今回、湧田束作品集『もはやこれまで』の電子書籍化を迎えることが出来ました。

 SF、ハードボイルド、文芸、恋愛、ドタバタアクションから妹小説まで、バラエティに富んだラインナップを収録し、僕が長らくインターネットで書いてきたものの中でも、メタファーやギミックなどのけれん味の強い作品群となりました。

 タイトル作『もはやこれまで ノーカット版』は、ウェブで特に多くの反響を頂いた同名作品のカットシーンを復元したもので、発表するのは今回が初めてとなります。疾風の如く物語を駆け抜ける一人の女子高生の活躍をお楽しみいただけたでしょうか。

 一人の作家を主人公とした『極東ノベル』は、ハードボイルドタッチの作品です。乾いて淀んだ空気が立ち込める世界観と、実験的な文体を試しました。

 SF小説『塔』は、中編作品をブラッシュアップして密度の濃い超短編作品としてリライトしたものです。何百年にもわたって巨大な塔を上り続ける女の物語です。

 文芸小説として書いた『ウツボカズラ』も、同じく中編作品の濃縮版となります。ウツボカズラというモチーフを元に、若々しい男女の恋愛模様を描きました。

 中編小説『ヒスイノセカイ』は、主人公とその妹が過ごした滅亡までの三日間を描いた作品です。序盤の妹小説のテイストから徐々に明かされていく真実、そして迎える世界の終焉に向けての余韻を感じて頂ければ幸いです。

 『塔』や『ウツボカズラ』はシリーズの一部なので、他の作品もいつかまたこうした書籍の形にできる機会があればと願っています。

 これからも、ウェブという新たな創作の場で、既存の小説とは異なる熱量をもった小説を発表していきたいと思っています。

 今回電子書籍発行に際しご尽力頂いた株式会社インプレスホールディングス永山さんと株式会社アミューズメントメディア総合学院桜庭さんに感謝致します。

 そして最後までお付き合い頂いた読者の皆様、ありがとうございました。


二〇一四年一二月

湧田 束