「探耽求究のダァーンタリオ──ン!!」
「なんでも質問箱でございますで─す!!」
教授(以下教)「んーふふふ、久しぶりに私たちの全面無敵華麗大開放お買い得最先端にしてェエーキサイティングな出番がやぁーってきたようですねえ、ドォーミノォー!?」
ドミノ(以下ド)「はいでございますです、教授!」
教「こぉーれこそ、私たちのェエークセレントな活躍が読者諸氏に認められたぁーっ、証!」
ド「はいでございますです、教授!」
教「さーあ! 早速ゴリゴリムシャムシャ、質問を片付けまぁーすよぉー!?」
ド「はいでございますです、教ひゅひははは!?」
教「さぁーっきから同じ台詞ばかりじゃありませぁーんか! 会話だけで進むこぉーのコーナーを、そぉーんなことで担っていけると思っていぃーるんですかぁー!?」
フリアグネ(以下フ)「……勝手に担わないでくれないか」
マリアンヌ(以下マ)「宝具『押し出しトンカチ』で、えいっ!」教「ぬぉー!?」ド「むぎゅ」
フ「ふう、やっとページがスッキリしたね」
マ「このコーナーは、会話がくどいと見にくいだけですから」
フ「そう、それにここは、私たち二人がようやく得た愛の城だ。誰にも邪魔させたりなんかしないよ、私の可愛いマリアンヌ」
マ「フリアグネ様……」
フ「マリアンヌ……」
マ「……あの、そろそろお仕事をしないと、もう2ページ目も終わってしまいます」
フ「ああ、それじゃ始めようか。本項は、私と私の可愛いマリアンヌが、読者の皆から寄せられた『灼眼のシャナ』に対する疑問質問に答えていく、由緒正しきコーナーだ。今回は少し専門的というか、やや深い話題にも触れる予定となっているよ」
マ「またお会いできて嬉しいです! では早速、一つ目のお手紙を……」
Q『宝具の中に、〝徒〟が望みそうにない物が混じっているのは何故ですか?』
A「状況次第で、どんな宝具も生まれる余地はあるんだよ」
フ「これはまた、初っ端から私好みの質問が来たね」
マ「お手紙には、人格を交換する『リシャッフル』や、カードを操る『レギュラー・シャープ』と……あと〝燐子〟を爆破する『ダンスパーティ』なんかも……人と〝徒〟双方が望んで宝具を作る理由が分からない、そうです……」
フ「ああっ!? そんな悲しい顔をしないでおくれ、マリアンヌ! ええ、と……まず、大前提の話をしよう! 封絶発明以前の時代、人間と〝徒〟の距離は、今よりずっと近しいもの、どころか混じり合い暮らしていた、ということだ」
マ「……古くは神や悪魔、時代が下がってからは妖精、妖怪、怪物に魔法使い、時には奇人変人として認識されたりしていたんですね?」
フ「〝螺旋の風琴〟リャナンシーとドナート青年の逸話が典型例かな。近代以降、〝徒〟は正体を隠し、人間社会に紛れるようになった。彼らの武器や兵隊官憲など、藪蚊程度の存在だけれど、周りで騒がれては自分の楽しみに障るし、文明文化への敬意と羨望も、正直持っている。ただ荒れ狂うよりは、その中で過ごしたい、と考える者が大半さ」
マ「本巻に登場した〝穿徹の洞〟アナベルグさんも、その一人でしょうか?」
フ「彼はその部分だけを肥大化させた、極端な例だね。さて、以上のことを念頭に、話を宝具に戻そう。その大半を占める武器は分かりやすいな。利害が一致し共闘するようになった人間と〝徒〟の間には、武器が生まれやすい。武器殺しの『バブルルート』、討ち手への復讐に燃える人間と作った『トリガーハッピー』等の変種も同系列と言える」
マ「戦闘用の宝具は、特定の戦況や敵に対応する形で増えていったんですね」
フ「そうでない『リシャッフル』の場合は、互いの境遇を悲観した貴族と〝徒〟が生み出した珍品だ。入れ替わった後、彼らはどうなったのか……話が長くなるので割愛しよう」
マ「では、『レギュラー・シャープ』は?」
フ「あれの正体は、占いに取り憑かれた人間と〝徒〟による『自動的に切られるカード』で、元はタロット一揃いの形をしていた。占いに使えるカードを時とともに飲み込んで、今はプレーイングカードとして在る。飲み込んだ中から必要な量を自動的に場に出す……」
マ「つまり、本来は武器ではなく、使う側が大量に出す指示をしていた、カード自体が〝存在の力〟で強化されていた、というだけだったんですね」
フ「あー、あと、『ダンスパーティ』は、対〝燐子〟使い用の宝具で……私が御崎市のトーチに施したような、〝燐子〟を起爆させるための鼓動を植え付けることができる」
マ「……それを、一気多数に制御できたフリアグネ様は、やっぱりすごいですね!」
フ「まあ、そう、かな……うん。ちなみに、私は〝狩人〟として『物事の性質を見抜く力』が本領、ゆえに手に入れた宝具の使い道を即座に看破できるわけだ」
マ(あれっ、見抜けるのは『獲物の性質』だったんじゃ……?)
