戦争博物館の叫び
知人のジョンウさんから聞いた。
北朝鮮のS郡では過去に同民族同士の争いと虐殺があり、数万人の犠牲者が出たといわれている。その事件の記録を保存し、展示する目的で造られた博物館がある。
そこでは実際に使われた刑具、犠牲者の身につけていたずたぼろの衣服など、当時の惨状を生々しく伝える物が多数展示されており、そのためか、ここ発祥の怪談話も多い。
ジョンウさんの祖父は昔、この博物館へ見学しに行ったことがあった。その時に体験した、生涯忘れないであろう出来事をジョンウさんに語っている。それが次の話である。
学校の課外学習のようなものだったか。
男子と女子五人ずつの班を作って見学をした。
人が死に、殺され、殺したのだという歴史の証を見てまわった。いずれも目を背けたくなる展示だったが、目を背けてはいけない事実として記憶に焼きつけた。
男子たちが率先して進み、その後を女子たちがうつむきながらついていく。女子たちは心底つらそうではあったが、逃げ出さずに目と心にしっかりと刻んでいるようだった。
しかし、女子たちが泣きながら見学を拒んだ展示があった。
二つの倉庫である。
当時に使われていたとされるもので、二つ横並びに展示されていた。
ここには捕虜となった市民たちが入れられていたという。
一方の倉庫に大人、もう一方に子供と分けて入れられ、子供たちの倉庫からは親を呼ぶ声が、大人たちの倉庫からは我が子を呼ぶ悲痛な声が行き交っていた――と解説があった。
大人たちの倉庫だけ、中に入って見学することができる。
「いやだ、いきたくない」
一人の女子が耳をふさいで座り込んでしまった。倉庫の中からたくさんの声が聞こえるといって、泣きながらそこから動かなくなった。
それを聞いて他の女子たちも泣きながら行くのを拒んだ。
当時から博物館にまつわる怪談めいた噂はあり、その一つにこの倉庫の話があって、それがとにかく怖かった。女子たちがパニックになるのも無理もないということで、その場に彼女たちを残し、男子たちだけで倉庫の中を見学することにした。
倉庫の内側には、爪で掻き削った文字があちこちにある。
いずれも我が子へ向けた最後のメッセージだった。
「むごいな」
誰かが言った、その直後。
男子たちは全員、われ先にと倉庫を飛び出した。
ジョンウさんの祖父も、出口に殺到する学友たちと倉庫から転がり出た。
聞こえたのである。
子供たちの叫ぶ声が。
痛みをうったえ、熱さにもがき苦しみ、必死に救いを求めながらこの世を呪う、痛々しい地獄の叫びだった。
倉庫の外で待っていた女子たちもパニックになっている。
顔面蒼白で腰を抜かし、失禁している者もいた。
いったい、何が起きていたのか。
発端は、声が聞こえると言っていた女子だった。
彼女が突然、異様な声で叫び出したのである。
その声は彼女の声ではなく、死んでいく子供たちの声、断末魔だった。
男子たちが聞いたのは、彼女が発した声だったのである。
博物館の解説によると、子供の倉庫から先に火をつけられ、「熱い、熱い」と苦しむ我が子の焼け