「こういう趣味ってハズレとは縁が切れないだろ」

 ゼルはそう切り出すと、エールをあおって木のジョッキをテーブルにたたきつけた。

 客でにぎわう食酒亭の真ん中で、スタンクも大きくうなずく。

「ハズレも含めてサキュバス店だからな。潰れろクソがッて気分になるのもだいだ。いや二度目はないし金は返してほしくなるけど」

「最近はうつぷんをレビューって形で昇華できるからいい。だがレビューをはじめる以前のハズレは、頭の隅にやたらとこびりついてるというか……」

 エルフという種族は寿命がおそろしく長い。ただ長命であるばかりか、見た目は青年期の若々しさが保たれる。死の瞬間まで老けることはない。

 だが、いくら若く見えようとも、長い時を生きていれば人生経験も増えるもの。

 ハズレを踏んだ回数はスタンクの比ではなかろう。

「さっきふと思い出したんだが……」

 遠い目の先にあるのは、人間には計り知れない時の流れか。

「初心者のころ興味本位でキャクトゥルシアの店に入ったことがあってな」

「キャク……なんだって?」

 スタンクは聞き覚えのない名前にまゆをひそめた。

「エルフ語でサボテン系の植物人のことだ」

「もうオチが読めた気がするぞ」

「さすがに俺だって無防備に抱きついたりはしてないからな。全身ガチガチに硬度をあげる魔法を付与して対戦したんだが……」

 ぶるり、とゼルはおぞましげに身震いする。

「刺さらなかったけど、刺さった」

「どういうことだよ」

「その、要するにだ。入ったというか。つまるところ……………………尿道に」

「やめろ、わかった。もう聞きたくない」

 絶対に共有したくないおもい出だった。

「本当にわかるのか? 魔法が解けた瞬間に内側から貫かれるであろうせんりつ。さいわいにも硬度バフで逸物の内側までガチガチだったから、半泣きでシコッて絶頂とともにトゲを射出した。……恐怖でオナニーするなんて後にも先にもあのときだけだったよ、はは」

 痛みを想像して股間を押さえる者が続出した。

「でもまあ、そこそこの店よりハズレのほうが記憶には残るよね」

 カンチャルがとなりのテーブルから話に加わってきた。

 椅子に座ると床に足がつかない短身ながら、彼も立派な成人男性。エルフほどの寿命はないが、見た目はずっと若々しい。そんなハーフリングが大人の悲哀をにじませ苦笑する。

「一度、ベヒーモスの嬢にお相手してもらったんだけど」

「お、それはレアだな」

 ベヒーモス娘は獣人のなかでもとりわけ巨大な種だ。小柄な者でも5mはあり、個体によっては山脈サイズという真偽不明のうわさ話もある。

「そのデカくて余裕ぶった顔、ボクのテクで無様なアヘ顔に変えてやるよ……なんてワクワクしてたのも最初だけでね。もう、すッッッッッッッッッッッごく、無反応。マグロ。乳首に全身でしがみついてねじあげる必殺カンチャルツイスターも駄目。アソコのなかに全身で突入してダンサブルに動きまわる必殺ブレイクカンチャルも通用しなくて……」

 く、と彼は悔しげに歯がみをした。

「時間がきて帰り支度をはじめるころ、ようやくアハーンって。遅いよ!」

「あー、デカいから快感がまわるまで時間がかかるのか」

「しかも髪と耳に愛液が染みこんだみたいで、一〇日はにおいが取れなかったよ」

 その後日談に「うぷっ」と吐き気を催すのは、おなじく隣卓の毛むくじゃら。

 筋骨たくましい犬獣人、ブルーズ。

 口吻マズルつきの犬顔を見ればわかるとおり、きゆうかくがとても鋭い。

「いまでこそワシも嬢の匂いには警戒しているが、初心者のころは店のほうが気を遣って当然だと思っていた。だからクズリ娘専門店に行ったときは死ぬかと」

「なんでよりにもよってクズリなんだよ。イタチ系だろ、アイツら」

「いや、だから初心者だったんだよ。まさかあのくっさいせんえきをぶちまけてくるドM向けの店があるなんて思いもよらず……」

 ブルーズは鼻をぐずぐずと鳴らした。すっかりトラウマになっているらしい。

 イタチ系の獣人は悪臭の体液を放つことと、小柄さと裏腹の気の強さで知られる。とくに大型種のクズリやラーテルは凶暴さに定評がある。通常のSM店なら超ハードコースの女王様しか務まらず、客に「どんな負傷を負っても責任は一切問わない」という誓約書を書かせるとか。

「ま、予備知識がないと凶暴な種なんてわからないからな」

 スタンクの背後のテーブルから新手のオスが参入した。

 ラミアのナルガミ。下半身が蛇の尾で、とぐろを巻けば椅子いらず。

「レッドキャップってわかるか? 見た目はハーフリングよりちょっと大きい程度の種族で、なにかあっても尻尾しつぽで巻きあげればどうにでもなる……と思ってたんだけどなぁ」

