あとがき
まず、当初の発売予定に間に合わなかったことを深くお詫び申し上げます。
聖魔杯はこれにて終了の運びとなりまして、今回のあとがきは一応シリーズの総括として書きますので(ネタバレあり)、先に本編を読んでいただけると楽しめます。
前作『お・り・が・み』の時から毎度毎度アドリブで書いてきたのですが、このシリーズは本当にすごかったです。エリーゼは一回きりの天然ぼけぼけ~の悪役キャラなだけだったはずなのに、今ではシリーズで一、二を争う常識人かつキーパーソンに。ご好評いただいた聖魔グランプリも山中をショートカットして飛び出しクラッシュするまで、ヒデオとウィル子が別行動するなんて考えてもみませんでした。ヒデオはまあ主人公だし、なんとなく優勝するかな~と思っていたのが鈴蘭に負けちゃいましたし、じゃあ残った面子の中で誰が優勝するの? と悩み考えた末に、準決勝や決勝戦はやらずにうやむやにしてしまおうと考えていました。
だってめんど……いえ、ページ数が足りないかなぁ、なーんて。
結局は書いてるうちに地下組の話だけじゃ間が持たない、仕掛けも足りない、ってことでページ云々以前に話として成り立たないことがわかりまして、場当たり的に加えた付け焼き刃があれです。鈴蘭・みーこペアが戦うって言っても両者とも前シリーズで特技も本性も出し切ってしまっていて、まるっきりネタなんてなかったんで意図的に登場を避けてきたのですが、よくもまあそんな鈴蘭で二戦分も書けたものです。さすが前作の主役と言うべきでしょうか。やはりキャラクターに一本芯が入っていると、動いてくれるものなんですね。不思議、不思議。
ことほど左様に、一つの大会を勝ち抜いていくという半ば使い古されたテンプレートだからこそ、先達に吞まれぬよう奇をてらった結果、予想していないストーリー展開が多々ありまして。ある意味、そういう話を思い付きで書けたときの驚きというのは、後に読者の皆さんが本編を読んで感じた印象と似通っていたのではないか。翻ってこの『戦闘城塞マスラヲ』というシリーズは、無計画ながらも、より受け手に近い感覚で書くことができたのではないかと思っています。
……詭弁にもほどがありますね、はい。
しかし今巻、シリーズを締めくくるクライマックス部分にだけは自信がありました。でなければいかに無計画で大風呂敷な私でも、四巻のあの締めくくりはできません。友人やインターネットでの書評サイトにて読後の感想を見聞きしましたが、概ね続きが気になるとのことでほっと胸を撫で下ろしたのを覚えています。もちろん、そこまでして引っ張ったものをこの巻で納得してもらえるかどうかが、一番の問題なのですが……。
手探り状態で始まり、雑誌連載という公の場でやりたい放題放蕩を尽くした挙げ句、結局は綱渡りのまま終わった聖魔杯。一応、形にはなったと思うのですが、いかがでしたでしょうか。ご期待に沿えるものでしたでしょうか。
少し真面目な話を致しますと、この『マスラヲ』というシリーズに限ってはヒデオという等身大のキャラクターを通じて、現実に即した幾分のメッセージ性を込めたのも事実です。いろいろ、大変な世の中ですから。
まあ、たかがラノベ屋が何をおこがましいと怒られるかも知れませんが、しかしこの作品を読むことでヒデオの姿に少しでも前向きな何かを感じてもらえたなら。そうでなくともこの作品を読んでいる間、一時でも嫌なことを忘れて楽しんでもらえたなら、書いた甲斐があったと言いましょうか。勝手ながら、そんな風に考えております。
んー。
なんかあとがきっぽくてつまんないですね。でもあとがきだし、まあいいか。
さて、最後となりますが担当W氏。プロットを書かず粗筋さえ隠す秘密主義的な私のわがままな執筆活動を、よくぞ今まで堪え忍んでくれたと思います。あなたは編集者として、〝待つ〟という仕事を何よりも忠実に実行してくれたのだと思っています。また「ザ・スニーカー」本誌での広告、特集企画等、精力的にこなしてくれたことも感謝に堪えません。
イラストレーターの上田さん。各話ごとの挿絵のみならず、毎号のように本誌を飾ったたくさんのカラーイラストは、あるときは励みに、あるときはこちらの創作意欲をかき立ててくれるような素晴らしいものばかりでした。ありがとうございました。また新年会の席の隅っこで、一緒にぽつんとできることを楽しみにしております。
そしてたくさんの読者の皆々様。ここまで辿り着けたのは雑誌連載と文庫という二つの発表の場で、そのどちらをも多くの皆様が応援してくださったおかげです。三年という長らくのお付き合いとご声援、本当にありがとうございました。これをますますの糧にして、新たな作品作りに挑んでいきたいと思っております。
それではまた次巻、お会いできることを願って。
二〇〇八年十一月
……え?
ええ、最終巻ですよ。〝聖魔杯〟は終わりましたね、はい。本編をご覧の通りです。
だが終わらない! ああ終わらせてなどやるものか! 聖魔杯終われどヒデオの試練終わらずっ……人、それをして人生とぞのたまいける
!!
喜べ
巫女好き同志諸君! 今度の
舞台は
宮内庁
神霊班、神となったウィル子に代わり新たにヒデオのパートナーとなるのは前作『お・り・が・み』において一部ファン層に絶大な人気を
誇った聖魔王鈴蘭の妹、あの
名護屋河睡蓮だ! 熱きお前らと俺のために聖魔杯に出さず温存しておいたぞいやっほぅ
!!
作者をして歴代最も気の強いキャラと言わしむる最強巫女と、歴代最も気の弱いヒキコモリ青年とが超絶凸凹コンビを組んで贈る精霊サーガ第二弾! そう、『戦闘城塞マスラヲ』は魔人シリーズの一端にして精霊サーガの序章に過ぎなかった! たった今思い付いた後付け設定だがそういうことにしておけばみんな幸せなありがち退魔ストーリー!
その名も! 『戦闘城塞マスラヲGAIDEN ~ひでおアフター~(仮)』
!!
あちこちどっかで見たタイトルだが所詮仮題だ気にするな!『新体操(仮)』なんてそのまま出た作品もあるが(アニメ版1stシリーズは神)良識ある角川書店ならきっと大丈夫! とか言いながら実は現実世界に戻ったヒデオの日常を淡々と描くだけの『みなみけ』以上に過度の期待お断りだ帰れ帰れ的なバトルもしないし特に世界救ったりするわけでもない完全に『お・り・が・み』からのシリーズ読者向けの非常に狭いファン層を狙って感謝の気持ちを込めた公式同人誌的なオマケ作品だ! オマケ〝的〟じゃなくて本当にただのオマケだからな? いつまで同じ世界観で引っ張んだ作者いい加減にしろとか言われてもただのオマケなので聞こえな~い。
……なんてな。
ま、そんなこと書けたらいーなー、と思って冗談半分でプレゼン送ってみたら。
企画通っちゃいました。
アホか(俺も編集部も)。