あとがき



 災禍です。

 皆様、見えない脅威に怯える日々を過ごしていらっしゃることと思います。

 私は怯えておりました。今も怯えております、明日も怯えているでしょう。

 怪談という死にまつわるものを扱っている日々ですが、ここまでそばに寄られたことはありません。この世に人々の恐れるものはたくさんありますが、命を振りまわされることほど厭なものはありません。

 多くを失った私たちですが、ここからまた生まれるものもあるはずです。

 この度、多くの怪談イベントが中止になったと聞きます。主催者、語り手、ファンの皆さま、さぞかし落胆されていることだろうとツイッターを開けば、とてつもない熱量の怪談愛を見ることができました。おとなしくやられる気なんてないって人たちばかりです。熱い議論もお見掛けいたします。もちろんケンカはいけませんが、好きなものに熱くなれる人たちがこんなにいて、救われる気持ちになりました。アマビエもいいではないですか。

 さて、私もそろそろまた怪談を集めなければなりません。

 書く側からもアプローチしていかなければ。

 私が今待ち望んでいるものは、ソーシャル・ディスタンス、リモート・ワーク、ロックダウン、なんとかマスク、そういったワードの入った怪談です(すでにあると思いますが)。



二〇二〇年 黒 史郎