名刺を配らない私でも、月に300枚くらい発注していましたから、そのくらいの出会いはあったのでしょう。

 

 

 そこで、私が初対面のお客さんに完無視をキメたらどうなるでしょうか。

 

 

 有り得ませんよね。

 

 

 「なんだ、コイツ」と、とりあえず無視されるか、それも長時間に及べばクレームで返ってくる。

 

 言うまでもなく、完無視は堀江貴文だからこそ。

 

 「やっぱりフツウじゃない」「ナゾだ」「流石だ」と、悩んだり落ち込んだり、たたえたりしてもらえるわけです。

 

 けれどホステスの中には、自分のことを超美人と勘違いして居るアホが意外といっぱいいる

 

 〈気に入らないおじさんとはあまり喋りたくないの、アタシ〉みたいな表情で明後日の方向を向いていたり、壁に貼られたスモーキーな鏡のなかに映る自分を見ている。

 

 

 お客さんより先に、私が「なんなの、アンタ!」と腹立たしくなるのは、「サービス業なのに失礼な態度をするな!」と言いたいのと同時に、人としてもったいないと思うからです。

 

 せっかく同じ空間に居合わせた時間ももったいないし、愛嬌出せば、可愛がってもらえるのに、「そんなんで良いの? 感じの悪い自分は素敵か? 好きなのか? 自分自身にもったいないことをしていることに気付かないのか? バカバカッ!」と悔しくなるのです。

 

 

 「そんな奴もいるのか」とまるで他人事のように思われるかも知れませんが、時と場合によって、誰もが無意識にしている可能性はあります。

 

 タクシーに乗った時、運転手さんにどんな態度をしています? 機嫌の悪そうな声で、行き先だけとか。

 

 これだって、出会いですよ。ちょっとコミュニケーションをとれば、ぐっと感じの良い空気が流れて、乗り心地が変わる。

 

 キャンディくれたり、メーターをかなり早めに止めてくれたりもします。

 

 宅急便やお掃除のおばさんに対しては、どう?

 

 後輩の社員に対してはどう?

 

 

 皆さん、どんな人とも、素敵に出会おうとしていますか?

 

 

ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果

 初対面で人は、まず「感じが良い人か、悪い人か」を分析していると私は思います。

 

 自分が受け入れられそうかどうかが気になるのです。

 

 傷つきたくないのでね。

 

 どうも、危なそうだと察したら、バリアを張ってそれ越しに見て、さらには関わらないことにする。

 

 先ほどの麻布十番の和食屋もそう。

 

 味は良いので、感じの悪い店主をバリア越しに見つつ、醤油が欲しい時に、関わらないことを私は選んだ

 

 

 初対面の印象を左右する心理学用語にポジティブ・ハロー効果というものがあります。

 

 「ハロー」はキリスト教では後輪、仏教では後光の意味で、最初にポジティブな光を放っておけば、プラスのイメージが持続されるというものです。

 

 

 逆パターンで、ネガティブ・ハロー効果というのも存在します。

 

 見た目や態度でネガティブな光を放ってしまうと、相手は本能的に自己防衛機能を働かせて、遠ざかろうとするのです。

 

 和食屋の店主はまさにこちらですね。

 

 

 しかし、有名人は、有名であるだけで、すでにハロー効果を持っているとされています。

 

 確かに、ホリエモンはホリエモンであるだけで、後光が射していました。

 

 態度はネガティブ・ハローだったけれど、「次、またご飯行く?」と誘われれば、私は行くでしょうし、実際に行きました。

 

 私のなかのホリエモンは、出会う前から、ポジティブ・ハローがかなり強かったのでしょう。

 

 見城社長は、本当に後光が見えていたように思えたけれど、彼は、それをさらに強く光らせる態度を見せました。

 

 

 印象の良し悪しは、置かれた立場でどんなふうに「ハロー」をしたかなのです。

 

 

 モテ楽日和ですから、実践するにあたっては、楽しく、ハロー=「こんにちは!」と考えた方がイメージしやすいと思います。

 

