その若者は、大富豪の一人息子だった。彼は、父親の権力と財力によって、これまで、欲しいと思うものを、すべて手に入れてきた。

 あるとき、彼は、一人の女性を自分のものにしたいと考え、強引な手段で彼女にアプローチした。

「僕の父親のことは知っているだろ? 僕とつきあえば、キミも人生の勝ち組になれるんだよ」

 しかし、どのような手段を使っても、富豪の息子が女性を自分のものにすることはできなかった。


 友人が彼に聞いた。

「お前でも、欲しいものを手に入れられないことがあるんだな。で、お前に逆らった彼女は、今、何をしてるんだ?」

 富豪の息子は、彼女が自分に言った言葉を思い出していた。

「財力と権力を持っているのは、あなたの父親なんでしょ。だったら、あなたの父親と結婚したほうが早いわ」

 富豪の息子は、苦々しい顔で友人をにらみつけて言った。

「あの女、俺の母親を追い出して、父親と再婚しやがったんだ。今じゃ、俺の義理の母親だよ」