『巨人の星』の試合のシーンでは、ピッチャーマウンドにいる主人公・星飛雄馬を中心にさまざまなイマジナリーラインがひかれており、そこで画面に映る相手の映り方は明確に決まってくる。例えば、右バッターの花形と対峙するシーン。このとき、カメラの基本ポジションを一塁側の内野に設定する。そうすると、飛雄馬が左向き、花形は右向き、となる。同様に、三塁側のベンチにいる阪神選手は右向き、一塁側の巨人選手は左向きに捉えられる。そしてテレビを見ている父・一徹は、向かい合うように飛雄馬を見ているので、左向きである。こうした統一をはかることで、画面内の情報の整理が徹底されているのである。実際には「キャッチャー越しにピッチャーを捉えるカメラ位置」、「アップ」「三塁側にカメラを置いた逆アングル」なども組み合わせて映像は進行していく。しかし、いずれにしてもイマジナリーラインへの存在とカメラ位置についての意識は明確である。この原則に揉まれたことで、富野は映像演出の基本に改めて向かい合うことになった。