あとがき
『宇宙軍士官学校―前哨―』十二巻、いかがでしたでしょうか。宇宙軍士官学校の物語は、この十二巻をもって、完結しました。当初の見込みでは、「三冊くらい書かせてもらえればラッキーだな」と思って書き出したのですが。思ったよりも好評で、編集さんから、「もっと続けてもいいですよ」と言われ、欲を出して全十巻をめざして書いているうちに、情報量が雪だるま式に増えていき、とても十巻では収まらないことがわかり、あと二冊書かせてください、と頼みこんで、やっとエンドマークまでたどりつくことができました。
私は今までに、いくつものシリーズを書いてきましたが、過去において十巻を超えたものは角川スニーカー文庫の「でたまか」と電撃文庫の「ご主人様は山猫姫」の二つだけで、この「宇宙軍士官学校」は、久々の長期執筆になりました。私なりに考えた、日本風のミリタリーSFを、と思って書き出したこの物語は、この巻で一段落となります。
太陽系攻防戦を経て攻勢に転じた銀河文明評議会側が、粛清者が支配するほかの銀河系に送りこんだ戦闘能力を持った攻勢偵察部隊を指揮する有坂恵一の物語「宇宙軍士官学校―攻勢偵察部隊(仮題)―」は、現在構想を固めているところです。昆虫型や、爬虫類型、猫型、などの非人類型異星人が登場する、スペオペの王道を行く物語にしたいと考えております。刊行スケジュールなどは未定ですが、このシリーズは「前哨」篇と違い、一巻ごとに完結する形で書き進めるつもりでおります。それとは別に、この宇宙軍士官学校の本編では描き切れなかったエピソードをまとめた「外伝」を書くつもりでおりますので、刊行されましたらよろしくお願い致します。
今回の十二巻において、第七章と第八章については、広島在住のゲームデザイナー銅大氏のご協力をいただいております。月面や宇宙空間に浮かんだ長城でがんばる作業員たちの物語は、銅氏の脳内から出現した物語で、いわばこの宇宙軍士官学校の物語は、シェアードワールドのようなものだとお考えになっていただければよろしいかと思います。最後になりましたが、今回の表紙イラストは、太陽嵐の吹き荒れる中を最後まで維持された転移ゲートから飛び出してくる、人類側の切り札の勇姿です。表紙イラストを描いていただいた太田垣先生には、毎回締め切りギリギリまで原稿をお渡しできずに、ご迷惑をおかけしてばかりでした。この場をお借りして、心よりお礼とお詫びを申し上げます。
読者の皆様、十二巻にわたる長い物語にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。早川書房の皆様、特に担当編集の込山様と、毎回細切れの原稿しかお渡しできなかった校正係の方に心より感謝の言葉を述べて、あとがきを終わりたいと思います。
小説の冒頭の一文に、いつも悩んでいる 鷹見一幸