結婚してから、わずか一年──。

 まだ、「新婚」と言ってもよい時期だが、妻は離婚を決意した。

 夫が「何もしない人間」だとわかったからだ。

 ちょっとしたことも、「忙しい」を理由にして、やろうとはしない。

 もちろん家事も、何一つしない。近所や親戚との付き合いも面倒くさがる。

 妻は、ソファに寝そべってテレビをている夫に、「離婚届」をつきつけた。

「この離婚届にサインをしてください!」

 さすがの夫も、事態の深刻さを感じたのか、真顔になって言った。

「キミと離婚することなんてできない。急に無茶なことを言うな!」

 妻は、結婚以来、積もりに積もった不満をすべて吐き出した。

 夫は、困惑顔で言った。

「キミの不満はよくわかった。でも、離婚はできないんだ。

 実は、ちょっと忙しくて、まだ『婚姻届』を出していないんだ」