 まぶたを半閉じでちよう的に笑う。

「……トラウマでなんも思い出したくないわ」

 レッドキャップ。

 エルフやハーフリングに近いようせい種で、その性質は端的に言い表される。

 ──血の赤を好む。

 人間が見下ろす程度の小柄さでおのやナイフをたくみに扱い、命を切り裂く。獲物は獣よりも知性種がいい。対話のための言葉が失われるほど悲鳴をあげさせるのが楽しい。

 そう、娯楽である。生きるために凶暴さを振るうクズリとはまた話が違う。

「そもそもレッドキャップってサキュ嬢やるような種族だったっけ」

 スタンクも話に聞いただけで会ったことはない。会えば股間の剣でなく本物の剣で立ち向かうべき相手だと思っていたのだが。

「一部のレッドキャップは凶暴さを性行為で発散できるらしい」

「さっきの話だとやっぱり凶暴って流れじゃなかったか?」

「交尾で男を徹底的に打ち負かして発散するんだよ……」

 ナルガミは深くうなだれた。

「散々なぶられた挙げ句、俺はヘビじゃなくて犬ですって言わされた……ちくしょう……」

「待ってくれ、なんで犬がべつしようみたいになっとるんだ」

み跡と青あざが体中にできて、痛みが引くまで毎晩悪夢を見たよ……」

 犬獣人代表ブルーズの異議申し立ては軽く流された。

 ふむん、と興味深そうに声をあげるのは、ナルガミの向かいに座る青肌双角の青年。

 魔界の住人、悪魔サムターン。

「ハズレハズレとみなは言うが、単に店の見極めが甘いというだけではないのか? 事前に調べあげておけば、どういう店でどんな嬢がいるかはわかることだろう」

「つっても、たまに悪質な店もあるからなぁ」

「だからこそ店の提供する情報に不審な点がないか目を皿にして調べるのだ。もし明確な虚偽があれば役所に報告するし慰謝料も請求する。それで済む話だ」

「悪魔がまっとうな正論を口にするとメチャクチャうさん臭いんだが」

「悪魔ほど律儀な種族はないと言っておく」

 サムターンは至極当然とばかりに真顔だった。

「しかしうそは言ってなくても詐欺じみた店ってのもあるぞ」

 スタンクは過去の体験に思いをせた。

 まだ目がキラキラしていた若き日の想い出である。

「ハメ撮りフリーって売り文句に釣られて入った店なんだが……」

 受付で手の平サイズの「カメラ」なる器具を渡された。動画撮影用の水晶を組みこんだ木製品で、ボタンを押せば録画が開始する。動画を保存した水晶はややお高めだが、ちょうど高難度の依頼を済ませたばかりで懐に余裕もあった。

「そこにアシュラの嬢がいてな、迷わず選んだ」

「え、アシュラ? このあたりじゃ相当レアだぞ。どこの店だよ、今度教えてくれ」

 ゼルが結構な勢いで食いついてきた。

 アシュラは東方に生息する種族で、多面多の屈強な戦士として知られる。

 ストイックな荒武者でありながら独特の魔法を操る者もいて、時に哲学者にもなるという。

「顔と手の数は個体によって違うって話だが、俺のお相手は三面六手の嬢でな」

「ああ、顔の数は魔力の強さに直結するって話だな。どこの店だ?」

「店のことはあとで教える。アシュラってのは顔ごとに感情が偏るらしくて、俺が相手してもらった子は笑い、冷血、アヘ顔の三種類で──」

「表情筋によってじゆもん詠唱に差が出るかもな。いや、気息の違いか?」

「どんだけ食いつくんだよおまえ」

 未知の種族とのHにはスタンクも燃えるが、ゼルは生態や魔力の質にも興味を持つタイプだ。

 こほん、とせきばらいでゼルをけんせいする。

「さあ、いざ本番のハメ撮りタイムだ。アシュラ嬢は二手で俺の顔をで、べつの二手で俺の乳首としりをさすり、そして──最後の二手でカメラを向けてきて」

 スタンクは笑顔でカメラを構えるジェスチャーをした。

「ハイお客さんWピースどーぞー! ってオマエが撮るのかよ!」

 どっと場が沸いた。

 ゼルだけは得心顔でうむうむとうなずく。

「なるほど、六本腕の有効活用だな」

「三面も有効活用しろよ! なんのためにアヘ顔ついてんだよ!」

「で、したのかスタンク、Wピースを」

「したよ、勢いで! 引きつった笑みとWピースがムービーにしっかり残ってるよ!」

 当時はまだ若かった。そういう店だと思って流されてしまった。

 いまならカメラを奪ってアヘ顔六手シツクスピースをさせていただろうに。

 若き日の過ちはほろ苦くも、ほんのすこし心地よい。純粋だったころの自分を懐かしむほど年を取っているとは認めたくないけれど──まわりも共感するようにおなじ目をしていた。

「みんなこうして大きくなっていく……おまえもいずれこうなるんだ、クリム」

「なんでボクに飛び火するんですか!」

 通りかかった給仕天使は心外そうに声を張りあげた。

 気になって聞き耳を立てていたくせに。

 アヘ顔のくだりでちょっと噴き出していたくせに。

「まあハズレなんてねらってつかむもんじゃない。数をこなしてたら自然と踏んでるもんだ。そうして男は本物を見極める目を持つんだ」

「いまでもときどき変なお店に入って後悔してるじゃないですか……」

「世界はそれだけ広いってことだ。それでも鉄板のアタリ店っていうのはあるしな」

 たとえばエルフ専門店。なにせ見た目が若々しく顔面偏差値も高い。スタイルもいい。デブ専ブス専でなければ外しようがない。

 ……というのは人間にとっての話。

 同種のエルフからすればマナの流れで実年齢がわかるらしい。なまじ数の多い人間にウケるので、ゼルの母親より年長の高齢サキュバス嬢も珍しくない。地獄である。

「それじゃ、今日は鉄板の店でも行ってみようか」

 カンチャルが小さな体で椅子から飛び降りた。

「いい店に心当たりでもあるのか?」

「最近この近くにウサギ獣人のお店がオープンしたんだって」

「バニーちゃんか。たしかに可愛かわいくてエロに積極的でいいっちゃいいんだが……」

「あいつら気持ちよくなることしか考えてないから、情緒とか風情に欠けるんだよなぁ」

 スタンクとゼルはすこししゆんじゆんした。

 が、ちらりとクリムを見て考えなおす。

「ウサギさん……長い耳……」

 ほおを赤らめ、細い脚をもじもじさせている。まるで乙女の照れるがごとし。

 実際にはかんの大剣がうずいているのだろうが。

「よし、なら行くか、クリム!」

「若いうちに良いもん食っといたほうがいいからな!」

「え、あの、ボクまだ仕事が……」

「メイドリーがいるから大丈夫でしょ。急げ急げー!」

 スタンク、ゼル、カンチャルは三人がかりでクリムをし、食酒亭を飛び出した。

 思いったが吉日である。


 店の看板には可愛らしいウサギが大量に描かれていた。

《ウサギちゃんとなかよくあそぼう──みんなでぴょんぴょん》

 店名は最後の《みんなでぴょんぴょん》だろう。

 入店してみれば、なるほど長い耳がぴょんぴょん跳ねていた。

 客がきたのに気づくと、一斉に群がってくる。

「わあ、お客さんだー!」

「四人もお客さんきちゃった!」

「えへへ、あそぼあそぼ?」

「気持ちいいことしよっ、たくさんしよっ」

 受付に通るまえからゼロ距離でもみくちゃにされた。

 長い耳と短い尻尾のウサギ娘たち。

 ただしその耳の先は、総じてスタンクのあごより低い場所にある。

「おい、なんかちっちゃいぞ……」

「ドワーフラビット専門店かよ……」

「あー、下調べ足りなかったなぁ。サムターンの言うとおりだったね……」

 ドワーフラビットはアナウサギ獣人の亜種である。その名のとおり矮小ドワーフたいが特徴で、外見からは成人と未成年の区別もつかない。もちろんサキュバス店の従業員は成人女性に限られる。さすがに子どもにやらせていい仕事ではない。

