オキテ



 おきて、ねえ、おきてよ。

 四歳の息子が身体を揺すってくる。

「わかった、わかった」と返すと、息子はいつものように久茂さんをまたいでカーテンを開けに行く。シャッと、カーテンを開ける音がする。

 ずいぶん暗いなと頭を起こし、置時計のデジタル数字に目をこらすとまだ四時前である。

 勘弁しろよと窓際にいる息子に向くが、暗くて息子が見えない。

 当然だろう。カーテンを開けても朝日など入ってこないのだから。

「どうした? こんなに早く」

「パパを起こして来いって」

 息子の声が答える。

「だれが?」

「ママが」

「ママは死んじゃっただろ?」

「うん」

「夢を見たんだな」

「ううん」と否定する。ママはいるという。

 じゃあ、どこにいるんだと聞きかけて、やめた。

 息子がカーテンを開けた意味を考えたからだ。

「それは本当にママだったか?」

「わかんない」

 息子の言葉にゾッとした。窓の向こうを見ることができない。

 さむい、と息子が言うので、こっちへ来なさいと布団を開いた。

 息子が布団の中にすべりこんでくる。

 絡んでくる足が異様に冷たかったという。