 「イイ感じにこんにちは」をすれば、結果的には光るのでね。

 

 

 美人でも有名人でもない私が、ネガティブなハローをしてしまったら、ほぼ終わると思いますが、それだけではいけません。

 

 「ありのままで、こうありたい」がないとね。

 

 ホリエモン完無視事件のショックの受け方からすると、私はポジティブなハローをされたい人であり、自分もそういうコミュニケーションを心地よいと思う人間です。

 

 

 ネガティブ・ハローで行くことにする、余計なイメージを与えないようにあくまでノーマルなハローを心がけるも、アリです。

 

 そこに、「自分の、ありのままで、こうありたいの姿」が見い出せるのであれば。

 

 ホリエモンは、その立場だけで、ポジティブハローが強いので、わざわざネガティブハローをしてバランスをとることを選んでいるのかもしれません。

 

 「そのへんのヤツとは喋らない! バカばっかりで疲れるから」

 

 とか言いそうですよね。

 

 

 さぁ、初対面で自分をどのように見せたいか、意識してください。

 

 ポジティブハローは、日本人の場合、意識的に行わないと伝わりにくいのです。

 

 家の外に出たら、スイッチをオン! と構えないと、自動的にネガティブハローになっていたりしますよ。

 

 感覚と、行動にはズレがありますのでね。

 

 初対面をイメージして、鏡の前に立って、自分と向き合い、挨拶したり、動いてみてください。

 

 これまで知らなかった、自分の与える印象に気づけます。

 

 

クビ寸前から売れっ子に転進した麻衣子ちゃん

 ところで、ポジティブハローは何をすれば良いの? となると思います。

 

 結論から言うと、「自分が素敵だなと思えることを積極的に取り入れて、やってみればいい」のです。

 

 「ちょっと違ったな」とか「上手くいったな」とか、相手の反応で、自分なりのポジティブハローが確立されていきます。

 

 

 やる気になったのなら、堅く考えずにいろいろ試してみる。

 

 

 ちなみに、夜の銀座ではいろんなポジティブハローが見られます。

 

 私の記憶に鮮明に残っているのは、入店したばかりのホステスの麻衣子ちゃん。

 

 なんと、おっぱいがJカップのダイナマイトボディ。

 

 また、それを強調するような、(リトルマーメイドの)アリエルみたいなドレスを着て、胸元は、乳首がやっとこさ隠れているといった具合。

 

 銀座ではエロすぎると引かれます。

 

 お客さんもオッパイ好きの男と思われたくないらしく、席に呼ぶ人がほぼいない。

 

 お店から、「あと1ヵ月この状況が続くようなら……」と、ほぼクビ宣告が出ていました。

 

 性格が真っ直ぐな麻衣子ちゃんは、

 

 

 「私はオッパイだけがチャームポイントだから、どうしても出していたんです。ありのままで、人気者になりたい!!!

 

 

 お酒が入ると、毎晩のように叫んでいた。

 

 けれど、彼女はやり遂げたのでした。

 

 

 ある日のこと。

 

 

 「れみさん、私、名字を変えることにしましたので、よろしくお願いします」

 

 

 そういうと、新しい名刺を差し出してきました。

 

 

 「え、私に?」

 

 

 ホステスに苗字なんてなくてもいいくらいなのに、なんなんだろ?

 

 と思いつつ、見てみると「大名麻衣子」と書いてある。

 

 

 「オオナマイコ?」

 

 「ダイナマイコです」

 

 

 ダイナマイトボディに掛けて……?

 

 

 「オモシロイ!」

 

 

 麻衣子はこの夜から、常にフルネームで呼ばれるようになりました。

 

 ホステスからも「名刺チョーダイ!」と、麻衣子は名刺まで大人気に。

 

 麻衣子がいない席でも、「ねぇねぇ見て、この名刺!」とみんなで眺めて盛り上がる。

 

 Jカップのオッパイからの卑猥ひわいなイメージが払拭ふっしょくされ、明るくおもしろく元気な麻衣子ちゃんは、引っ張りダコとなったのでした。