 してみると、無邪気な態度でじゃれついてくるのも演技だろうか。サービスと言ってもいい。わざわざドラーフラビット店に来るのは大半がそういう趣味の、アレだろうから。

「かわいいけど……なんだか想像してたのとちょっと違うかも……」

 クリムも心なしか落胆気味だ。お色気たっぷりのバニーガールでも想像していたのか。

 暗い顔の美少年にちいちゃなウサギたちが押し寄せる。

「わ、うわっ、な、なんですか!」

「元気ない? 元気出ることする? きもちよーくぴょんぴょんする?」

「あのねー、当店ではねー、多彩なこすちゅーむを使ってー」

「えきさいてぃんぐなぴょんぴょん体験をたのしめるんでーす」

「いえーい! ぴょんぴょんハメハメー!」

 あまりにも直接的なアピールに、奥手なクリムは閉口していた。

「どしたの? したくないの?」

「したくないわけないよね。男の子だもんね。ヤリたい盛りだもんねっ」

「じゃあヤろ! ぴょんぴょんパコパコぴゅっぴゅしよ!」

「はやくーはやくー、お部屋でぴょんぴょんーっ」

 群がる小ウサギたちは男たちのまたに視線を注ぎ、ハァハァと息を乱していた。

「さすがアナウサギ獣人……小さく見えても年中発情期か」

 想定していたエロバニーではないが、これはこれで、とスタンクは考えなおした。

(どうせなら全力で満喫しよう)

 サキュバス店は多種多様であり、売りも店ごとに違ってくる。自分の趣味に重きを置きすぎるよりも、店の特色をありのまま味わったほうがいい。それがサキュバス嬢への敬意であり、サキュバス店をたのしむコツだ。

 甘く色づく吐息に囲まれながら、スタンクは冷静な目で「彼女」を見つけ出した。

「俺はその子とぴょんぴょんしよう」

「即断かよスタンク」

「早いもん勝ちってやつだ」

 スタンクはぎちぎちの密集ウサギからひとりを選び、わきに手を差しこんで持ちあげた。

「やったー! お客さんお目がたかーい!」

 桃色髪のくるくるヘアーが愛らしく、喜ぶ声も見た目相応に無邪気。背丈のわりには少々重たいが、剣士として鍛えた腕力で持ちこたえる。

 仲間たちの息をむ声が聞こえた。

「あのね、チミナちゃんはね、おっぱいがこのお店でいっちばん大きいのです!」

 彼女の頭より確実に大きなふたつの乳房。

 群れのなかで埋没していたものが、いまは元気よく跳ねている。

 長身のスタンクだからこそ、より高い場所から見つけ出すことのできたお宝だ。

(ロリ系もたまにはいいけど、今日はデカい系の気分だったからな)

 いくら良いものであろうと、期待と真逆では股間の剣が惑ってしまう。

 そこで折衷、ロリ巨乳。

 上機嫌でチミナをお姫さまだっこにした。

「わぁ、おひめさまだっこ……! えへへ、チミナおひめさまっ」

「じゃ、お姫さまっぽいコスチュームでぴょんぴょんするか」

「するするー! わらわは即ハメOKぞよ!」

「お姫さまそういうこと言わなくない?」

 スタンクはプレイルームへ足を運んだ。


 サキュバス嬢は国に権利を認められたまっとうな職業である。

 男に快楽を与え、代価として金銭と精をちようだいする。

 精はサキュバスが生きるためにひつの栄養素だ。それを否定すれば生きる権利すら否定することになる。かと言って、無制限に交歓を許しては風紀が乱れてしまう。サキュバス店という形式を国が許可したのは管理のしやすさも考えてのことだろう。

 ただ、そこには大人の事情というものがあって。

 厳密に言えば、サキュバス店の従業員はおおむね純正のサキュバスではない。

 たいていの知性種は家系図をたどればサキュバスのひとりやふたりは混ざる。だから何割かはサキュバスの血をひいてますよ、という建前で性の娯楽を提供するのだ。

 しかし、である。

 年中発情期のアナウサギ獣人は純正サキュバスと大差ないいんせいを発揮する。

 チミナが小尻を突き出し、つま先でぴょんぴょこ跳ねるのも致し方ないことである。

「着替えました! ぴょんぴょんハメハメしちゃおー!」

「俺もエロには素直なほうだけど、キミらちょっと直接的すぎない?」

「えー、だってえろえろ好きだしー。気持ちいーこといっぱいしたいしー。ねー、ハメて? パコッて? そのためのお店なんだからぁ、はやくはやくー、ねーねー」

「とりあえずコスチュームをかしてくれ、頼む」

 店の売りが衣装選びとイメージプレイなら、そこはおろそかにしたくない。特色を味わう気がなければわざわざ異種族のサキュバス店に来たりはしない。

 ただ、言葉は悪いがしよせんはサキュバス店。お姫さま用とされていたドレスは生地が安っぽく、あちこちほつれていた。どこの貧乏貴族か。

 そこで発想の転換。

 複数の衣装を組みあわせ、貴族の外出用軽装という趣を出してみた。

 フリルをあしらった白ブラウスにコルセットスカート、ショートブーツ。いかにも動きやすく、上品な仕立てに見えなくもない。スカートの短さはごあいきよう。さらにコルセットスカートは腰を絞って乳房を押し出す効果がある。彼女のほうらつなバストにぴったりのちだ。