フ「あのおちびちゃんの秘めたる底力と器を、状況への焦りがあったとはいえ見抜けなかったことが、身の破滅に繋がってしまったわけだけれど──」
マ「はい?」
フ「──この力のおかげで、君という、真に愛し合うべき人を見出せた。悔いはないよ」
マ「フリアグネ様……」
Q『悠二はシャナが出す紅蓮の双翼で火傷しないんですか?』
A「フレイムヘイズも〝徒〟も、出す炎には二種類あるんだよ」
フ「おちびちゃん始め、討ち手や〝徒〟が見せる火の粉や輝きの大半は、物理的な意味での火ではなく、事象への干渉=在り得ないことの現れ、その片鱗が視覚化されたものだ」
マ「紅蓮の大太刀や炎弾は延焼もしていますから、本物の火ですか?」
フ「そう、それらは最も単純な『破壊のイメージ』、熱量の発現だから当然、見たままの火だ。一方、紅蓮の双翼は『飛翔のイメージ』を発現させたものであって、燃やすことが本義ではない。望めばそうすることもできるだろうけれど、普段は熱くないだろうね」
マ「なにをするでもなかった〝纏玩〟ウコバクさんは、足跡が燻っていたようですが」
フ「あれは、彼自身を実体化させる『顕現』が不安定だったため、〝存在の力〟が漏れ出していたために起きた現象さ。なんとも、不器用なことだ」
マ「フレイムヘイズ、〝紅世〟、火の粉……火を連想させる単語が多くて紛らわしいですね」
フ「まったくだ。作者のフォローは本意ではないけれど、コーナーがコーナーだ、説明はしておこう。知っての通り〝徒〟も討ち手も、持てる力は炎に縛られない。フレイムヘイズの名の由来は、契約時に幻視する両界の狭間が『炎の揺らぎ』に見えるからで、炎そのものとの直接的な関係はない。本当の意味での炎使いは『炎髪灼眼の討ち手』等、かえって少ないくらいだね」
Q『〝紅世の王〟と〝徒〟には、どんな違いがあるんですか?』
A「概ね、統御できる〝存在の力〟の規模によって分けられるようだ」
フ「既刊で幾度か説明したように、私も含む〝王〟とは、強大な力を持つ〝徒〟のことだ。今回は、この『強大な力を持つ』ということについて、少し詳しく説明しよう」
マ「例えば、本編に登場した〝徒〟の〝琉眼〟ウィネさんが、『都喰らい』を起こして大きな力を手に入れたら、それで〝王〟になれるんでしょうか?」
フ「それが、そう上手くはいかないのさ、マリアンヌ。我々〝徒〟が、人間から得た〝存在の力〟を自分の体へと変換することで、この世に存在していることは知っているね?」
マ「はい。私たち〝燐子〟も同じように、〝存在の力〟から作られています」
フ「君には、そこいらの〝徒〟が持っている量など、全く問題にならないほどに大きな力を注ぎ込んできたけれどね、ふふふ……」
マ「フリアグネ様っ」
フ「ゴホンッ、とにかく、この基本原則……〝存在の力〟変換を大規模に統御できる者のことを『強大な力を持つ』〝徒〟=〝王〟と呼ぶんだ。この適性を持たない者が莫大な力を得ても、意志を飲み込まれ、存在を薄められ、遂には消えてしまうだけだ」
マ「じゃあ、ウィネさんは、大きな力を持っても〝徒〟のままなんですね」
フ「その通り。大袈裟に例えるなら、〝王〟は戦艦で〝徒〟はモーターボートだ。戦艦に入れるだけの莫大な燃料を背負わされたモーターボートは、即座に沈んでしまうだろう?」
マ「なるほど。では、〝徒〟が〝王〟に成り上がる方法はないのですか?」
フ「〝徒〟も成長はするし、両者に定量化された区分はないから、適度に強くなり、多くから恐れられるようになれば、自然と〝徒〟は〝王〟と呼ばれるようになるよ。ただ、人間と同じく、成長の度合いは、先天的な才能や適性、後天的な鍛錬や研鑽に左右される……つまり、一生努力して〝徒〟で終わる者もいれば、生まれつき〝王〟だった者もいる、ということだ」
マ「世の中は厳しいです。あ、でも〝徒〟の〝愛染他〟ティリエルさんは、街一つを包む封絶を張っていました。彼女は力も強く、各地で恐れられていたようですが」
