魔神は、自分をランプから解放してくれた、その男の子に感謝していた。

 久しぶりに地上に現れた魔神には、友人がいなかったため、男の子のために精一杯尽くそうと考えた。

 だから、男の子の願いを、「一つ」だけではなく、いくつでもかなえ続けた。そうすることで、男の子に気に入ってもらい、友人になりたいと考えたのだ。

 魔神の力で多くのものを手に入れた男の子が、あるとき言った。


「いろいろな願いをかなえてもらったけど、まだ手に入れていないものがあるんだ。その願いをかなえてもらえる?」

「私に、かなえられない願い、手に入れられないものはございません。さぁ、願いを言ってごらんなさい」


 男の子は、少し恥ずかしそうな顔をしたが、はっきりとした口調で言った。

「僕、『親友』がほしいんだ。やさしくて信頼できる『親友』をだして!」

 魔神は、少し考え込むと、自らの姿を煙で包んだ。

 数分後、その煙が晴れると、そこには魔神の姿があった。きょとんとした表情の男の子が言った。

「ねぇ、早く! 早く親友を出して!」

 ふたたび魔神の姿が煙に包まれた。

 数分後、煙が晴れたときには、男の子の前からは、魔神もランプも消えていた。