「えーと、お姫さまらしく、お姫さまらしく……」

 チミナは頭に両手の人差し指を当て、長耳をぴょこぴょこ動かした。熟考の構えか。

 ん! とうなずき、柔胸を弾ませる。

「これ、そこの男、わらわとセックスしろでおじゃる?」

「無理に凝りすぎなくていいから。一人称わたくし、語尾はですます口調ぐらいで」

「わたくしおちんぽ大好きです! パコパコしたいです!」

「よーし、いい調子だ。口調はそれでいいってことにするから、今度はシチュを考えていこう。だいじょうぶ、キミはできる子だ」

 チミナに演技力がないのはよくわかった。ならば状況設定を整えることで自然とそれっぽい雰囲気を醸し出したい。

 できれば最低限の慎みがほしいのだ。高貴なお姫さまにこんなお下品なおっぱいがついてるなんてなグヘヘ、という下克上愚民プレイがしてみたい。

「まずは部屋の端から胸を張って歩いてきて、俺のまえで立ち止まって……」

「うん、うんうん……わかるわかる、チミナちゃんわかっちゃう」

 話の最中、股間をガン見してくるのはもう仕方ないとして。

 一通り説明を終えると、ふたりはプレイルームの端と端に分かれた。

 チミナが背筋を伸ばして歩いてくる。

 だぷんっ、だぷんっ、と双子玉が元気に躍る。

(すさまじいサイズだな……人間の大人につけても目立つサイズじゃないか?)

 見たところ胸以外は背丈相応に可愛らしい体型をしている。腰つきには起伏がなく、脚の肉づきも人間の成人女性とは比べものにならない薄さだ。

 いまにも揺れ乳に重心を持っていかれそうなのに、姿勢がブレることはない。

 体幹が見た目以上に強いのだろう。交尾向きの強さだ。

「ちょっと、そこの平民くん」

 立ち止まると、勢いあまった乳房が彼女の口元まで跳ねる。すげぇ、と心で感嘆した。

 めいっぱい体を反らして見あげてくる。ぐぐっと胸が持ちあがる。すげぇ。

 スタンクは見下ろしながらも圧倒される心持ちでをした。

「へい、なんでしょう、おきれいなお姫さま」

「あ、チミナきれい? えへへ、かわいいじゃなくてキレイって言われるのひさしぶり」

「演技忘れないで」

「こほんっ」

 チミナはせきばらいでなく口でそう言って、演技を再開した。

「そこの平民くん、道案内をなさい」

「へい、お姫さま。ケチな冒険者のあっしに任せてくだせぇ、ぐへへへへ」

 下心しかないゲス野郎になりきる。それって普段の俺じゃねーのと思わなくもない。

「ありがとうございます。では、どこかセッ……休憩できる場所で、パコパ……ゆっくりくつろいで、ハメ……すこしお遊戯でもしてみたいでックス」

「……へい、お任せくださいお姫さま」

 細かいミスはスルーすることに決めた。キリがない。

「ではお姫さまのご負担を減らすため、すこしばかり失礼をば、ぐへへ」

 スタンクは彼女の横に並び、腋に手を差しこんだ。指先が横乳に深く沈む。むちむち感が指の皮膚から肉に浸透する。脳が震える。嗚呼ああ、デカパイ万歳。

「こうやって支えて歩くから人混みでも安心でさぁ、お姫さま」

「ん、ナイスな手つきですね。とってもおスケベで、おじょうず! おほほほほ!」

「……げへへ」

 ツッコミを入れるよりも笑って流す。

 目的地はすぐ目の前にある。ベッドだ。

「とーちゃくです!」

「おやおや、こちらすこし汚れているご様子。あっしが敷物になりましょう」

 スタンクはベッドの縁に座り、自身の太ももをたたいて姫君を招く。

 ぽすん、とチミナはスタンクのひざに座った。

「うん、いい座り心地です。おしりに硬くて熱いものが当たって、ふぅ、ふぅ、えへへ、ほんとかったい……おっきいしあついし、あー、やっべ、ウキウキのドキドキです、じゅるり」

 息を乱してヨダレをすするウサ耳プリンセス。わざわざ事前に香水で上品なにおいをまとっておきながら、性根のスケベさを隠しきれない。

 そういう生態の種族である以上は致し方ないことであるとはいえ──

(いや、深く考えるな。軽いノリでバカになりきるんだ)

 スタンクはズボンのひもをほどいた。ぐへへ、とまた下卑る。

「こちら特製のマッサージ棒でして、ほうら、グリグリしちゃいますよぅ」

 右尻と左尻を交互に持ちあげるようにして腰をよじった。

 ウサギ娘は小さな体を大げさに揺らして歓声をあげる。

「わっ、あははっ、揺れてる揺れてるっ、たのしーです!」

「そうっすねぇ、揺れてるっすねぇ」

 ゆっさゆっさと振り子運動をする柔乳は、背後から見下ろしてもいちもくりようぜん。頭にまわるはずの栄養すべて頂戴しました、と言わんばかりの肉量である。なまじチミナ本体がちみっこいので、なおのこと相対的に大きく見えた。

「プリンセスは実にご立派なお胸を持っておられる」

「よく言われるー。男のひとみーんなチミナのおっぱいじーって見るんだよね、ですわ。もう困っちゃいますわ、いやんいやん」

 チミナはほおに手を当ててうれしげに身をくねらせる。小尻をスタンクの股に擦りつける動きだった。節操なく膨らんだ肉剣に、ズボン越しの圧迫と摩擦が襲いかかる。心地よい。