フ「彼女は、実のところ大した規模の力を統御していたわけではないんだよ。自身の能力『揺りかごの園』の拡大と維持、人間の捕食による力の供給、武器である蔦の具現化、それらは全て、特殊な設置型の〝燐子〟『ピニオン』が行っていた。彼女自身は、事前に仕掛けた多数の『ピニオン』へと命令を送っていただけなのさ」
マ「まさに司令塔、というわけですね。あ、分かりました。たくさんの『ピニオン』を維持するため、あの宝具『オルゴール』を使っていたんですね?」
フ「正解だよ、マリアンヌ。むしろ彼女の才能は、人間に打ち込むだけで多機能な〝燐子〟を生み出せる自在式の構築、という点にある。これは、『他者のために全てを捧げる』という彼女の本質を移植する行為……『ピニオン』は、いわば彼女の分離体なんだ。同様の例として、天才的自在師〝螺旋の風琴〟リャナンシーがいる」
マ「そういえば、彼女も〝徒〟でした」
フ「彼女は統御できる力こそ小さいものの、異常に高効率な……つまり、僅かな力で大きな効果を生む自在法を瞬時に構築することができるという、まさに天才だ。統御できない分の力も、毛糸玉に変えて持ち運んでいる。これは滅多に使わないようだけれどね」
マ「それらの、宝具や自在式の応用で、統御できる力が小さな〝徒〟でも大きな影響力を持てるんですね。全世界の〝徒〟の皆さん、頑張ってください!」
フ「綺麗に纏まったところで、次にいこう」
Q『封絶発明以後、フレイムヘイズは生まれてますか?』
A「減少傾向にはなったけれど、生まれ続けているよ」
マ「でも、復讐のために生まれるのですから、〝徒〟に襲われたことを自覚できないと駄目なのでは。封絶に囚われたら、常人は静止してしまいますよね?」
フ「イレギュラーというのは、どこにでも発生するものだよ、マリアンヌ。まず、本巻に登場した『魑勢の牽き手』ユーリイ・フヴォイカの契約に見られるような……そもそも〝徒〟が封絶を張っていなかった、というケースがある」
マ「あっ、そうでした。あの海魔が封絶を張っていなかったのは、やはりフレイムヘイズの気配がなかったからですか?」
フ「だろうね。自分が襲う人間から討ち手など生まれない、とたかをくくっていたのさ。この世に渡り来て間もない者、若く無鉄砲な者は、連中の恐ろしさを知らないから、そういう迂闊な真似を平気でする。[仮装舞踏会]などは、そういう事例を減らすため、新参者を見つける度に訓令を与えているようだ」
マ「彼らは、自分たちの不用意な真似が齎す結果について考えてくれないのですね……ハァ」
フ「他には、我々の行為や自在法を感じる適性に目覚めた本質的な異能者が『この世の本当のこと』を知って契約するケース。『儀装の駆り手』カムシン・ネブハーウの例が分かりやすいな。この種の人間は、数が少ない代わりに強力な討ち手となる傾向を持っている」
マ「それは封絶云々とは、あまり関係なさそうですね」
フ「時代に拠らず一定の割合で存在する彼らは、異種族〝紅世の徒〟侵攻に対抗するため生まれる『人類の抗体』のようなものではないか、と私は見ている。さて……最後が全く以って忌々しい、一人の男が編み出した、人為的なケースだ」
マ「一人の男? 〝探耽求究〟ダンタリオン教授、ですか?」
フ「いや、本巻で詳細に紹介された『愁夢の吹き手』ドレル・クーベリックだ」
マ「彼は、外界宿の改革者、でしたよね?」
フ「まさに、そこなんだよ。彼は、外界宿の経営に人間を組み入れる、という前例のない方式を取っていたんだが……そうする内、討ち手や自在法に多く触れた人間の構成員が〝存在の力〟や消失の違和感を薄々とでも感知できるようになっていくことに気が付いた。本編だと、吉田一美嬢や佐藤啓作・田中栄太両君に、兆候が見られる現象だ」
マ「あっ、まさか!?」
フ「そのまさかだ。彼は微弱な感知能力を得た構成員の内、信頼を置ける者に『この世の本当のこと』を、外界宿の真の役割を、教えていたんだ。そして、討ち手と個人的友情、あるいは愛情を育んでいた人間の中から、相手の存在の消滅を感じ、喪失の悲しみと復讐心を抱き、新たな討ち手として契約する……そんな異常者が出るようになった」