 だがいまは股の刃よりも、手指がうずいて仕方がない。

「あまり動くと落ちてしまいますよ、お姫さま。支えてさしあげましょう」

「よっしゃ、待っとったでぇ……ですことよ!」

「お姫さまは愉快な言葉遣いをするお方ですな!」

 たまに突っこまないとやっぱり苦しい。よくも苦しめやがって、とスタンクは激情を込めて両手を彼女の腋に差しこむ。ねらいはもちろん元気にぴょんぴょんする双子玉。

 握りしめた。

「んきゅッ!」

 チミナはもとから狭い肩をさらに縮めた。

 腕のあいだで押し出された胸乳は、超重量級の負荷でスタンクの手に反撃する。ずっしり重たい。重さのぶんだけ指が沈む。突き刺さるように埋もれていく。

 しかしスタンクの指は屈しない。重みに負けて飲まれるほど軟弱ではないのだ。

「せっかくだから、こちらもマッサージしましょう」

 指にのしかかる重みをたくみにらす。

 ぷるんっと肉乳が転倒するように弾んだ。

 すかさずスタンクはブラウス越しの丸み全体を手の平ででた。

「ひゃっ、あぁ、あはっ、くすぐったいですよぉ」

「まずは全体をなでなでして血の巡りをよくしていくんです。いえ、けっしてやましいことはありません。これはただのマッサージですから」

 さすりまわす。上から下まで、右から左まで。加える圧力は羽毛ほど。

 男が愉しむ以上に女をよろこばせる触り方だった。

 最初はくすぐったそうに笑っていたチミナも、すぐにこうこつとした声をあげる。

「はぁ……んっ、ふぅ、あふぅ、あぁ……」

 性感神経は皮膚下の浅い部分を通る。触れるか触れないかの刺激で火照らせれば、感度も自然とあがっていく。上々に仕上がってきたところで、

「よっと」

 下乳を手の平でぐっとすくいあげた。

 重みがずしりと腕にのしかかる。やはりすさまじく重たい。全体をさするのは乳房のサイズを確認する意味もあったが、大きさに見合った重量である。

 だがその重みに強烈なダメージを受けたのは、スタンク以上にチミナ自身だった。

「はぁあッ……おっぱい鳥肌立っちゃう、です……!」

 小柄な総身が震えている。ウサ耳までヒクヒクしていた。

 たかぶった性感が皮膚下から肉全体に広がった証左だ。

 胸の先端には露骨な弱点が浮きあがっていた。

「おおっとぉ? このぽっちりしたのはなにかなぁ?」

 かすかに透けて見える桃色を、指の腹でクリクリといじる。

「んっ、乳首です、あんッ」

「おーおー、どんどん膨らんでくな。こりゃいじめがあるわ」

「やっ、やんっ、イジメとかそういうの、やッ。可愛がってくださいっ、ぷー!」

 チミナはぷくっと頬を膨らませた。子どもっぽい表情が天然なのか演技なのかはわからないが、いとけない顔立ちにはぴったりだ。

(この場合はいじめるのも可愛がるのも大差ないんだけど)

 説明しても興ががれる。合わせておくことにした。

「わかりましたよ、お姫さま。デカパイをカワイイカワイイして差しあげましょう」

「えへへぇ、可愛がってもらうの好きー」

 ご要望のとおり、乳首を優しくつまんだ。

 服の裏地を押しつけるようにさする。

 みるみる充血して、これで可愛いはないんじゃないのぉ? というぐらい膨らむ。

「はあぁん……おっぱいジンジンしちゃうですぅ……!

 性と無縁に見える童顔が快楽にほうけていく。こういったギャップは燃えるものだ。せいな顔やら高慢な顔やら戦士の顔がとろける瞬間の「俺がこいつをメスにしてやった」という充実感は男の誉れと言ってもいい。

 スタンクもまた熱に浮かされていく。

 乳首をつまんだまま、すこし乱暴に揉みしだいて肉の大地をかくはんした。

「あっ、あぁ……! 平民さんっ、指、すっごぉい……! ゴリラみたい……!」

「オーガ女にもベッドで力負けしないよう鍛えあげた十指ですよ、お姫さま」

 スタンクは小指だけでも指立て伏せができる。器用さで言えばハーフリングのカンチャルに劣るが、そのぶんパワーには自信があった。

 ブラウスがしわになるほど力強く揉んだ。同時に乳首をすこしキツめに締めあげたり、放して手の平で雑に擦りこねたり、指の腹でノックしたり。

 ぎゅぎゅっと、とびきり強くねじあげた。

「んんんんッ……! んーッ! んぁあーッ……!

 膝のうえの小さなお尻が激しく震える。全身全霊でもだえている。

 一本取ったということだ。

「どうです、お姫さま。平民のおっぱいマッサージは」

「さ、最高でしたぁ……えへへぇ、最後のぎゅーってやつ、好きぃ……ありがとね」

 感謝の気持ちは小尻の擦りつけで返ってきた。

 ズボン越しの刺激に、く、とスタンクは愉悦の声を押し殺す。

「おやおやあ? 平民さん、かわいい声を出すんですね?」

 前のめりの姿勢から振り向いたとき、ウサギ娘はひどくいんな流し目をしていた。

「どうしたんですか? 平民さん、はぁはぁしてますよ?」

 腰のくねりが前後動に変わると、スタンクのズボンがずり降ろされていく。

 おそらく小さな彼女を膝に乗せる客は多いのだろう。だからサービスとして、手を使わずに尻だけで相手を脱がせる技術を身につけた、と。

 いくら幼く見えても、やはりチミナはプロのサキュバス嬢なのだ。

(まあ、そうくると思ってズボンの紐ほどいたんだけど)

 スタンクとてもうけの大半をサキュバス店にぎこむ遊び人。相手のぐさから出来る出来ないをいだす目は持ちあわせている。

 びょいんっ。

 ズボンから肉剣がきつりつし、ウサギ娘の脚の間に顔を出した。

「うぴゃッ……! すっげぇゴッツいの出てきたぁ……!

「これが特製マッサージ棒でございやす。いかがですか、お姫さま」

「うん、すっげぇです……じゅるっ、ごくんっ。めちゃくちゃウマそう……食いてぇ……」

「はいどうどう、お姫さま落ち着いて」

 スタンクは自重を促しながらも、彼女の胸をしつこく揉んだ。

「んっ、あぁ、すぐにでも入れたいけどぉ……平民さん、おっぱいいじり上手だからぁ……チミナもおっぱい上手なとこ見せてあげるね」

 チミナはスタンクの膝から飛び降りた。

 くるりと振り向く。たゆんと胸が揺れる。向きあうとやはりデカい。

「平民さんも立って、立って」

 言われるまま立ちあがると、彼女の意図がすぐに理解できた。

 人間基準で長身のスタンクと、ごく小柄なチミナ。

 立ったままたいすると、前者の腰と後者の胸がおなじ高さなのだ。

「えへへぇ……お姫さまからえらい平民さんにご褒美でーす」

 チミナはブラウスの胸ボタンをふたつ外した。

 むりゅ、と肉乳がすきから盛りあがって谷間があらわになる。

「えーいッ」

 半歩、彼女が踏み出す動きを、スタンクは見極めながらも看過した。

 肉剣の切っ先が谷間にぶつかる。鈴口から漏れたせんえきと、乳膚の帯びた汗が潤滑油になり、

 ぶりゅッ!

 期待どおりの肉圧にスタンクの敏感部分が飲みこまれていく。

(く、悔しいがこのオッパイ、思った以上に強いぞ……!)

 ブラウスの内側に乳房がみっちり詰まっていて、万遍なく肉剣をみこんでくる。彼女の呼吸にあわせて微震するのも痛烈な責め苦だった。快楽のしびれが腰にまで広がる。油断すれば一瞬で決壊してしまいそうだ。

「えへへぇ、たのしーね。平民さんもたのしんでる?」

 チミナは手首で双乳を左右から押しつぶした。圧迫感がスタンクを締めつける。

「ぐ、たのしい……!」

「立ったままおっぱいで挟んであげると人間さんって悦んでくれるんですよねー」

「た、たしかにこの身長差パイズリははじめてかもしれない……!」

「まだまだだよー、ここからが本番……ぴょんッ」

 チミナが跳ねる。オッパイが天地をく。

 カカトをあげ、すぐに降ろす──ごくわずかな挙動がそれほどの揺れを呼んだのだ。

「まだまだいきますよぉ……ぴょんぴょんッ!」

「ほおぅッ! ね、根元まで持っていかれそうだ……!」

「ぴょんぴょんぴょんぴょんッ!」

「おへッ、ぬはッ、んほぉッ」

 チミナのパイズリは躍動範囲が並外れていた。

 考えてみれば当然だ。尋常のパイズリであれば使えるのは腰から上。だが立っていれば下半身をすべて使える。カカトとひざの動きが加わるだけで想像を絶する効果があった。

 それらの効果を余すところなく反映する容量が、チミナの爆乳には備わっている。ブラウスの締めつけがあるから手で支える必要もない。弾むがままの大暴れだ。

「お、おそるべし、ぴょんぴょんパイズリ……!」

「まだまだだよぉ、ほーら横ぴょんぴょん!」

「ぐへッ、気持ちいいッ」

「えいえいッ、前後ぴょんぴょんっ!」

「んぉおおぉッ、ぎもぢいいッ!」

「ランダムぴょんぴょんッ!」

「効くッ! 効ぐッ! ふぐぅうッ、負けてたまるかぁ……!

 彼女の白いブラウスは漏れに漏れた先走り汁で染みだらけになっていた。

 スタンクのまたぐらはと言えば、追いこまれてパンパンに膨れている。いつ爆発してもおかしくないが、できればもうすこしこらえたい。だって、もったいないから。

 頭のつむじが見える体格差からの極上ぴょんぴょんパイズリとなれば、希少性も高い。

 他種にはない魅力──これこそが異種族サキュバス店のだいだ。

「も、もっと、もっとぴょんぴょんしてくれ、お姫さま……!」

「うん、いーよ。いーですよ。チミナね、気持ちよくしてくれたひとが、気持ちいーって顔してくれると、とってもうれしいなって思うの。だから……」

 チミナはスタンクの両手を握った。豆粒のように小さな指が無骨な大人の指に絡みつく。

 ぴょんぴょん大攻勢がはじまった。

「ぴょんぴょんッ、ぴょんッ、ぴょんぴょんッ」

 乳肉が暴れ狂う。ただ乱雑に動きまわるだけではない。結合が抜けないギリギリの範囲を見極めている。子どものお遊戯でなくプロのしゆれんだ。

 肉厚なむちむち地獄にとらわれた肉剣は快楽の鎖にからめとられ、もはや抵抗もできない。

 しやくねつが一気にこみあげてきた。

「ちっくしょう、ぴょんぴょん最高ォ……ッ!