マ「……」
フ「ドレル・クーベリックによって、外界宿は、使命感・復讐心・知性・適性等を備えた『フレイムヘイズ養成機関』の面まで備えるようになってしまったんだよ。もちろん、絶対量は微々たるものだが、脅威には違いない」
マ「度々本編で名前が出ていたのも伊達じゃない、凄い人だったんですね」
Q『教授の〝徒〟としての能力って発明ですか?』
A「彼の能力は、物質を具現化することなんだ」
フ「彼の使う『我学の結晶』が宝具なのかどうか、という質問にも併せて答えよう。あれは、彼が具現化させた物質によって作り出された、まさに力の結晶なんだ」
教「んー」
マ「普通、御〝徒〟が生み出すのは現象……炎や風などの『一時的な干渉』ですよね?」
フ「ところがあの男は、本来は自身のみに行う『顕現』を、『他の物体』として永続的に実体化させることができる、という特異独自な力を持っているんだよ」
教「ふふふ!」
マ「きゃあっ!?」教「今こそ、華麗なるリィーベンジッ&リィーバイブがスッタァ──ト!!」
フ「うわっ!?」
ド「おじゃましまーす」
教「私の誇ぉーる『我学の結晶』っは! 宝ぅー具にして宝具に非ず!!」
ド「教授がインスピレーションで生み出した『素材』を、この世の道具に組み込むことで『我学の結晶』は誕生するんでございますです。まあ『素材』も、大概は使い物にならないガラクタなんでございますけほひはひひはひ」
教「一言多ぉーいですよ、ドォーミノォー! こぉーの世を知るには、その場限りの現象など起ぉーこしても無意味! ナァーンセンスノォーサンキューノォーッフューチャー!!」
フ「あー、うるさいうるさいうるさい。マリアンヌ」
マ「はい、もう一度、宝具『押し出しトンカチ』で、えいっ!」教「ふぉー!?」ド「ぎゅう」
フ「やれやれ、彼らの説明は無駄に文字数を食うから、読者の皆が疲れてしまう」
マ「とにかく、ダンタリオンさんだけが特異な宝具を多数、自分のためだけに使ってる理由は分かりました。その力を上手く使えば、凄く強力な宝具を作れそうですけど……」
フ「そのお願いを、彼が素直に聞いてくれると思うかい?」
マ「……いえ」
フ「そんな彼を比較的上手くコントロールしている〝逆理の裁者〟ベルペオルは、自在式を込めるための『素材』たる金塊『デミゴールド』をせしめて、色々と作っているようだ。
〝琉眼〟ウィネの持っていた『非常手段』も、そうして作られた宝具の一つだ」
マ「なるほど、色々繋がりがあるんですね……あ、フリアグネ様。そろそろページが終わりに近いようです」
フ「楽しい一時は、過ぎ去るのも早い……なんとも切ない、これも世の理なのかな」
マ「また次も、頑張りましょう、フリアグネ様」
フ「そうだね、私の可愛いマリアンヌ。じゃあ、最後は一気に質問を片付けよう」
Q『ヘカテーのでっかい帽子の中には何が入っているんですか?』
A「夢と秘密が詰まっているらしい」
Q『シュドナイはシャナを見てなんとも思わないのですか?』
A「『俺はヘカテーを愛しているのであって、決してそういう趣味なのではない!』そうだ」
Q『ヴィルヘルミナの好きな食べ物はなんですか?』
A「ぶつ切りチーズを肴にワインを飲むのが密かな楽しみ、とのことだ」
Q『封絶内のものが壊されたとき、トーチがなかったら、どうするんですか?』
A「フレイムヘイズが自前の力で修復するよ」
Q『お願いですから「あの高橋」ぶりを治してください』
A「また、返事の手紙が……『ドンマイ』とだけ書いてあるな」
「読者の皆さん、今回はこの辺りでお別れです──えい!」教「ふぐぉっ」ド「わ
「飛び出してくる連中の機先を制するとは流石だね、マリアンヌ」
「フリアグネ様と私の、大切なコーナーですから……それでは」
「またいつか、私とマリアンヌの熱き交歓を見せられるよう願っているよ」
完?