 スタンクは観念して断末魔の声をあげた。

 ぜる。

 びゅるるん、びゅーッ、びゅーッ、と甘美な敗北汁を吐出しつづける。

「わあ、あったかぁい……チミナ、これ好きです……大好き……えへへ。ぬるぬるべとべと、気持ちいーですよ、平民さん」

 チミナは顔に汗を浮かべて無邪気に笑った。

 それでいて、乳肉を腕でぎゅっぎゅと締めつけて男の尊厳を搾り取ることも忘れない。

 ブラウスに生臭い染みが広がれば、くすぐったそうに身じろぎする。

「平民さん……まだ硬いね。よっしゃ、ヤろ!」

「ヤりますか、ドスケベ姫さま」

「ヤるヤるー! ですわ! スーパースケベタイムですことよ!」

 現在一勝一敗。真の勝負はここからだ。


 姫君の権威を尊重すれば、騎乗位以外の体位は考えられなかった。

 スタンクは服をすべて脱ぎ捨ててあおけに横たわる。

 チミナは着衣のままスタンクの腰にまたがる。

「んじゃんじゃ、さっそくいただきまーす」

 肉剣に手を添えて小造りな裂け目にあてがい、おくすることなく身を沈めてきた。

 鼻孔ほどの入り口は柔軟に広がってスタンクの剛剣を飲みこんでいく。

 いつ裂けてもおかしくないサイズ差のように見えるが、ウサギ娘は感嘆の声をあげていた。

「あっはぁ、ぶっとぉい……!」

「うへへ、どんなもんですかい、お姫さま。このたびの献上品の使い心地は」

「んーとね、大アタリって感じ! んっ、あふッ、ぎっちぎちに埋まって、段差がすっごい引っかかって、えへ、うへへ、これホントにぜんぶ食べちゃっていいの?」

「丸ごとお姫さまのものですぜ、ぐへへへ」

「やーん、ラッキー! ちょーぜーたくですわ! この仕事やっててよかったぁ!」

 無毛の股が筋骨たくましいスタンクの股に降着した。

 剣身をお腹いっぱいにほおってもまだ足りないというように、細腰をよじりだす。

 ぐーりぐーりと、自身の柔穴を拡張するようなねんてん運動。

 結合部はスカートに隠れて見えない。ぼっちゅ、ぼっちゅ、とみだらに水音が内にこもる。

「おっ、おッ、こりゃまた大胆な動きだな……!」

「あはッ、あーッ、あんッ、こーやってね、おなかいっぱいにお客さんのを味わうんですよ。そしたらお腹いーっぱい幸せになって、んふッ、あぁッ、ちょーたのしーっ」

 ゆるやかな責めだが、しようゆえの狭苦しさが絶え間なく海綿体を締めあげる。彼女の小ささは弱点でなく、むしろ男を切り崩す武器なのだろう。

(ちっこい種族はこうじゃないとな)

 スタンクの経験上、わいしよう種のサキュバス嬢は概して広がりやすい。先祖に混じったサキュバスの血の作用か、それともべつの理由なのか。もちろん限度はある。お人形サイズの小ようせいになるとスタンクの愛剣に耐えられる者はごくわずかだ。

 逆に言えば、ハーフリングサイズのドワーフラビットならほぼ問題なし。

 それどころかノリノリで腰を弾ませている。

「はー、やっべ、最高ですぅ……! ウキウキぴょんぴょんなのです!」

 チミナは上下に跳ねだした。

 もっともシンプルに性感部位を刺激する摩擦運動に、ふたりはたまらず身震いする。

「ぉおッ、くッ、お姫さまのくせにスケベな動きしやがって……!」

「だってぇ、スケベだーいすきだもんッ! 寝てる時間以外はずっとズボズボどちゅどちゅしてほしいもんッ! お姫さまだって女の子だもんッ!」

 演技などほとんど吹き飛んでいる。彼女の腰遣いは熟練サキュバス嬢のそれだ。

 しかも揺れている。

 男の視線を引きつけて油断を誘う、ふたつの肉の塊が。

「平民さんだってスケベな目してるくせに……うりゃッ、食らいあそばせっ」

 チミナが思いきり胸を張った瞬間、

 バツンッ! バツンッ! バツンッ!

 ブラウスのボタンがはじけ飛び、白濁まみれの双球がまろび出た。

 服越しよりさらに膨らんで見える大物だ。突端も赤々と肥えている。

 締めつけから解放されて振り幅も倍近くに広がる。

「平民さんはみーんなおっぱいぴょんぴょん好きだもんね? あんっ、あはッ、ほーら、ぴょんぴょん攻撃っ、えいっ、どーだっ、えいっ、えいっ」

「うおッ、気持ちよすぎッ……! おっぱいの重みが中に響いてくるみたいだ……!」

「あんッ、ビクビクってぶっといのが中で動いたぁ……! ゴリゴリ引っかかってめっちゃ気持ちいーよぉ……! あっ、あッ、あーっ、あーッ、あーッ!」

 互角の攻防に両者の息が速まっていく。

 体温があがり、汗のせいで室内が蒸してきた。

 両者の股は泡立った性水にまみれ、ベッドにまで染み広がっている。

(このままじゃ相打ちだが……そうはさせるか!)

 肉剣と肉つぼの勝負は互角だが、スタンクにはまだ手がある。

「そりゃッ! これでどうだ!」

 両乳首をつまんだ。

 指のあいだで転がし、キュッと締める。

「あひッ! はえぇえッ、えひっ、ひッ、ひんッ、それ好きッ、乳首かわいがってもらうの大好きッ、好きッ、好きぃッ……! うれしいぃッ……!

 チミナはとしてスタンクの腹上を跳ねまわった。

 その動きに応じて乳房も躍る──が、それは自殺行為に等しい。つままれた乳首は肉揺れのたびに痛烈な負荷の餌食となる。ともすれば痛苦をともないかねない状態だ。

「平民さんッ、ステキっ、ステキぃ……! チミナぴょんぴょん止まんないッ、おっぱい好き好きってされて幸せぴょんぴょんッ、ラブラブぴょんぴょんんんッ!」

「ああ、お姫さまのおっぱい大好きだぞ! そりゃッ好き好き攻撃だッ!」

 スタンクは両乳首をねじあげながら、不意打ちで腰を跳ねあげた。

 ふたつの突端と最奥への痛撃にチミナは高らかにきようせいをあげた。

「おひぃいいッ! いいっ、めっちゃ最高ぉ……!

 多少の痛みを快楽に変換できるのは性感が成熟しているからだ。ついでに口先だけ「可愛かわいがっている」と言えば悦んでくれるのだから責めやすい。

 スタンクは手と腰で猛撃に移った。

 どちゅどちゅとき、ぎゅむぎゅむと締めつける。

 チミナは目に見えて表情がとろけ、全身あちこちに感悦の震えが広がってきていた。

「あひっ、はへッ、もうダメぇ……! チミナ、幸せウサギさんになっちゃうぅ……!

「なれ、なっちまえ! お姫さまにあるまじきふしだらな体位で幸せになれ!」

「はーい、なりますぅ……! あんッ、んぁーッ、あぁあッ……!

 ぴょんぴょん跳びが小刻みに加速する。

 最後の悪あがきに、スタンクはこんしんの一撃で応じた。

 どちゅんッ!

 必殺の突きあげ&思いきり乳首を引っぱる。

 小ウサギの姫君は長耳から全身にけいれんを広げた。

「おッひっ……! ンいッ、ぃいいッ、イッぐぅうううううぅぅううッ!」

 断末魔の声は獣のようにゆがんでいた。

 乳房も無惨に引き伸ばされている。

 ぎゅりぎゅりとすぼまる稚穴が甘美な勝利感にスタンクを導いた。

「くっ、トドメだ……!」

 勝利のこうようを鈴口から解き放った。全身の神経が絶頂感を通すだけの器官に変わる。筋肉は欲望のエキスを送り出すためのもの。ドワーフラビットの子宮を貫き、満杯にし、ちつ内までぬめつきの坩堝るつぼに変える。びゅるん、びゅるん、と悪臭の塊を注ぎこむ。これで彼女の胎内はスタンクのにおいで満たされる。これほどの充実感が男にとってほかにあるだろうか。

「あひッ、おッ、おんッ、んぉおおッ……! こ、これ、すっごい量……! マジ超すっげぇですぅ……! お腹のなか、ぴょんぴょん止まんないぃ……!

 チミナはヨダレまじりにだらしない笑みを浮かべている。

 彼女にとっても男の噴出を受けとめるのは大層な悦びなのだろう。

(積極的なサキュバス嬢はやっぱりいいな……最後のほう演技どっかいったけど)

 スタンクは満足感を伝えるように、優しく乳房をでまわした。

 その手にチミナの小さな手が重ねられた。

「お客さん……あのね、まだ時間あるから……ね?」

「よーし、もっともっとぴょんぴょん勝負だ!」

「やったー! やるやるー!」

 勝負はまだ終わらない。

 その後、スタンクは馬乗りパイズリで一発放出。あどけない顔を汁まみれにした。

 さらに後背位で二回イカせてから、最後に正常位でトドメ一発。

「ふえぇぇ……チミナ、負けちゃったかも」

 ウサ耳少女は敗北宣言をしながらも、満足げに顔をなまめかせていた。





 今日も食酒亭の掲示板に多種族が群がる。

 ドワーフラビット専門店のレビューに舌なめずりをする者すらいた。

 その様子をメイドリーが半眼で眺める。

「小さい種族が好きっていうのは、まあいいとしてさぁ……体のサイズだけじゃなくて、中身まで幼いのを求めてる感じのが多すぎない?」

「そりゃまあ、ガチでそういう子に手を出すのはまずいだろ。なら合法的にヤれるサキュ嬢で発散するってのはむしろ理性的なんじゃないか?」

 スタンクはエール片手に語った。

 非道徳的な衝動に折りあいをつける手段として、サキュバス店はきわめて有効だ。

 それこそ流血をともなう残虐行為を安全に提供する店もある。

 不道徳となじるのは簡単だが、そういった店をなくしたとき、客はどこへ行くのか。

 行き場のない人間を無法に追い立てて、社会になんのメリットがあるのか。

「そういう理屈はわからないではないけど、感情では理解したくない」

「感情で生きるタイプは嫌いじゃないぞ。性欲強そうで」

 トレイが鈍器となってスタンクを痛打した。

 ウサギ殺しの剣士を一撃で打ち倒した給仕娘は、大きくため息をつく。

「個人の趣味だしやめろとは言わないけどさぁ……はあー、たまには真っ当なお客さんが来てくれないかしら」

 彼女が愚痴をこぼした、そのときである。

 酒場のスイングドアが開かれ、秀麗な面立ちが踏みこんできた。

「失礼する──」

 苦行僧じみた辛気くさい声、というのはスタンクの感想である。

 人生になんの彩りもなさそうな仏頂面。だが面立ちそのものは端整で、な目つきに男ながら不思議な色気がある。

 なにより目に付くのは青い肌だろう。

 魔族などには多く見られる色だが、頭部に角は見当たらない。

 ただ、右腕が三本ある。左側はマントで隠れているが、そちらも三本だろうとスタンクは重心から見抜いた。

「アシュラか」

 東方の希少種は真面目くさった顔で、真っ向からスタンクを見据えた。

 迷わず歩いてくる。

 真横に立つと、マントの下でシャッと金属を滑らせる。

 曲刀がスタンクに突きつけられた。

「ひとかどの剣士と見た。我はヴィルチャナ。一本手合わせ願いたい」

 純粋なまでに研ぎ澄まされた闘争心がやいばに乗せられていた。

 アシュラという種は極東において修羅とも呼ばれる。その語は一般名詞として、戦いのなかでしか生をいだせない者を指すこともある。

 種族的な類型のひとつとして、アシュラ族にそういった戦闘愛好者バトルフリークが存在するのもまた事実。

 ヴィルチャナなる男もそのひとりだろう。

「手合わせ、か──」

 スタンクは刃のように鋭い視線を横目に受けとめ、ジョッキをテーブルに置いた。

「ヤだ」

「……なにゆえ」

「だって面倒だし」

 素っ気なく言って、ジョッキを持ちあげ酒を飲む。

 その態度が理解できないというように、ヴィルチャナなるアシュラはまゆをひそめた。

「男として生まれた以上、剣の高みを目指したいものではないのか」

「知らんけど」

「おーいスタンク、面白いサキュバス店の話があるぞ」

「お、詳しく聞かせてくれ」

 となりのテーブルのゼルに誘われ、スタンクは嬉々としてわいだんに首を突っこんだ。

「待て、スタンクとやら、れつな戦いのなかで剣士の高みを……」

「ああ、がんばってくれ。オススメは東の大洞穴だ。強い怪物がわんさかいる。おまえならきっと勝てる。自分を信じろ。ファイト! じゃあな」

 取り残されたヴィルチャナは、はて? と小首をかしげる。

 なぜこうなったのか、これっぽっちも理解できないという顔で。

 それが東方独特の感性なのか、彼個人の感性なのかはわからない。ただ、スタンクにとっては、とにもかくにも面倒くさい。

(街中でにんじようなんて、ヘタしたら憲兵にしょっぴかれるし)

 異種混街は無法地帯ではない。多種族が共存するにはルールが必要だ。命の奪いあいなど、やるにしても山奥や荒野でやれ、というのが常識である。

 スタンクは犯罪者になりたくないし、殺しあいより猥談のほうが楽しい。

 だから珍客の相手は店の人間に任せることにした。

「お客さま、ご注文は?」

 メイドリーがあいきようたっぷりの笑顔でアシュラに問いかける。

「剣を極めるには節制が必要だ──水を一杯いただく」

「おかみさーん、冷やかしさんおひとりー!」

 いつものけんそうが酒場を満たす。

 流浪の剣士はひとり、行き場をなくしたように立ちつくしていた。